日経平均は韓国の株価指数(KOSPI)と連動性を強める場面が増えており、両指数ともに「AI・半導体」のウエートが大きいという共通項があります。足元の株価下落はAI・半導体銘柄の押し目買いの好機と捉えることもできますが、今後の決算シーズンを見据えて柔軟な分散投資戦略も視野に入れる必要があります。


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日経平均とKOSPIは「AI・半導体」に連動、「インデックス=安定」は本当か(土信田雅之)
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韓国の株価指数(KOSPI)に連動する場面が目立つ日経平均

 今週の株式市場ですが、米国で公表されたインフレ関連指標(6月分の消費者物価指数と生産者物価指数)の結果を受けて、インフレへの懸念が後退したことはプラス材料になっているものの、中東情勢への不安の高まりや、AI相場に対する楽観と慎重な見方の衝突、そして決算シーズンを前にした様子見などを受けて、方向感が定まりにくい状況となっています。


 そんな中、7月に入ってからの相場展開で意識されているのは、日経平均株価と韓国総合株価指数(KOSPI)との連動性です。


<図1>日経平均とKOSPIの5分足の動き(2026年7月3~16日)
日経平均とKOSPIは「AI・半導体」に連動、「インデックス=安定」は本当か(土信田雅之)
出所:Bloombergデータを基に作成

 図1は、直近10営業日の日経平均とKOSPIの値動きを5分足で示したものですが、両者の株価推移が非常に似通っていることが分かります。


 日々の場況解説の報道でも、「下落していた日経平均がKOSPIの反発をきっかけに上昇に転じた」、また、「KOSPIの下落に伴って日経平均の下げ幅が加速した」といった具合に報じられることが多くなっています。


KOSPIとは?

 こうした日経平均とKOSPIの連動性が強まっているのは、「AI・半導体(特にメモリ関連)」という共通項があるためです。


 そもそもKOSPIとは、韓国証券取引所のメインボードに上場する全銘柄を時価総額加重平均で算出した株価指数です。1980年1月4日を100(基準日)としています。


 7月16日時点での構成銘柄は832銘柄と、かなりの銘柄数なのですが、半導体メモリ(HBMなど)の世界的大手企業であるサムスン電子とSKハイニックスの2銘柄だけで時価総額ウエートの半分以上を占めているため、この2社の株価が動くだけで指数全体も動く構造になっており、KOSPIは「ほぼ半導体メモリ指数」とも呼べる位置づけになっています。


<図2>KOSPI構成銘柄の時価総額の割合(2026年7月16日時点)
日経平均とKOSPIは「AI・半導体」に連動、「インデックス=安定」は本当か(土信田雅之)
出所:Bloombergデータを基に作成

 日経平均についても、半導体メモリのキオクシアホールディングス(285A)をはじめ、東京エレクトロン(8035)やアドバンテスト(6857)といった半導体製造装置メーカー、さらには電子部品などが指数寄与度の上位に位置しているため、サムスン電子やSKハイニックスの値動きがKOSPIに表れ、その影響を日経平均が受けやすくなっています。


注意したいKOSPIのボラティリティ(株価の変動幅)

 ここで重要になってくるのは、KOSPIの値動き(ボラティリティ)が大きくなっていることです。


 特定の銘柄(サムスン電子とSKハイニックス)のウエートが大きいことは先ほども見てきた通りですが、韓国株市場では個人投資家を中心に、信用取引やレバレッジ型ETFの取引規模が膨れ上がっていることも値動きを激しくさせている面があります。


 こうしたレバレッジを効かせた投資が活発であるということは、株価が上昇トレンドにある時には強力な推進力となるものの、いざ株価が下落した際には、信用取引のロスカット売りや強制決済が多く出てくるほか、レバレッジ型ETFが基準価額との乖離(かいり)を修正するために売りがかさむことになります。


 実際に、足元のKOSPIは下落する場面が増えています。その背景には、7月10日に米ナスダック市場に米預託証券(ADR)を上場させたSKハイニックスが、目先のイベント出尽くしで売られたことや、このSKハイニックスのADR価格が韓国市場の株価よりも2割以上も割高になった「ゆがみ」を修正する動き(裁定取引など)が出たこと、次世代の「HBM4」の出荷規模が市場の想定ほど伸びていないのではという見方が浮上してきたこと、そして、2027~2028年にかけて半導体企業各社が進める大規模増産投資により、将来的に半導体メモリの供給過剰(シリコンサイクルの下降局面)に陥り、半導体メモリの価格が下がるのではないかという懸念が生じたことなどが挙げられます。


 ただ、韓国株市場ではこうした売り材料に加えて、レバレッジを効かせた投資ポジションの巻き戻しの動きが株価下落に拍車をかける格好となり、「サーキットブレイカー(市場の一時取引停止措置)」が度々発動される事態となっています。


 つまり、KOSPIの荒い値動きは、半導体メモリの業界動向だけでなく、レバレッジを効かせた需給の影響も大きく受けているため、「冷静さを欠いている」面があるといえます。日経平均も「巻き添えを食らっている」状況と考えることもできそうです。


 そのため、現在の需給(レバレッジ)やムードが先導する相場が一巡すれば、ファンダメンタルズが注目される相場へと移行していくことが見込まれます。


 例えば、KOSPIの下落に伴って株価が下がっているキオクシアHDですが、主力の製品は「NAND型フラッシュメモリ」であり、SKハイニックスが強みを持つ「HBM」とは用途も需給も異なるため、足元で同じような値動きをたどっていたとしても、今後の企業業績や受注状況を確認して銘柄が選別され、株価の動きも異なっていくことになりそうです。


<図3>日米韓の半導体指数のパフォーマンス比較 (2025年末を100)(2026年7月15日時点)
日経平均とKOSPIは「AI・半導体」に連動、「インデックス=安定」は本当か(土信田雅之)
出所:Bloombergおよび日経平均プロフィルデータを基に作成

 折しも、日米の企業決算シーズンが本格化するタイミングでもあり、短期的には需給要因で大きく下落しているAI・半導体関連銘柄の反発狙いの買いの好機となりそうですが、AI相場については慎重な見方も多く、今後の決算動向次第では株式市場の調整局面が続く可能性があります。


 従って、現時点でポジションを一方向に傾けるのではなく、AI・半導体関連銘柄の押し目買いと同時に、商社や銀行などの高配当株や、内需・インフラ関連銘柄、そして東証株価指数(TOPIX)型ETFなどで分散投資をするなど、柔軟に対応することが求められる相場局面であるといえそうです。


(土信田 雅之)

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