停めにくそうに見えて、実は運転が楽に!?

 高速道路のサービスエリア(SA)やパーキングエリア(PA)は駐車場を備えていますが、通常の駐車場とは一味違います。駐車枠がスーパーやコンビニのように直角に区切られておらず、進行方向に対して斜めに傾いて引かれていることが多いのです。

【愛され続けて58年】ここが「日本最大」のサービスエリアです!(画像)

 「停めにくそう」「なぜわざわざ斜めにしてあるのか」という声も聞かれそうな、道路などに対して斜めに引かれたライン。このようにあえて斜めに引かれている理由はなんでしょうか。

 NEXCO東日本によると、斜めにする理由は大きく2つあります。ひとつは、「スムーズに駐車できるように」という目的です。そしてもうひとつが、ドライバーが「出発のときの進行方向を間違えないため」とのことです。

 一般に見られるふつうの駐車場では、駐車枠に対して車を90度カーブさせて枠内に入れる必要があります。ハンドルを大きく切り返す操作が必要とされ、場合によっては何度も切り返しをすることもあり、調整に一苦労した経験を持つドライバーも多いのではないでしょうか。

 いっぽう、サービスエリアなどの斜めに設定された駐車枠なら、進行方向から車をゆるやかに傾けるだけで、しっかり駐車枠に収まります。90度曲げる必要がある駐車場と違ってハンドルを切る量が少なくて済み、出るときも自然に車の前方が進行方向を向く一石二鳥の効果があります。

 長距離運転で疲れたドライバーや、大型トラックを運転するプロドライバーにも、この“楽に停められる設計”は駐車の手間を大きく減らす、メリットの大きな構造です。

 でも、斜め駐車の役割は、駐車をしやすくするだけではないようです。

車の向きを“ぴったりそろえる”効果も 安全と利便性の両立

 進行方向から斜めに車体を傾けて駐車すると、車の前方は必然的に出口の方向を向きます。

これがもうひとつの狙い、「逆走の防止」につながっています。

なぜ高速SAの駐車場は「斜め」ばかり? 停めやすいだけじゃな...の画像はこちら >>

ずらりと並ぶ斜め駐車のトラック(画像:写真AC)

 NEXCO各社によると、高速道路では全国で概ね2日に1回の頻度で逆走が発生しており、IC(インターチェンジ)や料金所、分岐・合流部に加えて、SA・PAの出入口付近も逆走の発生場所として挙げられています。

 もし駐車枠が真っ直ぐに引かれていて、車の頭がどちらを向いてもよい構造だと、出発するときに誤って進入口の方向に向かってしまう可能性が考えられます。一方、斜め駐車は車の発進方向が一定方向に向きやすくなるため、本線の合流方向へ自然に誘導できる効果が期待できるのです。

 さらに近年、NEXCO各社は斜め駐車の強みを活かして、駐車マスのレイアウト変更も進めています。NEXCO東日本・中日本・西日本の公表資料によると、大型車の駐車マスの不足に対応するため、従来の長方形の枠を斜めに引き直したり、小型車マスを大型車マスに描き換えたりする取り組みを行っています。

 2023年度には全国49か所のSA・PAで大型車マスが約630台拡充され、2024年度も約560台の拡充が予定されているなど、斜めの駐車レイアウトは“今も進化している”最中なのです。

 なかでもユニークなのが、山陽自動車道の佐波川SAなどで導入された「V字駐車レイアウト」。車の頭を斜めに向かい合わせて「Vの字」を描くように配置する方式です。NEXCO西日本によると、この工夫で大型車の駐車マスを約1.4倍に増やせたうえ、前進発車できることから接触事故も低減できるとしています。

 ただ、メリットしかないように思える斜め駐車にも、実はデメリットがあります。駐車枠同士の間隔が密になるため、乗り降りのときは隣の車にドアをぶつけないよう少し慎重にならないといけません。

風の強い日はドアが勢いよく開かないよう、乗り降りの際はご注意ください。

 なんとなく停めている斜めの駐車枠。そこにはスムーズな駐車、逆走防止、そして混雑対策というSA・PAならではの事情が詰まっています。次にサービスエリアに立ち寄ったとき、ちょっと足元を見てみると、大きな工夫の跡が見えるかもしれません。

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