異様な姿で会場の視線を独占
フロリダ州のレイクランドで2026年4月14日から19日まで開催された「サンファン・エアショー」に、ずんぐりと膨らんだ機体が登場し、会場でも他機とは明らかに異なる存在感を放ちました。
この機体は、アメリカ航空宇宙局(NASA)が運用する大型輸送機「スーパーグッピー」です。現在、実用状態で飛行しているのはNASAの1機のみであり、その希少性もあって、世界中の航空ファンからは「一度は実機を見たい機体」として高い人気を誇ります。
そのユニークすぎる形状から、とある航空評論家に「もっとも醜い航空機」と評されたこともある機体です。
この独特なフォルムには、輸送機としての理由があります。機体上部が大きく膨らんだ形状は、ロケットや宇宙機の構造部材といった巨大な貨物を分解せずに運ぶための設計です。機体の機首部分は横方向に開く構造となっており、輪切りのようになった開口部から貨物を丸ごと機内へ積み込むことが可能になっています。
一般的な輸送機ではランプなどから貨物を搬入しますが、このスーパーグッピーでは、機首部分がコックピットとノーズギアごと横方向にスイングして開きます。その光景は、まさに“空飛ぶ専用コンテナ”といえるでしょう。
宇宙開発が生んだ異形の輸送機
スーパーグッピーの誕生は1960年代、NASAが進めていたアポロ計画にさかのぼります。
当時、人類を月へ送り込むために開発された「サターンV」ロケットは、全長約110m、重量約2900トンを誇る、現在でも人類史上最大の宇宙ロケットです。←(読点整理)
それを構成する巨大な部品を全米各地の工場から打ち上げ拠点まで輸送する必要がありましたが、陸路や海路では時間や制約が大きく、迅速な輸送手段が求められていました。そこで開発されたのが、この“異形の輸送機”でした。
ベースとなったのは、第二次世界大戦期の爆撃機B-29の技術を基に開発された旅客機「ボーイング377ストラトクルーザー」です。この機体を大幅に改造し、胴体を拡張したものが、グッピーシリーズの始まりです。
最初の試作的存在である「プレグナント・グッピー」、改良型の「スーパーグッピー」、そしてエンジンをターボプロップ化して性能を高めた「スーパーグッピー・タービン(SGT)」へと発展し、合計6機が製造されました。
現在NASAが運用しているのも、この最終型であるSGTです。同機は現代においても現役で、国際宇宙ステーション(ISS)関連機材のほか、アルテミス計画で使用される「オリオン宇宙船」の構造部品などの輸送にも投入されています。
巨大な宇宙機部材を分解せずに迅速に移動できる能力は、現代の宇宙開発においても依然として代替が難しく、スーパーグッピーは現在も宇宙開発を支える重要な輸送機として運用されています。

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