陸自車両史の新たな1ページ! フィンランド生まれの「AMV」が総火演へ

 陸上自衛隊は、来る6月7日に「富士総合火力演習(総火演)」を静岡県の東富士演習場で実施します。昨年の総火演では24式機動120mm迫撃砲、25式偵察警戒車および12式地対艦誘導弾能力向上型(現、25式地対艦誘導弾)、島嶼防衛用高速滑空弾(現、25式高速滑空弾と)という4種類の新装備が登場しましたが、今年の総火演では、昨年9月16日に量産初号機が富士学校に納入された装輪装甲車(人員輸送型)AMVが、初めて登場する模様です。

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 装輪装甲車(人員輸送型)AMVは、戦闘部隊や戦闘支援部隊などに装備し、敵の脅威下における戦場機動、人員輸送などに使用するとともに、国際平和協力活動における車列警護などに使用する目的で、調達が進められています。それでは、陸上自衛隊のAMVを取り巻く最新状況はどうなっているのでしょうか。

 陸上自衛隊は、発足時にアメリカ軍から供与された戦車や各種車両を別にすれば、これら戦闘車両については国内開発を重視してきました。その結果、現用の装甲車両において外国製は、アメリカ製の水陸両用車「AAV7」、オーストラリア製の4輪タイプの装甲車「ブッシュマスター」のみとなっていました。

 こうした陸上自衛隊の車両史に新たな1ページを加えることになったのが、96式装輪装甲車の後継車種として選定されたAMVです。

 ちなみに、AMVとは「Armored Modular Vehicle」の略で、これを日本語に訳すと「モジュラー型装甲車」になります。フィンランドのパトリア社が開発した8輪駆動の装甲戦闘車両で、本国だけでなくスウェーデンやポーランド、クロアチア、UAE(アラブ首長国連邦)など、約10か国で採用されています。

幻となった「国産化」白紙撤回からAMV採用までの激動の道のり

 防衛省・自衛隊は当初、96式装輪装甲車の後継については「装輪装甲車(改)」という名称で国内開発を進めてきました。

ついに総火演デビュー! 陸自の最新装甲車「AMV」800両超えの大量調達、派生型も間もなく登場か?
陸上自衛隊の96式装輪装甲車(乗りものニュース編集部撮影)

 しかし、防衛省は2018年7月、不整地走破性と防御力が要求水準に達しなかったことなどを理由に、開発中止を発表。これに替わる次期装輪装甲車の車種選定作業を2019年度から実施し、国内外の企業から試験用車両を調達した上で試験評価を行ってきました。

 そして2022年夏から秋にかけて車種選定作業を実施した結果、防衛省は同年12月9日、パトリア社のAMVを次期装輪装甲車(人員輸送型)として採用・発表したのです。

 ただ、AMVは輸入と並行して国内でライセンス生産することを決めています。

ライセンス生産の担当企業は日本製鋼所で、同社は2023年8月31日、パトリア社とAMVの製造販売に関するライセンス契約をフィンランドで締結しました。

 この契約に基づき同社では、技術移転と現地生産をビジネスモデルとするパトリア社からの技術供与を受けるとともに、室蘭製作所に生産体制を構築するなどして、AMVを国内で生産するための準備を進めます。そして、昨年9月2日に量産初号機の出荷式が行われ、同機は富士学校(富士駐屯地)普通科部に配備されました。

 ほぼ時を同じくして、茨城県にある陸上自衛隊武器学校(土浦駐屯地)にも配備されたほか、同年11月には、普通科教導連隊(滝ヶ原駐屯地)と第3即応機動連隊(名寄駐屯地)にも引き渡され、入魂式を実施したことが公式Xで明らかになっています。

 加えて、中央即応連隊(宇都宮駐屯地)と第42即応機動連隊(北熊本駐屯地)への配備も始まっています。

国内生産も本格スタート! 北から南まで全国の部隊へ進む配備の現状

 防衛省はAMVの量産について、日本製鋼所と2024年度に第一次契約(26両)を結んで以降、2026年度に第三次契約までを締結しました。これらの契約に基づく製造数は計105両に達しています。そして、第一次契約は輸入による取得でしたが、今後は徐々に国産化比率を高めていくことになります。

ついに総火演デビュー! 陸自の最新装甲車「AMV」800両超えの大量調達、派生型も間もなく登場か?
採用から40年以上が経過し、老朽化が進んでいる82式指揮通信車(乗りものニュース編集部撮影)

 それでは、陸上自衛隊はAMVを最終的に何両調達するのでしょうか。実は、その目標数については、派生型を含め810両ということが、防衛装備庁の資料から明らかになっています。

 ちなみに、AMVによって更新される96式装輪装甲車の調達数は381両でしたが、現在のところ人員輸送型は451両を取得する前提です。したがって、単純に計算すれば、残る約360両が派生型分となります。

 気になるのは、今後導入される派生型の種類ですが、防衛装備庁の資料などによれば、指揮通信型、施設支援型、兵站支援型、患者輸送型の名前が挙がっています。このうち、指揮通信型が82式指揮通信車(231両)の後継だとすると、残る約130両が施設支援型、兵站支援型、患者輸送型向けという計算になります。

 陸上自衛隊がこれまで保有してこなかった施設支援型、兵站支援型、患者輸送型の装甲車両が、AMVベースでどのような形で実現し、何両ずつ調達されるのでしょうか。2027年度以降の予算要求に注目です。

【写真】陸自仕様の「AMV」前後左右&ディテールまでイッキ見!

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