「KEEP38プロジェクト」その意味は?

 背後に江の島が見える神奈川県鎌倉市「七里ケ浜海岸駐車場」で2026年5月31日、神奈川県警本部交通総務課と鎌倉署主催の「セーフティ★ライドフェス2026」が開催されました。ライダーを対象とする事故防止啓発イベントでしたが、そこで、四輪車のドライバーにも呼びかけられたのが、「KEEP38(さんはち)プロジェクト」でした。

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 このプロジェクトは、参加者が“38”の意味を知り「KEEP38宣言書」に署名することから始まります。そして、手渡されるステッカーを運転者自らが車両に貼って、事故防止運転を心がけるものです。

 ステッカーは警察官の袖に付けたエンブレムを思わせる紋章デザイン。その内側には、「KEEP」のアルファベット文字に足が付いて、横断歩道を渡っているように見えます。KEEPを支えるのはひときわ大きく描かれた「38」の数字です。

 この数字は、道路交通法第38条を意味します。条文は「横断歩道における歩行者優先義務」です。運転者の宣言文にはこう書かれています。

《道路交通法第38条「横断歩道における歩行者優先義務」を正しく理解し、常に歩行者保護の気持ちを心に模範運転することをここに宣言します》

 会場の白バイにも、同じステッカーが貼られていました。

 信号機のない歩行者が横断歩道を渡ろうとしている場合、運転者は一時停止をする義務があります。横断中の歩行者のスキマをぬうようにして直進することもアウトです。

 横断歩道手前では、まず歩行者を確認。

前方に停止車両があれば、追い越さずさらに確認する。「KEEP38プロジェクト」は、そうした運転を習慣化して、横断中の事故をなくすことに取り組んでいます。

 しかし、道交法38条における横断歩道での歩行者優先の規定は、運転者からすると、つい文句が出てしまうような側面もあります。歩行者が渡ろうとしているのかどうかわからないのに、横断妨害を警察官が決めて摘発するのは恣意的ではないか、という指摘です。

 ただ、一方で横断歩道という目立つ場所で、なぜ目の前の歩行者に衝突してしまうのでしょうか。運転者に横断歩道では止まる、という習慣があれば、死亡事故は起きないはずではないか――「KEEP38プロジェクト」は、運転者の自覚を重視しています。

元祖は埼玉県警 プロ運転手から始まり、電動キックボード、自転車にも

「KEEP38プロジェクト」は、埼玉県でも展開されています。神奈川県警が配布するステッカーの裏面には《埼玉県警と合同で広げていくことにしました》と書かれています。

「だって歩行者が渡るのか渡らないのか分からないじゃん」とか言う人に「自覚を」――事故減へ2県警が異例の“合同”啓発プロジェクトとは
イベントに出動した神奈川県警の白バイ。右下に注目(中島みなみ撮影)

 このプロジェクトを最初に手掛けたのは埼玉県警でした。2020年10月、白ナンバーの事業者や、緑ナンバーの旅客・物流関係の事業者を対象にスタートし、そのプロジェクトを知った神奈川県警も趣旨を支持しました。両県警による珍しい“協調介入”が実現したのは、2025年10月のことです。

 埼玉県警が考案した特徴あるステッカーには、いちばん下に「Road Traffic Low SAITAMA」と書かれています。

この部分を事業所名や標語に入れかえることができました。また、ステッカーの色も、例えば会社のシンボルカラーに変えることも可能で、オリジナルステッカーとして安全運転の意識を盛り上げることも考えられました。神奈川県警のステッカーは当然ですが「Road Traffic Low KANAGAWA」になっています。

 埼玉県では2025年の1年間に県内で発生した横断歩道を横断する歩行者の死亡事故が、過去10年間で最多21件に及び、新しい取り組みも始まっています。

 トラックやバスを想定したステッカーのサイズを縮小し、バイクや電動キックボードなどの特定小型原付、自転車にも、KEEP38宣言に参加してもらおう、という試みです。県内各地で開催される安全運転の講習会などに出張して、横断歩道の歩行者優先を「KEEP38プロジェクト」で、あらゆる車種の運転者に訴えていく予定です。

 横断歩道で徐行したり、一時停止したりする運転者の習慣が、横断歩道を横断中の歩行者との事故を回避します。

【カワイイ!】警察とともに「KEEP38」を広める元国民的アイドル(写真)

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