数百kmの長射程を持ち敵基地攻撃も可能

 2026年6月7日に実施された富士総合火力演習(総火演)において、「25式高速滑空弾(以下25HGP)」が初めて発射姿勢を披露しました。昨年の総火演では弾薬運搬車の公開にとどまりましたが、今年はついに発射車両が姿を現しました。

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 25HGPは、陸上自衛隊が配備を進める大型の地対地誘導弾です。諸外国からは、事実上の「日本初の弾道ミサイル」とも評価されています。

 この25HGPは、敵の防空網や攻撃射程の圏外から打撃を与える、いわゆる「スタンドオフミサイル」に位置づけられます。公式には「島嶼(とうしょ)防衛用誘導弾」とされていますが、その実力は敵基地攻撃能力(反撃能力)の行使も可能だと考えられています。今回公開されたのは、早期配備を目的とした「ブロック1」と呼ばれるタイプです。

 ブロック1の射程は数百km程度とされていますが、2030年代に配備予定の改良型「ブロック2」では射程が飛躍的に伸び、最大で約2000kmに達するとも噂されています。

ブロック1に続き、発展型ブロック2も開発中

 両タイプとも、推進機関には固体燃料ロケットブースターを使用します。液体燃料とは異なり、固体燃料は充填した状態での保管や輸送が可能なため、有事の際に迅速な射撃態勢をとることができます。

事実上の弾道ミサイル「マッハ5で飛ぶ高速滑空弾」総火演で発射姿勢を初披露! 改良型は2000km飛びます
昨年の総火演で姿を見せた25式高速滑空弾の弾薬運搬車(武若雅哉撮影)

 垂直に発射された誘導弾はブースターによって一気に加速し、高高度に達した段階でブースターを切り離します。その後はマッハ5以上の「極超音速」で大気圏内を滑空し、目標上空で急降下して直撃します。

 ブロック2では、超音速飛翔にともなう大気の圧縮を利用して揚力を得る「ウェイブライダー」技術が採用される予定で、これにより滑空性能がさらに向上するとみられています。

 目標へミサイルを正確に命中させるための誘導方式については、固定目標に対しては日本独自の準天頂衛星システム「みちびき(QZSS)」による衛星航法と、米国のGPSが併用されると考えられています。

一方、移動目標に対しては、終末段階でレーダーや赤外線シーカーによる誘導方式が組み合わされるでしょう。

 弾頭は攻撃目標に応じて選択され、空母や強固な陣地には特殊な徹甲弾(貫徹型弾頭)が、広範囲の地上目標や車両群に対しては、多数の弾体を散布する「高密度EFP(爆発成形侵徹体)」の使用が想定されています。

 いまだ詳細なスペックはベールに包まれていますが、実戦部隊としては北部方面隊(北海道)の第1特科団や、西部方面隊(九州・沖縄)の第2特科団への配備が予想されています。教育部隊である富士学校でも配備が進んでおり、2026年6月現在で3両の発射機が確認されています。

【巨大なランチャー】これが25式高速滑空弾の発射車両です(写真)

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