9月18日、中京競馬場で3歳牝馬による重賞、GⅡローズS(芝2000m)が行なわれる。

 このレースは10月16日に開催されるGⅠ秋華賞(阪神・芝2000m)のトライアル競走。

通常は阪神・芝1800mで行なわれるが、今年は京都競馬場改修工事の関係で、2020年、21年に続いて中京競馬場での開催となる。過去のレースの傾向は当てはまらないと思われるので、中京・芝2000mのデータを基にこのレースを血統的視点から分析していきたい。

ローズSはコース適正が高いディープインパクト産駒の良血馬、末...の画像はこちら >>

前走の都井岬特別を勝利したラリュエル

 中京・芝2000mの2012年以降の種牡馬別成績を見ると、ディープインパクトが552戦73勝と、2位ハーツクライの425戦40勝に大きな差をつけてトップ。勝率も13.2%と優秀だ。

 重賞で人気薄の同産駒が好走することも多く、昨年のGⅡ金鯱賞は単勝227.3倍というダントツ最低人気(10番人気)のギベオンが制した。そのほか、2014年GⅢ中日新聞杯で10番人気のマーティンボロが、2019年中日新聞杯で8番人気のサトノガーネットが勝利。
ローズSでは、2020年に3番人気リアアメリアが勝利し、11番人気オーマイダーリンが3着に入っている。

 今年は4頭のディープインパクト産駒が登録を行なっているが、筆者はその中からラリュエル(牝3歳、栗東・矢作芳人厩舎)を推したい。

 同馬は昨年12月の新馬戦(阪神・芝1800m)を勝利。その後はGⅢクイーンC(東京・芝1600m)4着、GⅡチューリップ賞(阪神・芝1600m)7着と敗れてクラシック出走はならなかったが、4カ月ぶりとなった前走の都井岬特別(小倉・芝2000m)で勝利を挙げている。そのレースは4戦目にして初めて逃げる競馬となったものの、直線に入るとあっさりと後続を突き放し、2着に1馬身1/4差をつけて余裕たっぷりに逃げきった。

 兄ステイフーリッシュ(父ステイゴールド)はGⅡ京都新聞杯、GⅡドバイゴールドC、GⅢレッドシーターフCと、日本、ドバイ、サウジアラビアの3カ国で重賞勝ちし、この秋は仏GⅠ凱旋門賞に挑戦する強豪。
さらに、伯父にはGⅠ安田記念、スプリンターズSを勝ったブラックホーク、伯母にGⅠNHKマイルC勝ち馬のピンクカメオなど、近親に活躍馬多数の良血馬だ。

 まだキャリア4戦で伸びしろは大きそうだし、兄も7歳となった今年に重賞2勝を挙げているように、成長力が期待できる。前走からの勢いに乗っての重賞初制覇となるか。

 もう1頭は、オルフェーヴル産駒のメモリーレゾン(牝3歳、栗東・長谷川浩大厩舎)に注目する。同馬は今年1月にデビューし、2戦目(小倉・芝1200m)で豪快な差し切り勝ち。4戦目の1勝クラス(阪神・芝1600m)で2勝目、続く5戦目の前走・北海ハンデキャップ(函館・芝1800m)で3勝目を挙げてここに臨む。

今回のメンバーでは唯一、3勝以上を挙げている馬だ。

戦績を振り返ってみると、1200m、1600m、1800mと距離を延ばしながらキッチリ勝ち上がっている。2000mは初となるが、前走は1000m通過1分00秒3のスローペースにも折り合って後方でじっくり構え、直線で鋭い脚を伸ばして2着に1馬身1/4差をつける鮮やかな差し切りだった。51kgの軽ハンデだったとはいえ、牡馬も出走していたレースでの快勝はいい経験になったはずだ。

これまでの5戦中4戦で、上がり3Fのメンバー中最速タイムを記録している末脚が最大の武器。潜在能力はかなりのものだろう。
父オルフェーヴルの産駒は、中京・芝2000mで91戦6勝(勝率6.6%)とそれほどいい成績は残していないが、昨年のGⅢきさらぎ賞をラーゴムが勝利している。

メモリーレゾン自身は中京で1戦して4着だが、1200mから1600mへと距離延長した初戦だったことも影響したと思われる。それから6カ月が経ち、レース経験も積んで力をつけているため、あまり気にする必要はないだろう。

母メモリーパフィアは芝1200~1400mで3勝。阪神・芝1800mで行なわれたローズSでは12着と敗れているが、姉メモリーコロネット (父ロードカナロア)、兄メモリーエフェクト (父モーリス)はいずれも中京芝で勝ち鞍があるため、母系からのコース適性にも期待できそうだ。

 以上、今年のローズSは前に行きそうなラリュエル、後方から競馬を進めそうなメモリーレゾンの2頭に期待する。