3月4日(土)、阪神競馬場で3歳牝馬によるGⅡチューリップ賞(芝1600m)が行なわれる。

チューリップ賞はディープインパクト系が好成績 マイラー血統の...の画像はこちら >>

前走で阪神・芝1600mのこぶし賞を制したモズメイメイ

 このレースは、4月9日に同じ条件で開催されるGⅠ桜花賞のトライアル競走。
過去10年の桜花賞1~3着馬30頭に絞っても、半数を超える18頭がチューリップ賞から桜花賞に駒を進めている。

 チューリップ賞をステップに桜花賞を制した馬は、ここ10年で2013年アユサン、14年ハープスター、15年レッツゴードンキ、16年ジュエラーの4頭。昨年は、チューリップ賞5着のウォーターナビレラが2着に入った。

 また、2020年のチューリップ賞7着だったスマイルカナが桜花賞9番人気で3着に入るなど、凡走後に桜花賞で好走する馬も多いだけに、敗れた馬の負け方にも注目したい。

 血統的傾向として目立つのは、ディープインパクト系の好成績。2014年ハープスター、16年シンハライト、19年ダノンファンタジーと3頭の直仔が勝利しているほか、後継種牡馬の産駒も2020年マルターズディオサ(父キズナ)、21年メイケイエール(父ミッキーアイル)が勝利している。
一方、キングカメハメハ系の勝利は2010年ショウリュウムーン(父キングカメハメハ)のみとなっており、この父系は割り引きたい。

 今年はディープインパクト系の馬が5頭登録している。中でも筆者が中心視したいのはモズメイメイ(牝3歳、栗東・音無秀孝厩舎)だ。

 父リアルインパクトはGⅠ安田記念(東京・芝1600m)や、オーストラリアのGⅠジョージライダーS(芝1500m)を勝った馬。産駒にはGⅠNHKマイルC(東京・芝1600m)を勝ったラウダシオンがいるという、競走馬としても種牡馬としてもマイラータイプだ。

 モズメイメイは母系も優秀だ。
祖母インランジェリーは3歳秋に米GⅠスピンスターS(オールウェザー9F)を勝ったほか、3歳春には米GⅢバーボネットオークス(オールウェザー8F)を6馬身差で逃げ切り、圧勝している。

 母の父フランケルは芝7~10Fの英GⅠを10勝した名馬で、日本でもソウルスターリング、モズアスコット、グレナディアガーズと3頭のGⅠ馬が出ている。ちなみに、GⅠ阪神ジュベナイルフィリーズ(阪神・芝1600m)、GⅠオークス(東京・芝2400m)を勝ったソウルスターリングはチューリップ賞の勝ち馬でもある。

グレナディアガーズは、チューリップ賞と同じ阪神・芝1600mで行なわれたGⅠ朝日杯フューチュリティSの勝ち馬。モズメイメイ自身は同じコースでの前走、こぶし賞を制し、デビュー戦と合わせて芝1600mでは2戦2勝となった。血統、コース実績ともに申し分ないと言える。



 もう1頭はレミージュ(牝3歳、栗東・松永幹夫厩舎)に注目。父キズナはGⅠ日本ダービーの勝ち馬で、GⅠ安田記念のソングライン、GⅠエリザベス女王杯のアカイイトと、種牡馬としては牝馬の大物を出している。

 2020年にはマルターズディオサがチューリップ賞を勝利し、21年にはファインルージュが桜花賞で3着に入っている。レミージュはマルターズディオサとは血統構成がよく似ていて、母系のゴーンウエスト、ヌレイエフ、リヴァーマン、ニジンスキーに加え、セクレタリアトのクロスも共通する。

 レミージュは昨暮れのエリカ賞(1勝クラス、阪神・芝2000m)の勝ち馬。前走は果敢にも牡馬混合のGⅢきさらぎ賞に挑戦し、5着に敗れたとはいえ強い相手と戦った経験は大きいはずだ。
1600mは初となるが、キズナ産駒の牝馬は2~3歳のマイル戦線に強いため、対応できるだろう。

 以上、今年のチューリップ賞は、リアルインパクト産駒モズメイメイ、キズナ産駒レミージュの、ディープインパクト系の2頭に期待する。