6月25日(日)、阪神競馬場で3歳以上馬によるGⅠ宝塚記念(芝2200m)が行なわれる。

 上半期の締めくくりとして開催されるこのレース。

今年は、前走のGⅠドバイシーマクラシックまでGⅠ3連勝中のイクイノックスを筆頭に、ジャスティンパレス、ヴェラアズール、アスクビクターモア、ジオグリフ、ジェラルディーナ、ドゥラエレーデ、ダノンザキッドと、8頭のGⅠ馬が集結する豪華メンバーになった。

 そんな中、筆者が推したいのがジェラルディーナ(牝5歳、栗東・斉藤崇史厩舎)だ。

宝塚記念は5歳牝馬の2頭が推し 2200mのスペシャリスト、...の画像はこちら >>

エリザベス女王杯を制したジェラルディーナ

 同馬は、今回と同じ阪神・芝2200mで行なわれたエリザベス女王杯の勝ち馬で、芝2200mのGⅡオールカマー(中山)も勝利しているこの距離のスペシャリスト。昨年はGⅠ有馬記念(中山・芝2500m)でも3着に入って「最優秀4歳以上牝馬」のタイトルを獲得した。

 今年はGⅠ大阪杯(阪神・芝2000m)6着、GⅠクイーンエリザベス2世C(シャティン・芝2000m)6着と連敗。ただ、2レースとも内容は決して悪くなかったし、敗因もはっきりしている。


 大阪杯は窮屈な最内枠で流れに乗れず、位置取りが悪くなりながらもメンバーの中で上がり2位タイの34秒9の脚を見せた。クイーンエリザベス2世Cでは、レース前にイレ込みを見せて力を出し切れなかったが、得意の2200mに戻れば見直していいだろう。

 エリザベス女王杯は1994年から距離が2200mになったが、それ以降の同レース勝ち馬の宝塚記念の成績を見ると、10頭が出走し、2005年スイープトウショウ、2016年マリアライト、2019年リスグラシューの3勝、3着2回と好成績を残している。

 そのうち、マリアライトとリスグラシューは「4歳時にエリザベス女王杯でGⅠ初勝利を挙げた5歳馬」という点が共通していて、それは今回のジェラルディーナにも当てはまる。さらにリスグラシューとは、「前走が香港でのレース」という点も共通している。

 ジェラルディーナの血統を見てみよう。

母はジャパンC連覇を含むGⅠ7勝、「牝馬三冠」を成し遂げた名牝・ジェンティルドンナ。父はGⅠ天皇賞・秋、GⅠ香港Cなど日本と香港でGⅠを6勝した名馬モーリスだ。

 モーリスは1600~2000mを得意とするタイプだったが、その父スクリーンヒーローは芝2400mのジャパンCの勝ち馬。さらにその父のグラスワンダーは、1999年の宝塚記念でスペシャルウィークに3馬身差という圧倒的な差をつけて優勝した名馬だ。ジェラルディーナの2200mでの強さは、グラスワンダーから受け継いだものかもしれない。

 共通点が多いリスグラシューは、この宝塚記念からGⅠ3連勝で年度代表馬にまで上り詰めたが、ジェラルディーナにも同じような走りに期待する。


 もう1頭はスルーセブンシーズ(牝5歳、美浦・尾関知人厩舎)を推す。前走のGⅢ中山牝馬S(中山・芝1800m)で重賞初制覇を飾ったばかりの"格下馬"で、GⅠはオークス(東京・2400m)9着、秋華賞(阪神・芝2000m)11着と冴えないが、血統は魅力的だ。

 父ドリームジャーニーは2009年の宝塚記念の勝ち馬で、有馬記念も勝つなど5歳時にピークを迎えた馬。その全弟オルフェーヴルも、クラシック三冠のほか、宝塚記念でも勝利している。

 父の父ステイゴールドの産駒は、上記2頭のほかにゴールドシップ(2勝)、ナカヤマフェスタも宝塚記念で勝利しており、合計5勝。さらに母の父クロフネは、2020、21年と連覇したクロノジェネシスの母の父と、血統表全体が宝塚記念と縁深いものになっている。


 スルーセブンシーズは、今秋のGⅠ凱旋門賞に登録済み。GⅢ1勝でGⅠ勝ちのない馬が凱旋門賞に遠征するのは異例ともいえるが、すでにステップレースのGⅠ愛チャンピオンSにも登録を済ませており、本気度はかなりのものだ。陣営はここにきての大きな成長を感じているのだろう。

 鞍上はドリームジャーニーやオルフェーヴルの主戦だった池添謙一騎手。同じドリームジャーニー産駒のヴェルトライゼンデとのコンビでは6戦して勝利できなかったこともあり、今回にかける意気込みは並々ならぬものがあるだろう。

 以上、今年の宝塚記念は、ジェラルディーナ、スルーセブンシーズの5歳牝馬2頭に注目だ。