【レガレイラが本命も......】

 11月16日(日)、京都競馬場で3歳以上牝馬によるGⅠエリザベス女王杯(芝2200m)が行なわれる。

 今年は、昨年のGⅠ有馬記念(中山・芝2500m)を勝ち、前走のGⅡオールカマー(中山・芝2200m)を勝ってここに臨むレガレイラが人気の中心になりそうだ。これまでは牡馬に混じってGⅠ戦線を戦ってきた馬だが、牝馬限定戦は昨年のエリザベス女王杯以来となる。

 エリザベス女王杯を勝った馬が有馬記念に出走した例は過去にもあるが、有馬記念を勝った馬が、そのあとにエリザベス女王杯に出走するのは初のパターン。レガレイラは「格上」と認識される存在だ。しかし、競馬は格だけで決まらないところが面白い。血統的視点から、このレースで激走しそうな馬を探っていこう。

 注目したいのはステイゴールド系だ。ステイゴールド系の牝馬が最も好成績を収めているGⅠがこのエリザベス女王杯で、27戦2勝、2着4回という成績が残っている。

 その内訳を見ると、2019、20年にラッキーライラック(父オルフェーヴル)が連覇。2017~19年にクロコスミア(父ステイゴールド)が2着。2022年にライラック(父オルフェーヴル)が2着に入っている。ラッキーライラックは2019年が3番人気、2020年が1番人気だったが、クロコスミアは2017年が9番人気、2018年が9番人気、2019年が7番人気、ライラックは12番人気からの2着人気薄での激走だった。

 今回も何頭かステイゴールド系の馬が出走予定だが、そのなかで筆者が本命にしたいのがヴェルミセル(牝5歳、栗東・吉村圭司厩舎)だ。

【競馬予想】エリザベス女王杯は人気薄馬の血統も要チェック 本...の画像はこちら >>

 同馬の父はGⅠ菊花賞(京都・芝3000m)、有馬記念などGⅠレースを6勝したゴールドシップ

母の父コンデュイットは米GⅠBCターフ(芝約2400m)、GⅠ英セントレジャー(芝約2900m)を勝ったステイヤーだ。芝の中長距離タイプが合う血統と見ていいだろう。

 ゴールドシップ産駒は、エリザベス女王杯では4走して馬券絡みはない。だが、産駒が2勝しているオルフェーヴルとゴールドシップは、父ステイゴールド、母の父メジロマックイーンの配合が同じだ。

 産駒には、GⅠオークス(東京・芝2400m)を勝ったユーバーレーベン、今回と同じ芝2200mで行なわれた今年のGⅠ宝塚記念(阪神・芝2200m)を勝ったメイショウタバルなどがおり、この距離は得意な条件だ。また、2007年の勝ち馬ダイワスカーレットや、前述のライラックと同牝系というのも魅力だ。

 ヴェルミセルはこれまでの全4勝が芝2500mか2600mというステイヤー。重賞勝ちはないが、今年のGⅢダイヤモンドS(東京・芝3400m)3着、GⅡ京都大賞典(京都・芝2400m)で3着に入っている。

 その重賞2戦はいずれも牡馬混合戦だった。前走は今回と同じ京都で、単勝90.8倍の15番人気と人気は低かったが、勝ち馬と0秒2差と好走している。京都コースは3歳5月に出走(2000m)して5着だったが、本格化した現在は得意条件と言ってもよさそうだ。

【もう1頭は京都を得意とする3歳馬】

 もう1頭はリンクスティップ(牝3歳、栗東・西村真幸厩舎)を推す。

 同馬の父キタサンブラックは昨年のエリザベス女王杯で、12番人気から2着に入ったラヴェルの父でもある。母の父キトゥンズジョイは、英GⅠエクリプスS(芝1990m)など英愛でGⅠを4勝し、2018年の全欧年度代表馬に輝いたロアリングライオンなどを輩出した名種牡馬だ。父系祖父のサドラーズウェルズは、同じキタサンブラック産駒のGⅠ皐月賞(中山・芝2000m)馬ソールオリエンスも持っている血というニックス配合でもある。

 リンクスティップは重賞勝ちこそないものの、GⅠ桜花賞(阪神・芝1600m)で3着に入った実力馬。GⅢきさらぎ賞(京都・芝1800m)では、のちにGⅠ日本ダービー(東京・芝2400m)で4着に入ったサトノシャイニングに次ぐ2着に好走している。

 さらに京都コースでは、未勝利戦(芝2000m)を含む3戦1勝、2着2回で連対率100%。前走のGⅡ紫苑S(中山・芝2000m)は8着と敗れたが、スローペースが合わなかったようで、状態も万全ではなかったようだ。京都の外回りは同馬に合う条件と思われるので、巻き返しに期待したい。

 以上、今年のエリザベス女王杯はゴールドシップ産駒ヴェルミセル、キタサンブラック産駒リンクスティップの2頭に期待する。

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