河村勇輝が抱く日本代表への強い想いとホーバス前HCへの感謝、...の画像はこちら >>

後編:河村勇輝の「NBA挑戦2年目総括」

NBAでの2シーズン目を終えた河村勇輝は今夏、日本代表でのプレーにも強い意欲を示している。今季終了時点でまたFAになり、どこのチームと契約することになっても、7月のNBAサマーリーグは貴重な舞台になる。

それでも7月3、6日に中国、韓国で予定されているW杯アジア予選にも「状況が許すのであれば日本代表の一員として出場したい」と明言している。

その熱い気持ちの背景にあるのはどういった思いなのか。そして、新体制で再スタートを切った代表活動にどのような期待感を抱いているのか。

4月9日、ブルズ・ロッカールームでの独占インタビューでじっくりと語ってもらった。

前編〉〉〉河村勇輝が掴んだ手応え「やはりディフェンスで信頼を得ることが一番大事」

【桶谷HC体制の日本代表への印象は?】

――現在はアメリカを主戦場にしていますが、日本代表への想いというのは海外でプレーしていると余計に強くなるものですか?

河村 NBAのシーズン中は各国の代表活動に参加できないというルールがあります。ほかの選手たちが日本を背負って戦っている姿を見ると、自分もあの場に立ちたいっていう風な気持ちにはもちろんなります。日本代表への気持ちが沸々と湧き上がってきますね。ルール的に出られないからこそ、NBAのオフシーズンとか、いいタイミングがあれば、なるべく出たいという気持ちは余計に強くなるものなのかもしれません。

――日本代表は今春、ヘッドコーチ(HC)が交代するという大きな出来事がありました。新たに指揮官になった桶谷大HCとの面識は?

河村 琉球ゴールデンキングスで長くHCをやられている方ですし、日本のなかではベストコーチのひとりだと思っています。Bリーグ時代に何度も対戦したことがありますし、やられたことも何度もあります(笑)。だから今後にもまったく不安はないです。

――桶谷HCの就任が発表されて以降、コミュニケーションは取っていますか?

河村 桶谷さんが日本代表にコミットした時には連絡いただきましたし、僕自身も「一緒にプレーできることを楽しみにしています」と伝えました。

――コーチが代わって以降、W杯のアジア予選でプレーした日本代表のプレースタイルは変わったのでしょうか?

河村 時差もあって、なかなかフルゲームでちゃんとは見られてないんです。少し目を通した限り、オフェンスのところは代表合宿が短かったということもあり、どちらかというと個人の能力を生かしたスタイルでプレーしていたと思います。これからは"ショートロール"というボールを落としてセカンドサイド、サードサイドで展開を作っていくようなバスケットになっていくのかなと感じています。

――ディフェンスの部分はどうでしょう?

河村 ディフェンスはより綿密になっている感じはしました。アシスタントコーチに就任した吉本泰輔さんがディフェンスを担当されていると思うんですけど、やはり試合を見ていても、コントロールディフェンスのルールがしっかりと統制されているなっていう印象はありました。

【ロス五輪の目標とW杯アジア予選で対戦する中国&韓国】

――今の日本代表の目標とは? 当面の大会に一つひとつ勝っていくことが大事だと思いますが、少し長い目で見ての目標はどこに据えているのでしょう?

河村 パリ五輪ではグループリーグを突破できませんでしたが、やれる自信というのは自分たちのなかにはありました。もちろんオリンピックは出場することも簡単ではないですけど、僕たちはもうオリンピックに出ることはある意味当たり前だと思っています。アジアではスタンダードをそれくらい高く持って戦わないといけないですし、W杯でもプライドはしっかりと持ってプレーしないといけません。

 僕自身はしばらく出られていなかったので、チームがどういう目標を立てているのかっていうのがわからないですけど、次のロサンゼルス五輪で予選を突破して必ずベスト8に入るっていうところは間違いなく最低限の目標だと思っています。

――7月上旬には中国、韓国とアウェイで対戦することになります。まず中国の印象は?

河村 中国はやっぱりサイズがありますよね。中国との戦いはそのサイズ、リバウンドの戦いになります。リバウンドバトルをしっかりとコントロールすることができれば、 僕たちには勝機が十分にあると思っています。

――韓国はどうでしょう?

河村 韓国はディフェンスがかなりフィジカルです。 一人ひとりのマンツーマンへの意識が強いので、 ターンオーバーを減らさなければいけません。テイクケア・ザ・ボールをしっかりして、ターンオーバーを減らして、ちゃんといいシュートを打っていく。平面のフィジカルで負けないことと、ターンオーバーをしないこと。このふたつをしっかりと意識すれば間違いなく勝てると思います。

【トムさんは「いや違うだろ、NBAに行くことだろ?」と】

――少し話は逸れますが、河村選手はトム・ホーバス前HCとの結びつきも強かったと思います。今、ホーバス前HCについて思うことは? 

河村 僕がこうやってNBAでプレーしているのは間違いなくトムさんのおかげです。まだ21歳とか若い時に彼が見出してくれて、実績がないなかでも日本代表に選んでくれました。日本代表の一員としていろんな大会を経験させてくれて、それが今すごく大きな財産になっています。

――ホーバスさんとのエピソードが何かあればお願いします。

河村 トムさんに初めて会った時、「目標は何だ?」と聞かれたんです。僕が「日本代表でプレーすることです」と言ったら、「いや違うだろ、NBAに行くことだろ?」と。

僕自身はまだNBAだなんて考えることもなかった時期だったんで、 正直、「すごいことを言う人だな」と思ったのを覚えています。

――何歳の頃の話でしょう?

河村 まだすごく若かったと思います。大学生の頃だったんで、20歳とかでしょうか。そうやって高い目標を持っても、 僕ならやれるっていうことを彼はずっと思ってくれていたのかなと考えています。僕にとっても本当に印象深いエピソードであり、思い出のひとつでもあります。

――そうやって積み上げてきた日本代表に、NBAでやってきたこの 2年間があったからこそ、河村選手が今もたらせるものは何だと思っていますか?

河村 僕も24歳になりましたし、すごく若いわけではありません。これからは日本代表の一人のリーダーとして、 チームを引っ張っていくような存在になりたいです。NBAの強度だったり、 世界のレベル、世界で勝つために何が必要なのかを学んできました。もちろん代表とNBAではまたバスケは変わってくると思いますけど、 この2年間で世界基準をしっかり学んできたという思いはあるので、そこでのメンタリティー、リーダーシップを供給したいです。

 これまではプレーで何とか引っ張っていくという部分が多かったんですけど、これからは一人のリーダーとしてチーム内でもしっかりと声を出していきたいです。若い選手も増えてくるなかで、選手の架け橋になれるような存在でいたいなと考えています。

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