連載「40代現役アスリートの矜持」
後編:【バスケットボール】竹内公輔(全2回)
20年以上にわたり男子バスケットボール界の中心でプレーしてきた竹内公輔。41歳となった今、引き際については強く意識しているが、同い歳のレブロン・ジェームズがNBAの第一線でプレーする姿に「心のどこかで」影響を受けるなど、競技に対する探究心は尽きることがない。
一方で「引退」を決断することで、日本人選手のプレー機会の減少を促すであろう規則のもとで実施される、来シーズンのトップリーグ再編に対する提言になれば、という思いもあるというが−−。
前編〉〉〉41歳の現在までトッププレーヤーであり続ける理由
【引退のタイミングと競技者としての本能の狭間で】
竹内公輔が実業団(プロ)入りした時、チームメートにはスター選手で40歳まで現役を続けた佐古賢一がいたことは、前編で触れた。それ以外にも、佐古とは同学年で竹内とともに日本代表でプレーをした折茂武彦(現レバンガ北海道社長)はさらに息が長く、49歳まで現役選手だった。
チームメートには45歳の田臥勇太もいて、田臥と同学年の五十嵐圭(B3・新潟アルビレックスBB)もまだコートに立ち続けている。いずれも竹内とは親交が深い。
ただ竹内は、できるだけ長くプレーをしたいという願望はあったにせよ、「この人よりも長く現役を続ける」といった具合で目標設定をしてきたわけではなかった。
学生時代も含めて、何度も優勝を経験してきた。Bリーグでは宇都宮で3度、王座に就いた。3月にはEASL(東アジアスーパーリーグ)でも頂点に立った。個人賞も数々、手にしてきた。
「ある程度、(優勝などを)獲らせてもらったので、そう言われると確かに、今何をモチベーションとしてやっているんだろうなというのはありますね」
すでに多くのことを証明してきた彼にとって、何がコート上で激しく戦う理由になっているのかを問われた竹内はこのように答え、言葉を続けた。
「昨季、B1で優勝したのは大きかったです。そこで辞めるっていう選択肢ももちろんあったんですけど、(2年)契約が残っていたんで、とりあえずもう1年やろうっていう気持ちで今シーズンプレーしてきました」
そんな竹内の胸の奥底に、本能的とも言える競技者としての炎が残っていないわけではない。
「BCLアジア(バスケットボール・チャンピオンズ・リーグ・アジア、この大会を経てインターコンチネンタルカップへの出場権を獲得した)で優勝して、インターコンチネンタルカップではスペインのチームにボコボコにされました。心のなかではもう1回、あのチームとやってみたいなと。まったく隙がなくて、みんなが連動していて、すごく衝撃を受けましたし、日本人が目指すべきバスケなんじゃないかと思いました」
【同い歳のレブロンと「Bプレミア」への問題提起】
前編で竹内が言及したレブロン・ジェームズ(NBAロサンゼルス・レイカーズ)が、自身と同じ41歳にしてまだまだ高いレベルでやっていることも「心のどこかで」彼の心を揺らがせる。
「あんな世界一の選手と(自身を)比較はできないですけど、同じ年齢であそこまでのパフォーマンスをいまだに続けているので、心のどこかで『同じ41歳だから』っていうのはあります」
ただ、やはり傾いているのはユニフォームを脱ぐという選択なのか。
来シーズンのBリーグは、NBAに次ぐ世界第2位のリーグとなるための再編「B革新」の初年度となる。それによってトップカテゴリーは現在のB1からBプレミアとなり、規模が拡大する。
しかし、新カテゴリーの華やかさは竹内にとって最重要なことではない。竹内はBプレミアで採用される、コートに立つことのできる外国籍選手数の制限撤廃(現状、同時に出場できるのは外国籍2名プラス、帰化枠かアジア枠の選手1名まで)というルールが「考えさせられるものがある」と吐露した。日本人選手の活躍の場が減ってしまうことが容易に想定できるからだ。
「試合に出てコートの上で貢献できそうなら、もう1年やろうかなっていう気持ちもあります。だけど個人的には、もうちょっと日本人選手が活躍できるようなレギュレーションにしてほしい。
竹内ほどの年齢になると当然、試合に向けて肉体的、心理的にさまざまな準備を経て臨む。仮にBプレミアでプレーをするとしても、上述の外国籍ルールのためにまったく出番が訪れないというのは受け入れがたい。
「この年齢なんで、試合のために準備する時間はどんどん長くなっています。めっちゃ試合に向けて準備をして、気持ちも作って、試合に1秒も出られないっていうのは堪えられないだろうなと思いますし、60試合、メンタルがもたないだろうと。たぶん、自分には向いていないなって思います」
【「公輔さんが一番、見ていますね」と言われました】
竹内に言わせれば、彼のバスケットボールへのモチベーションの高さが頂点にあったのは、競技を始めた中学生の時で、高校、大学時代も「すごく楽しかった」と振り返る。それがプロとなってプレーすることが仕事になってくるにしたがって、「どんどん熱量が下がっていったところは否めない」と語った。
しかしそのことは、バスケットボールへの情熱がなくなったことと同義ではない。ゲームを視聴したり観戦することは「大好き」で、ほかのBリーグの試合やNBA、息子のチームの試合も積極的に観るそうだ。
試合だけではない。宇都宮の練習が収録された映像も、くまなく確認するという。
「うちのチームでは練習も全部、ビデオで撮ってあってそれを練習後にスマホとかで見ることができるんです。まったく観ない選手もいるそうなんですけど、僕は基本、全部観ます。
約20年、プロの世界に身を置いてきたが、竹内の競技への関心、探究心は依然として高い様子だ。選手としての残り時間は確実に少なくなってはいるものの、引退後にバスケットボールから離れるわけではない。ユニフォームを脱いだ後は、指導者になる画を描いている。
「(コーチ)ライセンスは取りに行っています。今はC級を持っていて、この後、B級を取ろうかなと思っています」
声がかからなければできないとは当然、承知しつつ、竹内は指導者としてもトップリーグでやってみたいという。
「中学、高校、大学などの学生カテゴリーというよりも、やるならBリーグのチームでやりたいなという気持ちですね」
竹内がまもなくユニフォームを脱ぐような書き方をしたが、宇都宮は今シーズンも優勝を狙う位置にあり、当然、プレーに集中する。最終的な進退の判断は、シーズンが終わってから下すことになる。
●Profile
たけうち・こうすけ/1985年1月29日生まれ、大阪府出身。洛南高校(京都)―慶應義塾大学―アイシン シーホース―トヨタ自動車アルバルクー広島ドラゴンフライズ―宇都宮ブレックス。206センチ・100キロ。ポジションはフォワードセンター。



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