2025-26大同生命SVリーグ女子のチャンピオンシップ、ファイナルのGAME2が4月26日に横浜BUNTAI(神奈川)で行なわれ、GAME1で先勝したSAGA久光スプリングスが大阪マーヴェラスを下し、SVリーグでは初、国内リーグでは通算9度目となる優勝を果たした。

 そのチームを率いたのが、中田久美監督──。

実に9年ぶりの指揮であり、復帰1年目にしての戴冠となった。

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「SAGA久光スプリングスは私の人生のなかで大きなチーム。再び指揮を執らせていただくことに縁を感じながら、気の引き締まる思いと緊張感を持って臨みたいと考えています」

 昨年6月4日、就任会見でそのように意気込みを語った中田監督。言葉に熱を乗せて口にする姿は、かつて3度のリーグ優勝、皇后杯では4連覇へ導いた前回の就任時とまるで変わらなかった。

 振り返れば、2017年から2021年の東京五輪まで女子日本代表の監督を務めたのち、Vリーグ男子のフラーゴラッド鹿児島でエクゼクティブディレクターに就いた。だが、当の本人は監督業へ「正直、戻ってくるつもりはなかった」と明かす。

 しかし2024年からSVリーグが発足し、「世界最高峰を目指す」ことを掲げて国内のバレーボールシーンが移り変わるなか、「佐賀から世界へ」をテーマにするSAGA久光が就任を要請するかたちで、復帰が決まった。

 もちろん、引き受けたからには、結果を追い求める。就任会見で中田監督は「個人的にはポテンシャルのある選手がそろっている印象ですが、戦う集団としてはまだまだ伸びしろがある」と語った。そのうえで「指示待ちではなく、自分たちで考えられる選手を育てること。それによって勝負強さが生まれる、と考えています」と持論を述べていた。

 いざ復帰初年度、選手たちへのアプローチなどは中田監督自身のなかで変化させつつも、揺るがぬポリシーのもとで「戦う集団」へと叩き上げる。

レギュラーシーズンは開幕3連敗と不穏なスタートとなったが、その直後から13連勝。最終的に首位のNECレッドロケッツ川崎と並ぶ36勝8敗の2位でチャンピオンシップ進出を果たした。

【うしろに飛んだボールは任せた】

 シーズン終盤を迎えるなかで際立ったのは、苦境をはね返す、まさに「勝負強さ」だった。

 PFUブルーキャッツ石川かほくとのセミファイナルではGAME1を1-3で落としたものの、GAME2はシーソーゲームのフルセットを制して勝敗をタイに。運命のGAME3は2セットダウンの窮地から逆転勝利を収めて、ファイナルの切符をもぎ取ってみせた。

 さらにファイナルのGAME1でも、先に2セットを奪いながら相手の反撃に見舞われ、なんと3戦連続のフルセットとなったが、それでも最終第5セットを制した。

 そこから一転、GAME2はストレート勝ち。大阪MVにこれまで見られたような粘りや巧みさが欠けていたのは確かだが、それ以上にSAGA久光のブロックディフェンスが機能した。ブロックシャットだけでなくワンタッチを取るなど相手に決定機を許さず、さらに後衛ではリベロの西村弥菜美を中心としたフロアディフェンスを敷き、ボールを落とさなかった。

 それは数字の上でもはっきりと表れた。大阪MVのアタック決定率は、GAME1が39.8%(181本中72本)に対して、GAME2では33.8%(130本中44本)。ブロックとレシーブの関係性を構築した証(あかし)だった。

 そこにあったのは、選手同士の意思疎通。ミドルブロッカーの平山詩嫣は「GAME1ではブロックで迷ってしまう部分がありました。ですが、レシーブ陣を信じる気持ちで『うしろに飛んだボールは任せた』と信用していました」と言う。

 またファイナルに限らず、試合においては相手にセットを奪われること、さらにはひとつのセットのなかでもリードを許すほか、相手に流れが渡りそうになるシチュエーションは何度もあった。だが、そこでこそ真価は発揮された。中田監督の言葉。

「決して下を向くのではなく、自分たちで解決策を見つけていくように率先してコミュニケーションをとっていました。言葉数も多かったですし、選手たちからは『自分たちでなんとかしよう』という思いがとても感じられました。

 もちろんスタッフから指示を出すこともありましたが、やるのは選手たち、ですから。私たちスタッフができることは限られているので、そのなかでもしっかりと話し合ってプレーする姿が印象的でした」

 それはまさに、選手たちに中田監督が求める「勝負強さ」が宿っていたことを意味していた。

 とはいえ、これがゴールではない。就任会見でも、そしてリーグ優勝後の記者会見でも、中田監督は同じことを口にした。

「リーグ優勝は通過点。世界で戦える選手をひとりでも多く輩出したい」と。

 佐賀から世界へ──。SAGA久光スプリングスと中田久美がつづる物語は新章に突入した。

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