この記事をまとめると
■EVに採用されるモデルはSUVが多い■人気のSUVをEV化することで着実な販売と浸透が計算できる
■床下にバッテリーを搭載するEVでは背の高いSUVがデザインの自由度の高さの面でも有利
人気の高いSUVで出せばそれなりの販売台数をも計算できる
国内外を問わず、現在発売されている電気自動車(EV)の選択肢は、SUV(スポーツ多目的車)が多い傾向にある。
一例をあげると、トヨタbZ4X、レクサスRZとUX300e、日産アリア、スバル・ソルテラ、マツダMX-30などのほか、輸入車では、メルセデス・ベンツEQS SUV、EQC、EQB、EQA、BMW・iX、iX3、フォルクスワーゲンID.4、プジョーe2008、シトロエンC4エレクトリックなどだ。
SUVが目立つのは、世界的にSUVの人気が堅調だからだろう。
ほかに、SUVは背が高く、最低地上高も高めで、床下に数百キログラムのバッテリーケースを搭載するのに容易だとの声もある。背の高い姿は、床下にバッテリーを車載してもなお、外観の造形の調和を取りやすい傾向もある。

それに対し、たとえば4ドアセダンは、SUVに比べ背が低いため、床下にバッテリーを車載したうえで外観の造形の調和を取るのが難しいと、メルセデス・ベンツのデザイナーは語っている。その課題克服のため、メルセデス・ベンツEQSやEQEは、長いホイールベースと短い前後のオーバーハングを活かし、のびやかな造形を創りあげた。

5ナンバーミニバンでのEV登場に期待
ハッチバック車としては、日産リーフが代表的といえる。現在はすでに販売を終えているが、BMW i3は、床下にバッテリーを車載するEVであることを活かした新しい造形に挑戦していた。床が高くなる傾向でも、後席への乗り降りをしやすくするため、観音開きの前後ドアを採り入れていた。

プジョーe208は、床下のバッテリー車載方法を柔軟に考え、前から後ろへ段差のある積み込み方により、ガソリンエンジン車と同じ車体構造でありながらEVであっても室内空間を犠牲にしていない。
同じことは、軽自動車の日産サクラや三菱ekクロスEVにもいえる。エンジン車と共通の車体を使いながら、当初からEVを想定した設計を行うことで、床下にバッテリーを車載しても室内空間は犠牲になっていない。

ミニバンでは、日産e-NV200が、かつてはあった。
EV販売で、SUVを中心に販売台数の確保にこだわる理由のひとつに、日本ではマンションなど集合住宅への基礎充電が十分に設置できずに来た背景がある。東京都は、集合住宅への普通充電設置への支援などをしはじめ、ほかの都市の自治体も、徐々に同様の動きがみられる。

都市部では7割近くが集合住宅住まいとなる日本の現状からすると、戸建てか集合住宅かの区別なく普通充電が普及することで、EVの車種の選択肢も増えていくのではないだろうか。
ことに、根強い人気の5ナンバー車格のミニバンは、EVとなればさらに魅力的な実用車になるはずだ。