この記事をまとめると
■トラックには使用用途の分類が表記されている■「自家用」は自家用貨物自動車のこと
■事業用貨物自動車は「運行」「特定」「一般」の3つに分類される
トラックの使用用途の分類を表している
トラックの運転席や助手席のドア付近に、線で四角く囲んだ「一般」「限定」「自家用」などと表記されている車両が、走っているのを見かけることがあるだろう。これは、トラックの使用用途の分類を表している表示である。
まず「自家用」だが、これは自家用貨物自動車のことで、自社の従業員が運転して自社の人や荷物を輸送するトラックを指している。
これに対して、緑ナンバーをつける事業用貨物自動車は、「運行」「特定」「一般」の3つに分類されている。「運行」の表示は、定期的に定まったルートを走るトラックのことを表す。予め出発地を管轄する陸運支局に、運行管理者資格保持者が運行経路の届け出をしなければならないのだ。「路線」も同義である。
「特定」という表示は、特定貨物自動車運送事業に使用されるトラックを指しており、荷主が特定されている(1社に限られている)場合に表示する。特定の対象となる事業者(荷主)の荷物の大半を、独占的に扱う契約をするということで事業許可を受ける事業形態だ。
次に「一般」という表示だが、一般貨物自動車運送事業に供するトラックという意味で、営業所の管轄区域内において集配業務などにあたる車両のことである。以前は一般貨物自動車運送事業の参入には高い障壁があり、新規参入する企業はまずは特定貨物自動車運送事業事業から着手していたという経緯がある。そういったことがなくなった近年では、「特定」の表示はあまり見られなくなった。
一部は表示義務がなくなっている
軽トラックも同様に自家用と事業用の届け出区分があり、前者は黄色ナンバーで後者は黒ナンバーを取り付ける必要がある。「自家用」には商店・農業・建築関連などといった事業者が多く見られ、事業用は「軽貨物」と表記されて宅配便事業者などが多い。
このほか「通運」は、鉄道で輸送されるコンテナなどの貨物を、出荷先から貨物列車の発車駅までや、到着駅から配達顧客先に輸送する車両に表示する。「航空」は、航空便の集配などに使用される車両に表示する。
「限定」は、用途が限定されている車両に表示する。たとえば、コンクリートミキサー・家畜運搬車・競走馬輸送車などが対象になる。霊柩車・霊柩寝台車も同様だが、事業者によっては「霊柩」と表示している場合もある。
こういった表示とは少し異なるが、ダンプトラック(土砂などを運搬する大型貨物自動車)は荷台に表示番号を掲出している。これは、地名(管轄する運輸支局・自動車検査登録事務所の所在都市名略称)・分類(経営する事業の種類を表示する文字及び記号)・番号からなる。ちなみに、土砂などではなく産業廃棄物などの運搬をするダンプトラックにはこの表示は掲示されないが、逆に「土砂等積載禁止」などと書かれている。

トラックの使用用途の分類以外では、「無償」「有償」「貸切」などの表記も見られる。最近はパロディステッカーとして架空のものも販売されており、ドレスアップの一環として「なんちゃって表示」を、楽しむトラックドライバーもいるという。
「一般」など一部は表示義務がなくなっており、こういった表示も今後は過去のものになっていくのかもしれない。