発電機は燃料消費の抑制やバッテリー充電の役割を果たしている
マイルドハイブリッド車は、モーター走行がなく、あえて購入した意味を運転感覚からは実感しにくいだろう。電動化の効果を体感したいのであれば、ハイブリッド車以上の電動化技術が投入された車種を選ぶべきである。
マイルドハイブリッド車で使われている電動化機能を象徴するのが、モーター機能付き発電機と呼ばれる部品だ。
スズキの場合、従来からの鉛バッテリーのほかに、リチウムイオンバッテリーを軽自動車にも追加することにより適切な性能を実現できるようにした。
このモーター機能付き発電機の働きは大きく2つある。1つは、電気を使ってモーターのように駆動力を発揮することだ。2つ目は、発電機として電気を生み、これをバッテリーに充電することである。その際には、発電機能をより高め、クルマが減速するときを中心にした発電でクルマで使われる電力を十分に充電できるようにしている。
まずモーター駆動では、もともと交流発電機であった部品に、駆動力を出させる機能を追加しているため、それほど出力が大きいわけではない。スズキの軽自動車用で、2.3kWだ。メルセデス・ベンツの場合で16kWである。

これに対して、フルハイブリッドとなるトヨタ・アクアのモーターは45kWある。スズキの軽自動車では、クリープ時にモーターで動く部分はあるものの、マイルドハイブリッド車のモーター機能付き発電機がモーター走行するのが目的でないことは、出力値の比較からうかがうことができる。

発進時のわずかな補助でも排気量の小さいNAエンジンなら効果大
それでも、加速時にモーターの補助力が得られれば、燃費を改善できる。

さらに、加速の際にもモーターの力を追加することで、エンジンの燃料消費を抑えることができる。ことに軽自動車の自然吸気エンジンでは、再加速のときなどでも不満なく速度を上げられるようになる。
またアクセルペダルを戻した減速の際に集中的に発電に切り替え、十分な電力をバッテリーに充電できることにより、発電のためのエンジン稼働(燃料消費)をなくすことができれば、これも燃費向上に効果的だ。

ことに欧州では、2年後の2021年から二酸化炭素(CO2)排出量規制が厳しくなる。さらに30年には35%以上の削減を求められることが決まっている。そのような厳しいCO2排出量規制(実質的な燃費規制)に対処するうえで、まずはより安価に実現できるマイルドハイブリッドの普及が欧州では進められている。
日本では、軽自動車のなかでスズキが燃費性能で先頭に立つのも、マイルドハイブリッドを率先して普及させてきているからだ。