現状でもまだ課題は残るなかトヨタはさらなる挑戦を続ける

第46回東京モーターショーで公開された次期MIRAIのコンセプトカーは、現行車に比べ身近な魅力を伝える造形となった。室内にも高級車の趣がある。現行車が未来を覚えさせる造形であったのに対し、次期型は普通の上級車種を目指したようだ。



性能も改善され、一回の水素充填で走行できる距離が30%ほど伸びるという。水素ステーションがなかなか増えていきにくい現状を踏まえ、少しでも長く走れるようにしたのだろう。生産性も向上し、月販台数1000台の目途が立ったようだ。それが実現すれば、一般社団法人日本自動車販売協会連合会の乗用車ブランド通称名別順位で、50位以内に名を連ねることも夢ではない。



一方、次期MIRAIの開発が進んでいたことに驚きも覚えた。現行車は2014年の12月に発売されたばかりで、まだ誕生から5年しかたっていない。もちろん、通常の車種であれば4~5年がモデルチェンジ期間だろうが、累計販売台数が世界で約1万台といわれる状況で、なぜ次への移行が行われるのだろう。

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もちろん、現行のMIRAIが上梓されたあとも燃料電池車(FCV)の開発が続いていることは承知しているが、それでもなぜという思いが残る。



トヨタは、FCVを究極のクルマと位置付けている。それは電気自動車(EV)と同じように排ガスゼロで走るクルマであるからだ。しかし現状、70MPa(メガパスカル=約700気圧)での水素充填には、二酸化炭素(CO2)の排出量を増やすという懸念が払拭されていないし、70MPaで充填するための水素ステーションには500平方メートル(約150坪)の敷地が必要で、なおかつガソリンスタンドのようにビルの1階に併設できないため、土地の価格が高い都市部での設置が難しい。

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EVならばもっと環境に負荷をかけないで済む

それに対し、EVであればコンセントの口さえ設ければどこでも充電できるのである。

急速充電器の設置にお金がかかるといっても、水素スタンドの建設とは桁が違う。つまり、同じ排ガスゼロ車といっても、エネルギーを補給する設備を拡充するための条件が天と地ほども違うのである。
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さらに、EVであれば既存の電力網との連携により、無駄な発電を減らし、電力の効率化をはかれる潜在能力がある。一方でFCVは、水素を製造しなければならない。水素は無尽蔵といわれるが、水素としてどこかにあるわけではない。物質(例えば水や石油)に含まれた水素を分解し、採り出して初めて燃料として使えるのであり、採り出す過程でエネルギーが必要だ。



クルマを一個の商品(売り物)としかとらえられない発想はFCVを推進し、クルマが移動手段としてだけでなく社会基盤のひとつにもなるという価値の拡大(そこには自動運転とカーシェアリングも含まれる)を視野に未来を描けばEVになるのである。



エンジン車で栄えた20世紀型のクルマづくりや価値しか考えられないでいると、世界人口がさらに増える21世紀には取り残されていくのではないだろうか。そこに早く気付いてほしい。

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