商用車のコネクト技術はかなり進んでいる

昔であれば想像もできなかったのが、各車両が通信をしてクラウドやセンターなどとつながるコネクティッド。音楽が聞けたり、スマホ内のマップをインパネ上のモニターに表示させて検索したり、また緊急時にはボタンを押してSOSを発せられるだけでなく、車速や操作の状態を判断して自動通報もしてくれるなど、ユーザーフレンドリーなサービス内容となっている。システム自体は車両にあるわけではないので、車載装備が最小限で済んだり、更新なども随時できるなどのメリットもある。

今後は周囲を走っているクルマ同士、つまり車々間通信にも使えるなど、将来性や拡張性も期待されている。



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2019年のモーターショーでは、出展メーカーがこぞってデモを行っていたことからもわかるように、じつはトラックなどの商用車でもコネクト技術はかなり普及している。ただ、その内容は、長距離運転で疲れたドライバーを音楽で癒やしてあげたり、マップで経路を表示したり、渋滞情報を提供するといったものではなく、乗用車とはまったく違ったものになっている。



トラック業界の問題をフォローできる機能も

大きなポイントとして、ルート検索と車輌情報のやり取りだ。まずルート検索は一般的なカーナビのように、最短ルードなどを引くのではなく、AIを駆使して荷物をどう運ぶか、どのトラックがどう動くかなど、かなり細かく、実用に即したルートを検索表示する。この背景には、トラックの稼働率や積載効率の低下があり、当然、収益につながる重要な問題だ。

ご存じのように、昨今のトラック業界は低運賃による収益の悪化やドライバーの高齢化など、さまざまな問題を抱えていて、コネクトで効率化することでそれらを少しでも解消することが期待されている。



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そしてもうひとつの車両情報については、CMでもアピールしているオイル交換時期などのメンテナンス情報を通信でやり取りするのはもちろんのこと、故障時についてもその内容をクラウドへと送信。今までの蓄積データから、どの箇所が故障していて、どのような部品が必要かをあらかじめ判断して準備することで、入庫時の効率化や時短を実現する。ただ単純に効率化するだけでなく、こちらも整備士の高齢化などによる整備士不足に対応するもので、ノウハウの共有化といった効果もある。さらにはメンテナンスや故障データが蓄積されていくので、車両開発へのフィードバックが期待されるなど、メリットは多岐にわたる。



これらふたつが、商用車でのコネクティッド技術の活用目的なのだが、将来的に期待されているメリットがもうひとつある。

それが、隊列走行時の制御だ。すでに新東名高速を使用して実証実験が行われているが、車々間通信やクラウドとの通信を行うためにコネクティッド技術は不可欠となるわけだ。乗用車でも自動運転でコネクティッドは重要なシステムなので、この3つ目については商用車でも同じと言っていいだろう。