この記事をまとめると
■2022年7月の車名別新車販売台数の結果を分析



■もっとも売れた新車はトヨタ・ヤリス



■データを読み解くと、ホンダの“攻めの姿勢”が見えた



現在フリードの納期は1~2カ月ほど

自販連(日本自動車販売協会連合会)と全軽自協(全国軽自動車協会連合会)の統計をもとに、軽自動車を含めた(含軽統計)2022年7月単月での通称名(車名)別新車販売台数をまとめると、2022年7月にもっとも売れた新車はトヨタ・ヤリスとなった。軽自動車販売トップのホンダN-BOXにわずか1500台ほどの差をつけてのトップであった。



ハリアーの受注停止にまで発展した「大人気」がゆえに「納期遅延...の画像はこちら >>



とはいうものの、ヤリスは前年同期比で80.5%に終わっている。

一方で登録車のみのランキングで2位のカローラシリーズは前年同期比141.2%となっている。早くて9月あたりにカローラシリーズのセダン、ツーリング、スポーツはマイナーチェンジを実施するともいわれている。新型コロナウイルスも新たな変異株が猛威をふるっており、思うように新車の製造が進まないなか、改良前モデルのバックオーダー消化もラストスパートといったところのように見える。またカローラ・クロスも深刻な納期遅延が続いているので、7月は生産資源をカローラシリーズに集中させているようにも見える。



総合ランキングで10位にホンダ・フィットが入っている。こちらも、改良を控えてのラストスパートといえるかもしれない。

2022年に入り2月以降はフリードがホンダの登録車では販売トップを維持していたが、今回はホンダ車のなかで3位になっている。6月末にマイナーチェンジを実施し、一時的に供給体制が鈍ってしまったようだ。



ハリアーの受注停止にまで発展した「大人気」がゆえに「納期遅延」に苦しむトヨタ! その間隙を突くホンダの攻めが見えた7月の新車販売動向



ただ、ライバルであるシエンタの新型も近々デビューするので、フリードはガソリンで1カ月、ハイブリッドで2カ月という、かなり早い納車が可能となっている。ホンダでの販売中核車種となっているので、8月以降は再びホンダ登録車でトップになる可能性も十分ある。総合ランキングで2位となっているN-BOXより納期が短くなっていることからも、9月の事業年度締めでの半期決算セール及び、暦年締めでの年末セールへ向け、かなりねらい目の新車になっているといっていいだろう。



ホンダが往年の“攻めの姿勢”を見せる!

フリードの兄貴格となるステップワゴンは、同クラスでライバルとなるノアやヴォクシーよりもランキングが上となっている。ノア&ヴォクシーを合算した“同クラストヨタ車”で見れば大差で負けてしまうが、大健闘といえるだろう。

しかも、ノア&ヴォクシーのハイブリッドでは、納車まで1年ほど待たなければならないなか、ステップワゴンは新型ながら8カ月ほどで納車が可能となっている。ホンダはトヨタ車にガチンコのライバルが存在するモデルに特化し、納期短縮をめざした生産配分をしているように見える。深刻な納期遅延を覚悟してでもトヨタ車を選ぶ人たちへのアピールになっていくか、注目していきたいところだ。



ハリアーの受注停止にまで発展した「大人気」がゆえに「納期遅延」に苦しむトヨタ! その間隙を突くホンダの攻めが見えた7月の新車販売動向



トヨタではヤリス・クロスを除くヤリス全般、ルーミーやライズのガソリン車などが、うまくいけば年内納車も可能かもしれないといった状況だが、ミニバン全般の納期は遅延傾向が目立ち、カローラ・クロスのハイブリッドは納期未定となっている。



そして最近では、ハリアーの受注停止が話題になっている。この受注停止の理由について、筆者は次のように聞いている。



改良前、つまり現行モデルのバックオーダーが消化しきれなくなり、生産しきれなかった一部のバックオーダー分がこの先予定されている改良後モデルへ繰り越され、その繰り越しによってすでに改良後2023年の年間生産枠まですでに埋まってしまったというのだ。それゆえ、このまま新規オーダーを取り続けると、改良後モデルを買おうとしたお客のバックオーダーが、改良のさらに先に予定しているマイナーチェンジモデルへと繰り越される事態も起きそうになったので、受注停止の事態になったという。



ハリアーの受注停止にまで発展した「大人気」がゆえに「納期遅延」に苦しむトヨタ! その間隙を突くホンダの攻めが見えた7月の新車販売動向



それでも、自販連による2022年1月から6月まで、つまり暦年締め上半期登録車販売台数をみると、トヨタが全体の約48%を占め“トヨタ一強”を維持している。巨人トヨタの弱みである納期で、往年の“攻めの姿勢”を見せるホンダに、メーカーらしさを感じてならないのは筆者だけではないはずだ。



2022年7月単月通称名(車名)別新車販売ランキング

トヨタ・ヤリス(18679台)



ホンダN-BOX(17105台)



トヨタ・カローラ(13054台)



ダイハツ・ムーヴ(8673台)



スズキ・スペーシア(8485台)



日産ノート(8371台)



トヨタ・ルーミー(8133台)



スズキ・ワゴンR(6767台)



ダイハツ・タント(6485台)



ホンダ・フィット(6462台)



日産セレナ(6359台)



日産ルークス(6197台)



トヨタ・ライズ(6117台)



ホンダ・ステップワゴン(5708台)



ダイハツ・タフト(5576台)



ホンダ・フリード(5462台)



スズキ・ハスラー(5361台)



トヨタ・アクア(5168台)



スズキ・アルト(5106台)



トヨタ・ノア(5010台)



ホンダ・ヴェゼル(4497台)



トヨタ・ヴォクシー(4034台)



日産デイズ(3834台)



ホンダN-WGN(3732台)



スズキ・ジムニー(3323台)



日産サクラ(3319台)



トヨタ・ランドクルーザー(3296台)



スズキ・ソリオ(3264台)



トヨタ・アルファード(3085台)



トヨタ・パッソ(3052台)