コメの価格は少しずつ下がり始めていますが、令和の“コメ騒動”は続いています。赤字覚悟の卸売業者、新たなビジネスに打って出る農家。
5月12日、名古屋市北区。訪ねたのは、富山県に本社を構えるスーパー「アルビス」。コメの値段はどうなっているのでしょうか。
(大石邦彦アンカーマン)
「富山発のスーパーということもあって、富山県産のコシヒカリがいっぱいありますが、5キロ税込で5379円。ブレンド米だと、5キロ税込で3543円です。徐々にコメの価格は下がっていると言えそうですね」
下がり続けるコメの販売価格 過去最高は4416円 ピークから670円安に
スーパーでの販売価格の推移を見ると、今年の過去最高(2025年12月29日~2026年1月4日)は、5キロ4416円。5月4日~10日は、5キロ3742円。前の週より54円安く、3週連続の値下がりです(取材当時)。
(買い物客)
「5キロ3700円台なら良いかなとは思うけど」
Q.一時期は高過ぎた?
「そうね。5キロ5000円とかする時あった」
(買い物客)
Q.自宅にはコメがある?
「もうあまりないので、いくらくらいか見に来た」
Q.今、見て素通りしましたよね?
「ちょっとずつ値段が下がってきている印象があるので、もう少しお値打ちになった時に買いたい」
在庫は去年の約2倍… 「赤字覚悟で販売するしか…」
古米どころか古古古古米まで放出され、大行列ができた頃に比べると落ち着きつつありますが、落ち着いていられないのが卸売業者です。
(ギフライス 恩田喜弘社長 5月12日)
Q.去年の今頃、倉庫はどんな状態でした?
「4月末の在庫だと、去年より2万俵(1200トン)多い」
「ギフライス」では、去年4月末に1400トンだった在庫が、今年は2600トンに。2倍近くのコメが残っている状態です。
(恩田社長)
Q.この在庫をどう売っていく?
「ディスカウントして差損を出して販売するものと、利益のバランスを取ってなんとかトントンくらい。
中東情勢が悪化 “ナフサショック”で小売り用の袋がない
「赤字覚悟」の安売りも。
(恩田社長)
「スーパーに出荷するコメだが、2000円台で販売される」
Q.このコメは高く仕入れた?
「初めは高く仕入れて、3月までに差損を出して販売した」
Q.去年秋~今春でどのくらいの赤字?
「1億5000万円くらい」
5月20日に発表された国の見通しでは、今年の新米の生産量は約733万トンと大幅な増産が進んだ去年とほぼ同じ。いまの在庫は高く仕入れたものばかりですが、新米が出てくる前に売り切らないと、このまま在庫を抱えることになりかねません。さらに、売ろうにも「製品にする袋がない」という問題が。
(恩田社長)
「中東情勢の悪化で原料のナフサがなかなか入ってこない。発注をかけても、いつできてくるかわからない状況。綱渡り状態です」
コメに付加価値をつけて「新たな需要の創出を」
コメ価格が下落していることについて、農家の方はどう思っているんでしょうか。愛知県半田市の若手コメ農家・近藤匠さん。4月中旬から今年の田植えが始まっています。
(コメ農家 近藤匠さん)
Q.コメが余って価格が下がっているが、農家の方としてはどんな思い?
「複雑ですよね。ちょっと前までは足りなくて、コメの値段が上がっていましたし。一年に基本は一作で、ころころ経営転換はできないので、品質の高いコメをたくさん作ることを変えずにやりたい」
近藤さんの田んぼでは、収穫時に根元を残してそこから再び穂を実らせる「再生二期作」を行っていて、通常の米作りに比べ最大1.5倍の収穫ができています。今年も二期作を予定していますが、コメ余りになることは織り込み済みだと言います。
(近藤さん)
「品質の高い農産物を、どれだけ収穫できるかが“売上高”になる。
新製品は開けてすぐ食べられる「5年保存可能なおにぎり」
売り出そうとしているのが、コメの新製品です。
(近藤さん)「5年もつ おにぎりです」
(大石)「長期保存5年と書いてある。開けてすぐ食べられる愛知県産米100%」
(近藤さん)「個包装で(1袋に)2つ入っている」
(大石)「見た目は餅に近い」
(近藤さん)「ちまきっぽい感じ」
5年間常温保存が可能なおにぎり。保存料や防腐剤は使わず、温めも必要ないといいます。
(大石)
「普通のおにぎりより少しザラっとしているが、噛めば噛むほどコメの甘みを感じる。美味しい」
塩おにぎりの他にも、醤油やカレー、五目など味も色々。五目は、ニンジン・ひじき・鶏肉など具材もたっぷりです。
「水なしで食べられる」新たな価値の創出 農水大臣のお墨付き
(近藤)
「水なしで食べられるのが特に重要。災害が起きた時に水は飲むだけでなく、手を洗ったり体を拭いたり、いろいろ用途がある。物資が届かずインフラも整わない状況で(このおにぎりが)一番役に立つかなと」
宮崎県の工場で作られる、このおにぎり。コメに付加価値を創出する取り組みとして、農水大臣の認定も受けています。
(近藤さん)
「作りすぎると、今も価格下がっていますが、暴落に繋がる恐れがあるので、いろいろな需要の創出・販路の開拓をコメでやっていきたい。日本は地震大国なので、防災にコメを役立てられないかと」
コメ不足と価格高騰から一転、コメ余りとまだ続く“令和のコメ騒動”。
CBCテレビ「newsX」2026年5月21日放送より

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