ケン・キージーの小説で、ジャック・ニコルソン主演の映画(1975年公開)で世界的に知られるようになった『カッコーの巣の上で』。舞台版としては1963年にブロードウェイで初演されており、日本国内でも幾度となく上演されている。
抑圧への怒りを投影。マクマーフィーに感情移入する自分と向き合う
――「何度も観返すほど好きな映画」とコメントされていますが、それほど松尾さんを惹きつけるものとは?
やっぱり役者の芝居が素晴らしいですよね。マクマーフィー役のジャック・ニコルソンは言うまでもなく、当時まだあまり知られていなかった個性的な役者も多く、その演技だけでずっと見ていられる。あとミロス・フォアマン監督の作品って、普通じゃない人が出て来るんですよ。で、そこに人が魅了されたり、反発を覚えたりする中で、だんだん周囲にそぐわなくなって不幸になる、みたいな。自由に生きるってすごく不自由なんだ、というところに非常に共感しました。
――舞台版ならではの魅力とは?
もともとは映画の存在しか知らなかったんです。でも加藤健一事務所でやっていた舞台版(※1991、97年。上演時のタイトルは『カッコーの巣の上を』)を観た時に、これはこれでやっぱり面白いなと。映画ではみんなで釣りに行ったり、わりと愉快なシーンもあるんですが、舞台ではもっとガチッと閉塞された空間の中で濃密なドラマが動いていく。
――その舞台版の演出のお話があった時は、まずどう思われましたか?
翻訳ものをやるとしたら、自分にできるのはなんだろう?といつも考えているんです。それはやっぱり演出家としての自分、みたいなものと年齢を重ねて向き合い始めたということでもあるんですが。やっぱり演出家の人生にとって、翻訳ものも視野に入れたほうが豊かですから。そういった中で『カッコー~』というのはいつかやってみたい戯曲だったので、非常に嬉しかったです。
――翻訳もののストレートプレイとしては『欲望という名の電車』(2011年)以来となります。その時は演出家としてどんな発見があったのでしょうか?
『欲望~』は反省点があって、ちょっと遊び過ぎたかなと思うんです(苦笑)。そんなに遊ばなくていいというか、やっぱり原作者の意図をしっかり汲んだほうがいい。それはあれから10何年やってきて再認識したことです。
――この『カッコー~』に関しては、作家のどんな意図を感じていますか?
めちゃくちゃ感情移入していますね。今も上演台本を書きながら、マクマーフィーの気持ちになり切っちゃっていて。
――マクマーフィーに自分を見てしまう、ということでしょうか。
そうですね。ただ今回は、そんな自分の感情に身を任せてみようと思っています。自分がこの芝居に感情移入する根拠はなんなのか? そこに向き合っていきたいなと。わりと僕は俯瞰した立場から“世界”ってものを見て書く癖があるんですが、今回はグッと寄ってみる。そのほうがこの芝居の魅力が引き立つんじゃないかと思っているんです。
――近年はショーアップされた作品が続きましたが、演出面ではどういったことを心がけていきたいと考えていますか?
俳優の力を信じて、演技だけで見ていられるような舞台を作りたいと思っています。前回の『クワイエットルームにようこそ The Musical』みたいな派手な、まぁ自分でもあんな派手になるとは思っていなかったんですけど(笑)、凝った演出にはならないだろうなと。やっぱり演出家って振れ幅があって、ああいうものをやったあとは、もっと地道な人間ドラマが見たいと思う。それは当然の摂理だと思います。
間宮祥太朗の存在感×江口のりこのカリスマ性
――主人公のマクマーフィーに間宮祥太朗さんをキャスティングされた狙いは?
やっぱり等身大の人間の芝居って多いと思うんです。でもこのマクマーフィーって、僕が作った『ふくすけ』(91、98、12、24年)のフクスケとか、あれぐらいカリスマ性のある人物ではないかなと。小さなコミューンの中における、ひとつ象徴的な存在というか。そういう非現実性を背負わせるに値する存在感が、間宮くんにはあると思います。
『カッコーの巣の上で』メインビジュアル
――マクマーフィーと対峙することになるのが、江口のりこさん演じるラチェッド看護婦長です。
江口さんは江口さんでなんかカリスマ性があるんですよね。極論を正論にしてしまう、納得させてしまうところが魅力的で。だからこそ、“規律”ってものをどこまでも大事にするラチェッドを演じて欲しいなと。ラチェッドもマクマーフィーが現れなければ、あんな人にはならなかったはずですから。彼に引き出されていくのであって、つまりあの悲劇はふたりのコラボレーションなんですよね。
――この作品を今上演することの意味を、改めてどのように考えていますか?
なにと引き換えに自分の“自由”を差し出しているのか、それをもう一回問い直してもいいんじゃないかと思っています。僕も争いごとは大嫌いですが、やっぱり争いごとを避ければ避けるほど傷ついていく。傷ついた自分ってものの澱は溜まっていくわけですから。
取材・文:野上瑠美子 撮影:You Ishii
<公演情報>
PARCO PRODUCE2026『カッコーの巣の上で』
原作:ケン・キージー
脚色:デール・ワッサーマン
翻訳:髙田曜子
演出:松尾スズキ
出演:
間宮祥太朗 坂東龍汰 近藤公園 山口航太
菅原永二 黒田大輔 徳井優 金子清文 篠原悠伸
片山萌美 東野良平 吉田ヤギ 中野亜美 田尻祥子
/皆川猿時 江口のりこ
スウィング:高橋卓臣 川﨑志馬
【東京公演】
2026年6月7日(日)~29日(月)
会場:PARCO劇場
【愛媛公演】
2026年7月4日(土)・5日(日)
会場:愛媛県県民文化会館 メインホール
【大阪公演】
2026年7月10日(金)~13日(月)
会場:森ノ宮ピロティホール
【北九州(福岡)公演】
2026年7月18日(土)・19日(日)
会場:J:COM 北九州芸術劇場 大ホール
【仙台(宮城)公演】
2026年7月24日(金)~26日(日)
会場:仙台銀行ホール イズミティ21 大ホール
関連リンク
チケット情報:
https://w.pia.jp/t/cuckoo/(https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2666004&afid=P66)
公式サイト:
https://stage.parco.jp/program/cuckoo/

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