アイルランドの首都ダブリンにある国立の文化施設「チェスター・ビーティー」が所蔵する世界有数の日本の絵巻と絵本のコレクションが38年ぶりに里帰りする展覧会が、4月27日(月)から7月20日(月・祝)まで、上野の東京国立博物館で開催される。アイルランドと日本の友好関係にも光をあてる展覧会となっている。
「チェスター・ビーティー」は、アメリカの鉱山開発で成功した実業家アルフレッド・チェスター・ビーティー卿(1875–1968)のコレクションを収蔵する施設。世界中から集めた文化財2万5千点あまりを所蔵し、当初は私設図書館として設立されたが、のちに展示ギャラリーを加えて美術館機能も備えるようになった。ヨーロッパ、中東、北アフリカ、アジアの多岐にわたる地域の写本や稀覯本など貴重な文化財を所蔵し、日本の美術品も充実している。1917(大正6)年に日本を訪れたビーティー卿は、特に日本の物語絵については、ヨーロッパ随一のコレクションを築いたのだった。
チェスター・ビーティー外観
今回の展覧会は、そのコレクションから、アイルランド外ではなかなか見ることのできない選りすぐりの日本の物語絵25点を紹介するもの。大きな見どころのひとつは、「在外日本古美術品保存修復協力事業」によって修理をされた狩野山雪による《長恨歌絵巻》。中国の玄宗皇帝と楊貴妃の悲恋を描いたこの豪華な絵巻は、同館を代表する傑作だ。
《源氏物語絵巻》 巻一 江戸時代・元禄元年(1688)頃
コレクションの特徴としては、とりわけ物語絵が質・量ともに充実していること、また説話絵巻や軍記絵巻では、日本では類例が確認されていないものが多いことで知られる。今回も『源氏物語』54帖の詞と絵を収めた大型の絵巻や、源義経に仕えた弁慶の物語絵巻が登場する。短編物語集の御伽草子(おとぎぞうし)からは、《酒呑童子絵巻》など、独創的な表現の作例が見られるのも興味深いところ。そのほか、音楽を伴って舞う芸能である「語り物」を絵画化した優れた作品や、伊藤若冲(じゃくちゅう)の版画巻《乗興舟》など、貴重な作品が並ぶ。まさに「絵本と絵巻のたからばこ」と言えるコレクションを、ぜひこの機会に堪能したい。
伊藤若冲筆《乗興舟》 江戸時代・明和4年(1767)頃
※本展に出品される作品はすべてチェスター・ビーティー所蔵です。
Images courtesy of the Trustees of the Chester Beatty Library, Dublin
<開催情報>
『アイルランド チェスター・ビーティー・コレクション 絵巻と絵本のたからばこ』
会期:2026年4月27日(月)~7月20日(月・祝)
※会期中、一部展示替えがあり
会場:東京国立博物館 本館
時間:9:30~17:00(※金・土曜、5月3日(日)~5月5日(火・祝)、7月19日(日)は~20:00)、入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜(※ただし、4月27日(月)、5月4日(月・祝)は開館)
料金:一般1,000円 、大学生500円 ※東博コレクション展観覧料
公式サイト:
https://www.tnm.jp/

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