【TETSUYA & Like-an-Angelライヴ特集 PART2】 「こんなTETSUYAは初めて観た」 初のアコースティック編成で見せたヴォーカリストとしての“凄み” <TETSUYA Billboard LIVE TOKYO>ライヴレポート

今まで観たなかで、もっともエモーショナルで、もっとも開放感たっぷりにサウンドを感じ、歌を謳歌しているTETSUYAに出会ったライヴだった。

昨年11月、L’Arc-en-Cielのリーダー tetsuya(Ba)がソロシンガーとしてパフォーマンスするTETSUYAの単独公演<TETSUYA Billboard LIVE TOKYO>がBillboard Live TOKYOで開催された。

普段はベーシスト、それでありながらも、この格式高いBillboard Liveに歌、楽曲、その存在感までもがピッタリということで4年間連続してここでライヴを行なっているTETSUYA。ファンの間ではいまやこのBillboard Live無しでは年を越せないというぐらい彼の冬の定番行事となっているが、TETSUYA自身にとっても、このBillboard Liveは特別な表現の場所。今年はそのBillboard Liveというシックなライヴ空間で、TETSUYAの音楽世界をさらに深く味わってもらおうと、新たな試みとして初のアコースティックバンド編成のアンサンブルで登場。その特別な一夜を彩る限定メニューとしてコラボスイーツ(グルテンフリーでベイクドドーナツ)も用意して、11月22日、28日の2日間に渡って、全4公演を開催した。ここでは、そのなかから11月28日の1st公演の様子をレポートする。



ヴォーカリストとして新たな領域を更新していく

【TETSUYA & Like-an-Angelライヴ特集 PART2】 「こんなTETSUYAは初めて観た」 初のアコースティック編成で見せたヴォーカリストとしての“凄み” <TETSUYA Billboard LIVE TOKYO>ライヴレポート

今回のBillboard Live公演では1st STAGEはサラサラ、2nd STAGEではゆるふわパーマとヘアスタイルをガラッと変えて登場し、ファンを驚かせたTETSUYA。1st STAGEの開演時間になると、サラサラヘアのTETSUYAが客席の横から突然現れ、驚く観客たちに手を振り、バンドメンバーである山口俊平(Gt)、notch(Per),今回初めて参加となったAkki(Pf)がスタンバイするステージへと向かっていく。ライヴの1曲目は「Make a Wish」。この日はTETSUYAソロということで、ファンたちは久しぶりにペンライトを揺らして、客席をその光の色で演出していく。ステージ上のTETSUYAはオープニングからじつにリラックスした雰囲気。生演奏は、やはりサウンドのグルーヴ感が違う! それに伴って、1曲目からTETSUYAの歌が弾けている。



曲の爽やかな空気感が場内に広がっていったところで、続けて「魔法の言葉」が始まると、軽快にはずんでいくパーカッションにのせられ、観客たちの身体も揺れる。TETSUYAが“君が傍にいればいい”と甘い魔法の言葉を伸びやかな歌声で届け、観客の心をとろけさせていくと、気持ちが高ぶったファンが曲終わりに「テッちゃーん!」と叫び、場内はたちまちハートウォーミングな空気に包まれていく。



そのあとは、スポットライトがTETSUYAだけを照らし、照明を浴びて全身が光り輝くなか「Fantastic Wonders」を歌い始めると、客席はこの選曲にさらにときめく。“世界を変える為に僕は生まれて来たよ”、と輝かしきヒーロー像を伝えながらも、その裏では“誰にも見せない涙 流しているのさ”と歌う歌詞にTETSUYAを重ね合わせると、せつない思いで胸が締め付けられそうになる。それを吹き飛ばすように、アンサンブルはアグレッシブな演奏を聴かせる。サポートのAkkiはとびきり情熱的にピアノを奏でるプレーヤーで、この曲でも激しい伴奏でサウンドにフレッシュなエネルギーを注いでいく。それに伴ってTETSUYAのヴォーカルまでどんどん高まっていき、“愛を叫ぶのさ~”のところでは、これまでやったことがないようテンションでこのメロディーを歌唱! 歌で、こんなTETSUYAは初めて観た。



それはTETSUYA本人も感じていたようで、客席に挨拶をした直後、「(前回から)1週間ほど経って、ちゃんとバンドみたいじゃない?」と興奮気味に客席に語り掛ける。その理由を「先週、ライヴが終わったあと、やっと4人でコミュニケーションがとれて(←みんなでご飯に行ったのだとか)。その結果がこの演奏」と明かした。



そうして「不思議でしょ? すごいな~、バンドって。(これまでのように)僕一人で歌うのとは違う。いいですね、生演奏。幸せです」としみじみと語る。

「それも、みんなが集ってくれてこそできることなので、みんなありがとう」と観客に向けての感謝の言葉でMCを締め括ったあとは、「READY FOR WARP」でライヴが再開。ここではAメロ、サビのみをハーフテンポに落としたアレンジで、BメロのTETSUYAのハイトーンがさらに輝きを増し、彼の歌声が天井を突き抜け、宇宙まで突き抜けていった。間奏に入る部分では、バンドメンバーが“HEY!”とかけ声を入れるところで身体を使ったパフォーマンスで表現して、場内を盛上げていく。



それに応えるように、TETSUYAは“君の所へ~”をこれまで見せたことのない歌い方で激しく歌唱! ヴォーカリストとして新たな領域をグイグイ更新していくTETSUYAに驚かされ、心は大興奮!



その興奮を拾い上げるような情熱的なパーカッションから、曲は「愛されんだぁ I Surrender」へ。すぐさま客席からはおなじみの”ン、タタッン“という変則的なクラップが巻き起こる。ドラム、ピアノ、ギターが一丸となって、バンドがアコースティックとは思えないほどパワフルなグルーヴを奏でるなか、TETSUYAのヴォーカルもどんどん熱を帯びてロック感を増す。その上に、TETSUYAサウンドには欠かせないコーラスが主旋律を追いかけるように美しく重なり、曲の立体感を引き立てていく。この日のコーラスはすべて、TETSUYAが事前に歌って録音したものを同期で流していたが、Billboardという会場で聴くと、彼が創作したコーラスが楽曲を彩るだけではなく、単体で聴いてもじつに優雅で美しく、人を魅了するメロディーなのだというのがはっきりと分かる。このコーラスワークもまた、TETSUYAの楽曲、音楽表現であり、このメロディーセンスが彼の”歌うベース“プレイに繋がっているのだ。



歌い終えたTETSUYAは、静かに後ろを振り向き、マイクスタンドを持ってきてセンターにセットする。下を向いて一息ついたあと、歌い出したのは「白いチューリップ」だった。淡い照明がステージを照らすなか、柔らかい歌声が、高まっていた熱狂を鎮めていく。

TETSUYAの楽曲のなかには、身近な人の死を感じさせる楽曲が何曲かある。この曲もそのなかの1つ。”行かないで“で、その悲痛な思いを最大限に爆発させたあと、ラストの1節を普段は使わないような低音ヴォイスを使って、1オクターブ下で歌い、悔やむ気持ちをメロディーにのせ、空へとそっと届けていった。



「この親密な関係、いいね」

【TETSUYA & Like-an-Angelライヴ特集 PART2】 「こんなTETSUYAは初めて観た」 初のアコースティック編成で見せたヴォーカリストとしての“凄み” <TETSUYA Billboard LIVE TOKYO>ライヴレポート

歌で楽曲にたっぷりと浸らせていったあとは「いやぁ~、いいね。この近い感じが。親密な関係」といって、TETSUYAがファンを現実世界へ引き戻していく。このあとは、その親密というといころを発展させてトークコーナーへ。昔、ken(Gt/L’Arc-en-Ciel)の母親に「アンタら、深い関係なんか?」といわれたというネタから、さらにkenの母親の話が続き、ラルクの「In the Air」という曲について「あんた、“背に刺さったナイフ”って?」と突っ込まれた話を暴露。当時、kenの家とTETSUYA 宅は「ギリ、糸電話で話せる」ほど近所にあったそう。「だから、kenちゃんは僕の家の前を通らないと家に帰れなかったの。」といってファンを笑わせた。そうして「みんなとこうして密な空間で共有できて嬉しい。ありがとう」と伝えたあと、ファンに教えられて「え?今日kenちゃん誕生日? そっか! おめでとー!」とラルクのメンバーの話題で、ファンと大いに盛り上がったあと、ライヴは後半戦へ。



TETSUYAのタイトルコールから「FATE」が始まる。

しっとりとしたオレンジ色の照明が広がり、サウンドはジャジーなムードからスタート。しかし、そのムードはすぐに一変。激しいピアノの伴奏が鳴り響き、周りを引き連れて暗闇へと堕としこんでいく。その波にあらがうように、サビをまくし立てて歌うヴォーカル。音がせめぎあうなか、間奏でギターがさらに不安な空気を煽り立てていったあと、TETSUYAが“何もしない事は残酷で~”のところのメッセージをもっともエモーショナルに歌いあげていく。エレクトリックなバンドバージョンとはまた違う、スリリングなパフォーマンスで観客を魅了したあとは、蟻地獄な「REGRET」へ。ここでもバンドと歌、相互が張り詰めたような緊張感が続いていくプレイで、このバンドセットならではのサウンドで内なるボルテージを高めていって、本編ラストの「誰がために鐘は鳴る」へとつなぐ。



華麗なピアノの旋律にオートチューンを使った冷たい質感のエフェクトヴォイスが重なり、デジタルなこの曲のポテンシャルをアコースティックセットで「この曲、こんなに凄かったのか」と衝撃を受けるほどカッコいいサウンドへと見事にまとめあげて見せて、本編はあっという間に終わりを告げた。



「音楽って不思議だよね」

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アンコール、2階席から姿を表わして観客を驚かせながら再びステージへと上がったTETSUYA。「みんな生まれてくれてありがとう。出会ってくれてありがとう」と客席を見ながら、やさしくファンに語り掛けた。そうして「僕の歌も、作る曲も、ベースも全部僕の1部。

こうやって音楽漬けの人生が送れて幸せです」と告げた後、改めて「僕も音楽に助けられてきたけど。…音楽ってなんなんですかね。ただ空気を揺らしてるだけなのにそれで元気が出たり、勇気をもらったり…。不思議だよね」とつぶやいた。そうして、そんな音楽をずっとできていることが「幸せです」と再度ファンに感謝の気持ちを伝えていった。「最後にもう1曲聴いて下さい」といって、「15 1/2 フィフティーンハーフ」が始まると、イントロでステージ後方のカーテンが開き、TETSUYAの後ろに六本木のラグジュアリーな夜景が広がる。アコースティックギターの音色が、冬の夜空に夏の風を吹かせていく。TETSUYAは時折後ろを振り向きながら、その夜空に想いを馳せこの曲を届けて、ライヴはエンディングを迎えた。



「ありがとう。まったね~!」といういつもの挨拶で、手を振りながらステージを去っていったTETSUYA。このあと、場内ではLike-an-Angelの新曲「Crash to Rise」のミュージックビデオがフルで公開された。年末から2026年に向けて、TETSUYAはLike-an-Angelのツアー<Like-an-Angel TOUR 2025-2026“Crash to Rise”>を開催する。

さらにバンド感が高まったライク、そこでのtetsuyaのベースプレイをこちらでは堪能して欲しい。




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毎年恒例のBillboard Live公演が、今年も横浜、大阪、そして台北の3ヵ所で行われます。“Billboard Live Tour”初の海外公演。ぜひお楽しみください。

“TETSUYA Acoustic Live Tour 2026 at Billboard”
2026年9月03日(木) Billboard Live YOKOHAMA
2026年9月05日(土) Billboard Live OSAKA
2026年9月12日(土) Billboard Live TAIPEI

https://www.tetsuya.uk.com/




取材・文/東條祥恵



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