開始早々絶好調の『ウルトラマンオーブ』。前回のレビューでは、主人公クレナイ ガイ(石黒英雄)の“風来坊”っぷりを書いただけで終わってしまったので、今回は光の戦士、ウルトラマンオーブと特撮関連を中心にレビューしてみたい。

光の力をお借りして変身する礼儀正しいヒーロー「ウルトラマンオーブ」2話

ウルトラマンオーブは、ガイがオーブリングというアイテムに歴代ウルトラマンの力を宿したウルトラフュージョンカードを2枚差し込んで変身する。第1話と第2話は、ウルトラマンとウルトラマンティガを合成(フュージョンアップと言う)した形態であるスペシウムゼペリオン(ウルトラマンとティガのそれぞれの必殺技、スペシウム光線とゼペリオン光線を合体させた名)に変身した。どうやらこれが一番ベーシックな姿らしい。登場時の決めゼリフは「光の力、お借りします!」

今後はさまざまな歴代ウルトラマンを組み合わせた形態が登場することになる。7月2日に放映された『ウルトラマンオーブ 直前スペシャル』では、ウルトラマンタロウとウルトラマンメビウスをフュージョンアップさせたバーンマイト、ウルトラマンジャック(いわゆる『帰ってきたウルトラマン』)とウルトラマンゼロ(ウルトラセブンの息子)をフュージョンアップさせたハリケーンスラッシュが紹介されている。
登場時の決めゼリフはそれぞれ違うようなので、放映時のお楽しみに。

ウルトラマンをクラウドから呼び出して使っているという印象を受けたが、ファンの中には「カードを使って光の国金融から光の力を借りている」という表現を使っている人もいた。そっちの方が秀逸。限度額は3分だ。

ウルトラマンオーブは光の戦士としては最年少なので、ウルトラフュージョンカードを出すときも「ウルトラマンさん」「ティガさん」と、ちゃんと「さん付け」で接しているのが好感度高い。気ままな風来坊はなかなか礼儀正しいのだ。


オーブリングはけっこうデカくて、これまでのウルトラマンの変身アイテムのようにこっそり持ち歩くことはできなさそうだが、ガイはあっさりどこからともなく取り出すことができる。ちなみにガイは帽子もどこからともなく取り出すが、田口清隆監督は「ガイは人間にウルトラマンが憑依しているのではなくウルトラマン自身なので、巨大化できる人が帽子をどこからともなく出すくらい余裕だろう」と説明している。

なお、第1話ではオーブリングを使った変身が目立つと思ったのか、証明写真機の中に飛び込んで変身している。『スーパーマンIII 電子の要塞』でも同じように証明写真機の中で変身するシーンがあった(変身の模様が連続写真になって出てくるネタも一緒)。

「オーブ(ORB)」とは、英語で「球体」を意味する。写真に写る白い水滴のような球体(玉響現象)をオーブと呼ぶ人が多い。
また、キリスト教の支配を意味する「宝珠(十字架のついた球体)」という意味もある。The Orbというテクノユニットを思い出した人もいるかもしれない。オーブリングやカラータイマー周辺のデザインにも「球」が意識されているが、この名前にどのような意味が持たされているのかは、追々明らかになっていくだろう。

特撮の魂が現れたビル室内からのショット


第2話ではウルトラマンオーブと対峙するライバル、ジャグラス ジャグラー(青柳尊哉)と、彼が操る魔王獣についても少しずつ明らかになっている。

ジャグラス ジャグラーはいつも黒いスーツに身を包み、SSPのナオミ(松浦雅)に「ここで何してるの?」と問われても、「恋は矛盾に満ちている。謎が多いほど、危険が多いほど、強く惹かれ、虜になっていく。
まるでこの世界そのものだ」と答えになっていないキザな受け答えをするのが特徴。オーブリングそっくりのアイテムを使って過去の怪獣を呼び出すことができるようだが、第2話ではテレスドンやゴモラ、アントラーなどの怪獣のパワーを土ノ魔王獣マガグランドキングの養分にしてしまっていた。

ジャグラス ジャグラーについてはまだ謎が多いが、世界を滅ぼそうとしていることと、オーブのことが嫌いなのはハッキリしているようだ。ガイとナオミと三角関係になりそうでもあって、ちょっと心配でもある。

なお、シリーズ構成を手がける中野貴雄は、ジャグラス ジャグラーの名前について、「最初はただの『ジャグラー』だったんだけど、それだと版権取るの難しそうってんで『ジャグラス』という名前になり、結局もういいよ面倒臭いジャグラーで!という話になって『ジャグラス・ジャグラー』という『マジョリカ・マジョルカ』みたいな名前になっちゃったんだよね」と明かしている。たしかに似てる、マジョリカ・マジョルカ。


オーブと魔王獣が激突する特撮シーンについては、田口監督は「毎回、1話に一つくらいは『おっ!』と思うくらいのことをやらなきゃいけない、という方針を打ち立て、それを踏襲しています」と語っているが、第2話で「おっ!」と思ったのはオーブと同じぐらいの高さのビルの室内から見えるオーブの顔、というショットだった。オーブが魔王獣に向かって一歩踏み出すと、その震動でオフィス内のデスクの上にあった備品が落ちるという芸の細かさが素晴らしい。これぞ特撮の魂だ。

それ以外にも見どころが多かった第2話だったが、個人的にはガイが銭湯が大好きだということがわかったのと、ナオミのバイト内容とコケたときの後ろ姿の表情の豊かさ、オーブの活躍にエキサイトしていたSSPの面々が、ふと街の甚大な被害に視線を送るシーンが印象に残った。

さて、この記事が配信されている頃には放送が終わっている第3話は「怪獣水域」。休みの日ぐらいゆっくり寝ていたいお疲れ気味のあなたには、円谷プロダクション公式チャンネル「ウルトラチャンネル」で1話まるごと見逃し配信中です。

(大山くまお)