2026年7月8日、中国のSNS・小紅書(RED)に「『薬屋のひとりごと』は中華の伝統衣装を雑に混ぜ合わせている」と指摘した投稿があり、中国のネットユーザーの注目を集めている。

投稿者は、「強調したいのは、このような曖昧な姿勢こそ問題視されるべきであり、無条件に称賛されるべきではないということである。また、より多くの人に漢服の形制や少数民族の服飾について知ってもらい、改変されたデザインに惑わされることなく『何が本来の中国文化で、何が改変されたものなのか』『何がそのまま日本へ取り入れられたものなのか』を理解してほしいのだ。中国の伝統衣装は決して『野暮ったい』ものではない」と述べた。

そして、「日本風ファンタジーの中でも、中華風ファンタジーは西洋風ファンタジーより誤解を招きやすい。漢文化は日本文化の重要な源流の一つであり、西洋の服飾とは明確に異なるからである。西洋風ファンタジーの衣装を見ても、それが日本の伝統衣装だと思う人はいない。しかし中華風となると話は別である。似ているからこそ、異なる時代や民族の要素を混在させても『中華風』と一括りにされやすく、文化的な境界が曖昧になりやすい」と指摘した。

また、「そうした曖昧さが、中国文化の素材を都合よく取り入れられる余地を生み、最終的には『何が中華文化なのか』という解釈まで制作側に委ねられてしまうと考えている。その一例がアニメ『薬屋のひとりごと』である。中国の伝統衣装がしばしば『何でもあり』の状態になっており、例えば、ヒロイン・猫猫の衣装は基本的に唐代の半臂をベースにした漢服風のデザインだと認識しているが、劇場版では清代服飾に特徴的な『厂字襟(チャンズージン。斜襟。前身頃の合わせが斜めになっているデザインのこと)』が取り入れられており、異なる時代の服飾要素が混在している」と指摘した。

さらに、「テレビアニメ版でも衣装の細部が大きく簡略化され、多くが単純な色面で表現されており、結果として中途半端なデザインになっている。他の衣装についても、独自解釈の漢風要素や、真っ赤なチャイナドレス、馬褂(マーグア。清代・民国時代の満州族由来の伝統的な男性用上着)など、さまざまな要素が無秩序に盛り込まれている。一方で、小説版や漫画版のイラストでは、おおむね正しい漢服の形制が描かれている。厳密ではない漢服風デザインも多少はあるものの、一着の中に異なる王朝の要素を混在させる例はあまり見られない」と言及した。

その上で、「筆者(投稿者)はこのような境界が曖昧な状態を好まない。もちろん、最終的にどのようなデザインにするかは制作側の自由であり、筆者が決められることではない。ただ、アニメ制作側には『東洋風の架空世界』という曖昧な表現で済ませるのではなく『中華風』であることを認めた上で、衣装デザインにもより丁寧に向き合ってほしいというのが個人の願いである」とした。

この投稿に対し、中国のネットユーザーからは「この作品は歴史ものではないけど、中国の要素に触れる機会を増やしているのは確かだと思う。中国文化を知らない人が興味を持つきっかけになるかもしれない。ただそれを日本風や漠然とした『東洋風』だと誤解する人もいるかもしれない。とはいえ、中国側にも歴史文化を広く発信できる代表作があまりないから、この話題を強く主張するには少し自信が持てない気もする」とのコメントが寄せられた。

また、「前提として、日本の『中華風』は漢風そのものを指しているわけじゃない。昔から『中華風』の代表的なイメージはチャイナドレスやお団子ヘアだった。(『薬屋のひとりごと』の)作者の意図は、本質的には中国風の異世界を描くことなんだ。中国風の架空王朝や、西洋風ファンタジーに出てくる架空大陸と大きな違いはない。ただ、一番問題なのはアニメ制作側で、これを『東洋風』と表現して『中華風』と言うことを避けている点なんだよね」との意見も寄せられた。(翻訳・編集/岩田)

編集部おすすめ