中国社会科学院アジア太平洋とグローバル戦略研究院研究員でもある同院東南アジア研究センターの許利平主任はこのほど、ベトナムが、やや内陸にある中国国境と海岸を結ぶ鉄道に改めて期待を高めていると紹介する文章を発表した。以下は、同文章の主要部分に日本人読者向けの情報の追加を含めて再構成した文章だ。

ベトナム国会はこのほど、ラオカイとハノイ、ハイフォンを結ぶ鉄道の整備の予算を、2025年に承認した203兆2310億ベトナムドン(約1兆3000億円)から289兆3390億ベトナムドン(約1兆8000億円)に増額した。この予算追加の背景にあるのは、ベトナム側の同鉄道に対する期待の高まりだ。

ラオカイからハイフォンまではすでに鉄道が通じているが、建設されたのはフランス植民地時代の20世紀初頭であり、単線・非電化路線で列車の運行時速も60キロどまりと低速だ。しかも線路幅が1000ミリの狭軌で、中国側は国際的な標準軌の1435ミリなので、国境では貨物の積み替えや台車の交換に膨大な時間と費用が必要だ。

新たに建設される鉄道路線はラオカイ省にあるシンラオカイ駅と中国の雲南省内の河口北駅を結び、ベトナム国内では首都ハノイを経由し、大港湾都市であるハイフォン市内のラックフェン駅に至る。中越両国は2024年にこの鉄道の共同建設協定を締結した。遅くとも2030年に完工する計画だ。

ベトナムがこの鉄道の建設を推進する理由は、この鉄道がベトナム国内の輸送需要をより大きく満たし、自国内外の鉄道網を有効に接続することで、ベトナムの経済社会の発展にさらに大きな動力がもたらされると期待しているからだ。新たな鉄道を利用すれば、ベトナム企業の貿易コストが低減し、効率も高まる。

ベトナムはこの鉄道を通じて、中国および中国を経由する国際輸送を拡大することも期待している。中越の二国間貿易額は3000億ドル(約48兆円)の大台に向かっており、越境鉄道が両国の貿易規模の拡大に奏功することは間違いない。ベトナムの農産物、鉱産物、水産物などは鉄道を通じて効率よく中国に運ばれ、中国の機械設備、化学工業原料、部品、建材などのベトナムへの供給も利便化される。

このことにより、中越の経済と貿易の絆はさらに強固で緊密になり、両国の全面的戦略協力の実態が強化されることになる。

ベトナムはさらに中国の鉄道網を経由して「中欧班列(中国と欧州を結ぶ国際定期貨物列車)」に接続し、東南アジアから中央アジア、欧州への陸路輸出ルートを利用することもできるようになる。米国の第2期トランプ政権は多くの国を対象に大幅な追加関税を発動した。経済が輸出主導型であるベトナムもかなり大きな打撃を受けた。このことで、ベトナムにとっては貿易の多元化、とりわけアジアや欧州市場の大幅な開拓の重要性が大きく高まった。貿易を拡大する上で、輸送手段の重要性は言うまでもない。中越鉄道を通じて「中欧班列」を利用し、ユーラシア交通ネットワークを貫通させることは、ベトナムにとって重要な取り組みの一つになる。

ベトナム側は2025年末のラオカイ—ハノイ—ハイフォン鉄道の第1期工事の着工式の場で、この鉄道は中国との戦略的連結を強化する重点プロジェクトだと表明した。この鉄道プロジェクトを科学的かつ穏当、秩序立てて推進することが、中越両国の貿易の円滑化、民心の通じ合い、インフラの連結を強化することに役立ち、質の高い中越運命共同体の構築に貢献することは疑う余地がない。(翻訳・編集/如月隼人)

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