海外の中華系住民向けの華字情報サイトの文学城はこのほど、アジアの中で英語教育に最も熱心なのは韓国でも日本でもないとして、その国の状況を紹介する記事を発表した。
記事によると、アジアの中で最も英語学習に熱心なのはベトナムだろう。
多くの現地メディアが報じた両腕のない農村出身の少女は、貧しい家庭環境の中でもテレビ番組を通じて独学で英語を熱心に学んだ。この少女は、他の子につけられた遅れを取り戻して英語教師になるという夢を抱き、2026年にベトナム屈指の名門大学に見事合格した。ベトナムの中産階級家庭で、子に英語を学ばせることは「標準仕様」だ。調査によると、ベトナムの家庭は子ども1人につき1カ月当たりで、一般的な家庭の月収の1割半から3割に相当する210万から450万ドン(約1万5000~2万7000円)を英語の補習に費やしているという。
2025年の調査によると、ベトナム人の英語能力指数は世界平均を大きく上回る64位にランクインした。特筆すべきは、ベトナムでは単なる試験対策にとどまらず、実際に口を開いて交流する実践的な英語力が極めて重視されていることだ。週末の公園や大都市の湖畔では、小学生や若者が外国人観光客を取り囲んで積極的に会話の練習をする光景が見られる。文法や発音の誤りを恐れることなく、笑い合いながら会話を続ける積極性と強い意欲を持っているという。
記事によると、英語への強い執着の背景は、同国の経済が典型的な輸出主導型であることだ。2025年の輸出総額は4750億ドル(約73兆円)でGDPの5140億ドル(約79兆円)に迫る水準であり、うち77.3%を外資系企業が占めた。外資系企業の給与は地元企業より2割以上高く、採用されるためには英語力が必須だ。さらにITサービス市場やカスタマーサービスのアウトソーシング産業も急成長しており、大量の若者が流暢な英語を武器にオフィスビルで欧米の顧客向けの仕事に従事しているという。
海外に機会を求めるベトナム人も急増している。2025年時点で海外の留学生は25万人に迫り、中国やインドに次ぐ世界第3位の規模となった。その大多数は国家の奨学金ではなく、一般家庭が費用を捻出して送り出した若者だ。また、海外への出稼ぎ労働者も90万人近くに達し、毎年65億ドル(約1兆円)を超える外貨を母国に送金している。ベトナム人にとって英語力の獲得は、外の世界へ踏み出すために不可欠な第一の関門だという。
記事によると、こうした民間の熱意の背後には、国による20年近くにわたる強力な推進政策がある。ベトナム政府は2025年10月に承認した新たな計画で、すべての児童について英語教育の開始時期を2030年までに小学1年生にまで前倒しすると決定した。2035年までにはすべての学校で英語が必修の第2の言語になる。
一方で、英語教育の過熱がベトナム語の地位や伝統文化を脅かすとの懸念も存在する。しかし政府は、母語は民族の記憶として守り抜くという明確な方針を示しており、両者は対立しないと主張している。今のベトナムにおいて英語は特定の文化の付属物ではなく、世界の貿易や科学技術において広く使われる実務言語だ。ベトナムの一般家庭にとって、子どもに英語を学ばせる理由は決して壮大なものではなく、将来の人生の選択肢を一つでも多く残すための現実的な手段となっている。(翻訳・編集/如月隼人)











