中国のインバウンド観光業は活況を呈している。しかし一方では解決せねばならない問題も多く「世界一流」とは言えない状況だ。

中国メディアの界面新聞はこのほど、中国のインバウンド観光業の現状を紹介する記事を発表した。

中国全国での2026年上半期の外国人入国者数は前年同期比20.4%増の延べ2291万4000人だった。商務部研究院の報告書によると、2025年に中国のインバウンド客規模はのべ1億5450万人に達し、世界総規模の10.1%を占めて首位に立った。

しかし課題がある。2025年の中国の国際観光収入は552億ドル(約8兆7000億円)で、世界全体のわずか2.9%にとどまり世界第9位だった。つまり人を呼び込めたが消費を十分に喚起できていないことになる。

わが国インバウンド観光が世界の一流になるまで、どれくらいかかるのか―中国メディア

外国人の目には、中国は高速鉄道、ドローン、モバイル決済など未知の体験に満ちている。ビザ免除政策の拡大により、外国人は新奇さを求めて中国を訪れるようになった。だが、外国人にとって新鮮感が薄れても繰り返し訪れたい観光地であることが、今後の課題だ。

我々は外国人観光客がしばしば言及する中国観光の特徴について、「高評価」と「低評価」を収集した。

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高評価の大部分は、インフラ関連や地下鉄内の芸術作品、公園のフィットネス器具、さらに外出時に盗難の恐れがないことなどだった。一方で、言葉の壁、無料観光スポットでの事前予約、決済の問題などが指摘された。

喫煙や割り込み、痰を吐くなどの非文明的な行為に対する不快感も多かった。
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報告書は、観光客を呼び込み繰り返し訪中させる要素を、観光供給能力、目的地の吸引力、交通アクセス、サービス品質と体験、総合的な社会経済環境の5種に分類した。中でもサービスの質と体験が最も敏感に作用する。この枠組みから中国でのインバウンド観光の問題点が系統的に分析された。

最も鮮明な格差はサービスの細部だ。パリの博物館では多言語対応の券売機があり、各国語の音声ガイド機が手軽に借りられる。しかし中国の観光スポットのサービス能力はまちまちだ。さらに外国人観光客の需要と実際の供給の間には断層が存在する。外国人観光客が興味を持っても金銭の使い方が分からないことが多い。

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過去十数年間で中国のデジタル化は急速に発展し、スマートフォン1台ですべてを済ませる習慣が定着した。しかし、この便利さは外国人には両刃の剣だ。実名認証、電話番号の紐付け、中国語の画面操作などは、外国人の頭痛の種になる。

報告書はオンライン旅行会社をインバウンド産業の重要な一環と見なした。欧米や日韓と異なり、中国のウェブサイトや専用アプリはより複雑な産業組織の機能を担う。観光業はホテルや飲食など多様な分野に分かれており、長期的な需給マッチングに依存する。資源はデザインやサービスを整えて初めて消費に転化する。

大手旅行予約プラットフォームの携程(トリップドットコム)を例に挙げると、かつては情報の集約が「売り」だったが、現在では「旅先との共同構築」が重要な課題になった。例えば、かつては有人のチケット販売に頼っていた桂林の龍脊棚田では、多言語対応の券売機などの追加を支援し、海外プラットフォームへの接続も実行した。その結果、繁忙期でも時間をかけて並ぶ必要がなくなった。携程を利用する龍脊棚田のインバウンド客数は前年同期比464%増になった。

また、携程は2025年、大型団体ツアーから少人数のグループ旅行やオーダーメイド旅行への転換を推進した。ホテル側もニーズを細分化し、イスラム教徒向けのハラール食対応やスマートトイレなどの情報を付加して、観光客が自分に合った施設を見つけやすくした。

携程は旅先の吸引力増強のため、2026年4月にジャッキー・チェンをインバウンド観光大使に起用し、中国のビザ免除政策を世界に紹介した。さらに四川省成都市の茶芸(中国茶道)や桂林の鵜飼いなどを海外に発信し、多くの外国人に「中国に行って実際に体験する価値あり」と認識してもらうことに努めた。

2026年上半期、携程のインバウンド利用客は延べ1500万人に達した。
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ジャッキー・チェン

携程の創業者で取締役会の主席である梁建章氏は、中国でのインバウンド客数は2030年までに現在の約3倍になり、約3000億ドル(約47兆円)の外貨収入をもたらすと予測した。だが、携程などのプラットフォームが解決できるのは主に到着前の問題だ。北京、上海、広州、深セン、成都の分析でも、観光分野での弱点は現場のサービスの質と消費関連に集中している。

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梁建章氏

インバウンド観光業界にとって根本的に必要なのは、観光客が各都市で現地の文化のきめ細かさを肌で感じられるようにすることだ。このことは最終的に、観光スポットの建設が地元の趣に合致しているかどうか、洗面所が清潔か、食事のメニューに多様な文化への配慮があるかなどに帰着する。このような「根本的な改善」は、一時的な宣伝キャンペーンや、ネットで話題の「映えスポット」をいくつか作ることに成功したとしても、それだけで終わりにする「一時しのぎ」の方法では達成できない。(翻訳・編集/如月隼人)

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