2026年9月13日、中国メディア・第一財経は、市場で日本銀行による追加利上げの観測が高まる中、マネーサプライの低迷を無視した金融引き締めは構造的な停滞を深刻化させる「引き締めのワナ」に陥る危険性があるとする、論評記事を掲載した。
記事が掲載したのは、浙江現代デジタル金融科技研究院の周子衡(ジョウ・ズーホン)理事長による評論。
その上で、金融政策の核心的な変数は金利ではなくマネーサプライであると指摘。8月の日本のM2マネーサプライの伸び率は前年同月比約2.0%(7月は2.2%)にとどまり、2%のインフレ目標を支えるための水準を大きく下回っているとした。
また、インフレ目標にマッチし、かつ適切な実質的成長を実現するという日本経済の「本当の正常化」のためには、M2マネーサプライの伸び率が5~6%は必要との認識を示し、この点からも現状がかけ離れていると分析した。
そして、主流派の分析では利上げが資本流出を抑え国債の魅力を高めると論じられがちだが、政策金利の引き上げが民間銀行の信用創造を抑制すればマネーの伸びは一段と鈍化し、実質的な金融環境を過度に引き締めることになると警告した。
また、円キャリートレード(低金利の円を借り入れて海外の高利回り資産で運用する取引)が長年にわたり世界へ低利資金を供給しており、ロイターの推計によるとクロスボーダーの円借入規模は2026年3月末時点で約2兆3000億ドル(約350兆円)に上ることに言及。市場では日銀の利上げと円高が大規模な巻き戻し(強制決済)を引き起こすとの懸念が出ているものの、欧米との絶対的な金利差がなお大きいことから、調整は危機的なものではなく緩やかなものにとどまるとの見方を示した。
周氏は、日本の真の課題は貯蓄不足ではなく貨幣創出メカニズムの機能不全にあると強調。金利引き上げを単純に政策の「正常化」と見なす論理には根本的な誤解が含まれており、マネーサプライの低迷を放置したまま金利引き上げを続ければ、名目国内総生産(GDP)の成長が抑え込まれ、利払い負担の増加を通じて財政の持続可能性や債務問題が一段と悪化する恐れがあると評した。(編集・翻訳/川尻)











