第108回全国高校野球選手権大会は、智弁和歌山の5年ぶり4度目となる優勝で幕を閉じた。ビデオ検証が初めて導入され、熱中症対策として24年から導入された2部制の内容も変更が加わった。
今夏、まず注目したのは新たに導入されたビデオ検証だ。大会第3日に有明(熊本)が立命館宇治(京都)戦の7回、一塁走者の盗塁死に対して初めて申し入れた。大会中には計17件が行われ、判定が覆ったのは6件。残り11件は判定通りだった。検証を求めることができるのは9イニングで1回という制約があったとはいえ、48試合で1試合平均0・35回の実施にとどまったのは、各校に審判員へのリスペクトがあったからだと感じる。
審判経験がある有明の高見一茂監督(46)は、「それ(ビデオ検証)を機に『もうやらない』と言われると、審判さんがいなくなってしまう。そこは難しい」と説明。健大高崎・青柳博文監督(54)も「基本的にはしない」と立場を明確にしていた。
対策の必要性を垣間見る場面もあった。高川学園(山口)は、要求が遅れてビデオ検証が認められないケースを経験。
今大会でDH制導入から2大会目。本塁打は8本で昨夏の10本より減少した。総得点は315点で昨夏の341点より26点も減った。投手が投球に集中し、体力を温存できる利点を強調する声が聞かれた。変化が出たのは盗塁数で、昨年の64→96へと1・5倍に。二塁打も96→110、三塁打も22→28に増加した。低反発バットの導入で本塁打が期待できない分、先の塁を狙う走塁意識の高まりが数字に表れたと言えそうだ。
熱中症対策として24年から導入した2部制は、今大会「朝の部」1試合と「午後の部」3試合で実施。48試合で熱中症の疑いが16件と、去年の24件から8件減少した。青森山田は酷暑での戦いへの対策として、ボタンがないTシャツのような見た目のユニホームを着用。
決勝戦は8回に逆転、再逆転が起こる劇的な展開だったが、導入が検討されている7イニング制では、“ドラマ”が起きなかったことになる。閉会後、日本高野連・井本事務局長は「今回の結果、あとは議論も重ねていった上でどうしていくかは今から」と語るにとどめた。新時代の甲子園はどこへ向かうのか―。元高校球児の一人として、引き続き“着地点”を追いかけたい。(小島 和之)










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