◆JERAセ・リーグ ヤクルト3―5巨人(26日・神宮)

 巨人がヤクルトに逆転勝ち。2カード連続で勝ち越しを決め、首位・阪神と1・5差に詰め寄った。

3―2から同点に追いつかれた直後の9回、甲斐拓也捕手(33)が劇的な今季1号を放った。移籍2年目。今季8試合、14打席目での初安打がチームを連勝に導いた。先発の井上は6回2失点の粘投。マルティネスが2戦連続で9回を締めて36セーブ目を挙げ、通算248セーブとし、名球会入りの条件となる250セーブまであと2に迫った。

 やっと、この時が来た。甲斐は打った感触をかみ締めた。「久々すぎて。不思議な感じでした」。打球は神宮の夜空へ伸びた。左翼席で白球が弾む。何度も右手を握りしめて一塁を回った。

ベンチで170センチの体はもみくちゃにされ、笑顔のナインに吸い込まれた。

 重圧をはねのけた。今季3度目の先発マスクで、第3打席まで無安打。同点の9回1死、第4打席。「プレッシャーを感じない選手はいないんじゃないですか」と緊張を感じて打席へ。ウォルターズの低めカットボールを捉えた。今季14打席目での初安打が、値千金の勝ち越し弾。「本当によかったです。何より勝ててよかったです」と余韻に浸った。

 先発の井上と今季初めてバッテリーを組んだが、昨季はよく組んでいた。井上は「出会ってきた捕手の中で、今までにない声かけとかをしてくれました」と明かす。6回3失点だったある試合中、ピンチの場面で「この試合をここまで作ったんだから、ここで打たれても誰も悪く思わない。

お前がここまでやったんだから自信を持って投げてこい」と声をかけられた。「自信を持てました。それが初めてだったので、すごく嬉しかったです」と井上。投手陣から信頼される捕手はこの日、最後までマスクをかぶって勝利に導いた。

 プロ16年目の今季は開幕前に2軍落ち。レギュラーに定着した17年以降、これほどファームで過ごしたことはなかった。「10年前を思い出す。1軍じゃ、なかなかこんなにできないからね」。若手に交じって猛練習の日々だった。田口2軍バッテリーコーチと立てなくなるまで練習することもあったが「人事を尽くして天命を待つ。野球の神様、おるからね」。腐らず努力し続けた。

 ソフトバンク時代は正捕手として17年から4年連続で日本一になった“優勝請負人”だが「僕もまだまだですよ。今日の試合も反省点があるし、学びながら1個1個課題をクリアしていかないと」と向上心あふれる33歳。ヒーローインタビューでは「選手ももちろんですけど、ファンの皆さんもいつも一緒に戦ってくれている。残り試合みんなで戦っていきましょう。頑張りましょう!」と呼びかけた。見せ場はこれからだ。(臼井 恭香)

 ◆宮本和知Point ストレスたまってただろうなあ。甲斐、よくぞ打ってくれた。すごい一発だったね。これで、ますますキャッチャー争いは激しくなる。このタイミングでベテランが戻ってきた。これはチームにとって本当に大きいよね。

捕手によってリードは変わるし、豊富な投手陣をより生かせる。大城が中心で、ファーム調整中の岸田にも刺激になるし、小林もいる。この先のCSや日本シリーズに向けても、甲斐の気持ちが乗ってきてくれることが何よりだね。(スポーツ報知評論家)

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