「大谷翔平をトレードせず……」 エンゼルス“低迷の元凶”オー...の画像はこちら >>

MLB最高の選手の一人でありながらタイトルから見放されてきたエンゼルスのマイク・トラウト photo/Getty Images

エンゼルスを長期低迷させたモレノ氏

2003年からエンゼルスを所有してきたアルテ・モレノ氏が、ついに球団売却を決断した。買収するのは、NFLロサンゼルス・ラムズやNBAデンバー・ナゲッツ、NHLコロラド・アバランチ、プレミアリーグのアーセナルなどを傘下に持つスタン・クロンキー氏。

取引は2027年第1四半期に完了する見込みだ。

モレノ氏のオーナー就任当初、エンゼルスは成功を収めていた。2004年から2009年までの6年間で5度プレイオフに進出。しかし2009年を最後にポストシーズンから遠ざかり、2014年に地区シリーズで敗退して以降は一度も進出していない。現在は11年連続負け越しという、MLB最長の記録を更新中だ。

米『Sports Illustrated』は、そんな長期低迷の背景にあったモレノ氏の判断を振り返り、その数々の失策を特集している。

最大の後悔となりそうなのが、大谷翔平をトレードしなかったことだ。

2022年8月、モレノ氏は球団売却を検討すると発表したものの、翌年1月に一転して撤回。「やり残したことがある」として、球団に残ることを決断した。

ところが2023年は、大谷を保有できる最後のシーズンだった。トレード期限を前に球団には大谷を放出して若手有望株を獲得する選択肢があったが、モレノ氏はそれを認めず、プレイオフ進出を目指して補強に動いた。

しかしチームは期待に応えられず、大谷はシーズン終了後にFAとなり、ドジャースへ移籍。
エンゼルスは大谷を引き留めることも、トレードによって見返りを得ることもできなかった。

記事は、もし2023年シーズン前にオーナーが変わっていれば、大谷の残留を新オーナーが働きかけられた可能性がある一方、より現実的には、トレードで大量の若手戦力を獲得できた可能性を指摘している。

大型契約も問題だった。

2019年にはアンソニー・レンドンと7年総額2億4500万ドルの契約を締結。しかしレンドンは2021年から2024年まで、出場可能だった648試合のうち205試合にしか出場せず、OPSは.666にとどまった。

その前にはアルバート・プホルスとも10年総額2億4000万ドルで契約。3度のMVP、2度のワールドシリーズ制覇を経験した大物だったが、エンゼルスでは急速に衰え、2016年から2021年までの6年間でWARはマイナスとなった。

さらに2013年には、当時5度のオールスター選出を誇ったジョシュ・ハミルトンとも5年総額1億2500万ドルで契約。しかし故障などに苦しみ、わずか2年でチームを離れ、エンゼルスは残りの契約金を負担することになった。

他に挙げられたのは、監督人事だ。

長年チームを率いたマイク・ソシアが2018年限りで退任すると、モレノ氏はブラッド・オースマスを1年で解任し、カブスをワールドシリーズ制覇に導いたジョー・マドンを招聘。だがマドンも2シーズン余りで解任された。


その後もフィル・ネビン、ロン・ワシントン、カート・スズキと監督が次々に交代。記事は、現場への介入を繰り返したことでGMや監督が十分な権限を持てず、組織全体が機能不全に陥ったと指摘している。

一方で、モレノ氏のオーナー時代には球場外でも問題が相次いだ。2019年にはタイラー・スカッグスが薬物過剰摂取で死亡。2022年には、アナハイム市長との球場周辺開発をめぐる問題も発覚した。

今年2月には、モレノ氏がファンにとって「エンゼルスが勝つことは優先順位のトップ5にも入らない」と発言したことも批判を浴びた。これに対し、球場ではファンから「Sell the team(チームを売れ)」のチャントが繰り返されるようになった。

そして今回、ファンが長年叫び続けた「Sell the team」が現実になった。

大谷翔平、プホルス、ハミルトン、レンドン――スター選手への大型投資を繰り返しながら、エンゼルスは長期低迷から抜け出せなかった。

クロンキー氏のもとで何が変わるのか。11年続く低迷からの再建が、ようやく始まろうとしている。

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