「スタイルよく美しく撮るには、女性の場合はカラダの曲線をきれいに見せる必要があります。そこで全身を撮ってもらう場合、カメラマンに対してカラダを真正面に向けるのではなく、少しカラダを左右どちらかに振ってカメラマン側の足を少し曲げ、上体から顔をカメラの方にひねるように向けると、自然とカラダの曲線が際立ちますよ」と喜多さん。
「また多くの女性が気にする顎のラインですが、この対策は顎をぐっと上向きにして首を伸ばすのが一番! 例えば自分がしゃがむことで撮影者よりずっと下でポーズを取り、上を見上げることで顎の下のラインがすっきりします」とのこと。早速試してみたところ、喜多さんにOKをもらえるまで上を向くと、自分ではほとんど真上を見上げているような感じで、かなり首のストレッチになっています。これなら二重顎も伸びるわけです(苦笑)。またこのテクニックは帽子を被っているときにも有効。撮影時は太陽が真上にあり、影が真下にできるトップ光でしたが、上を向くことで影が薄くなり、帽子をかぶっていてもきれいなポートレートを撮ってもらうことができますよ。
「美しいポーズは静止の中からではなく、動きを止めた瞬間に生まれます。プロのモデルさんの撮影現場を見るとモデルさんが次々とポーズを変えていますが、あれは動きを止めた瞬間を切り撮ることで、より自然で美しい動きや表情を撮影することができるからです。もちろん普通の方には次々とポーズを取ることは難しいので、例えばさきほどの上向きのポーズを取る場合、最初は下を向いていて、「チーズ!」の瞬間にぱっと上を向いて笑うと、思っている以上に自然できれいな笑顔のポートレート写真になりますよ」と喜多さん。
そこで試しに友人と波打ち際を手をつないで歩くシチュエーションの写真を撮ることにしました。「実際に歩いてもらってもいいですが、なかなかタイミングが難しいもの。ここは立ち位置を変えずに、撮影の瞬間にポーズだけ変えるよう予め決めておくのがポイントです」とのこと。
「光が十分にある昼間のビーチでは、動きを止めた瞬間を撮るという撮影方法でも手ぶれすることはまずありません。むしろ眩しすぎて目がしばしばすることがないので自然な表情を撮ることができます。ちなみにもし眩しいようなら、撮影の直前まで5秒以上眼を閉じているといいですよ」とのこと。急に目を開いたら逆にもっと眩しそうな気がしますが、これも試してみるととっても目がラクなので、ビーチ撮影にはかなりオススメ。
「他にも太陽の位置などを見て、顔を明るく見せられるようになったら上級者です。ビーチでは水面が自然のレフ板になってくれるので、水際にしゃがんで後ろ斜め下から光が顔にかかるようにすると、ふんわりときれいなポートレートに仕上がります」と喜多さん。
喜多さんに教えていただいた方法でポーズを取ると、自分では不自然に感じるほどキツイ体勢なのですが、撮った写真を見せていただくとちょっとグラビア写真のようでびっくり! 写真を撮るのは好きでも撮られるのはとにかく恥ずかしいという私ですが、ただポーズを取っているよりも楽しくて、表情もいつもより自然に作れたかなと思います。
喜多さん伝授のプロの業、ぜひ皆さんもお試しくださいね!
(鶴賀奈穂乃)