「ルパン三世」ゆかりの風呂はやっぱりバタ臭かった
ホテル大野屋。なんとカナダ支店まである。
 まだ「新婚旅行は熱海」時代であった昭和12年竣工の歴史あるホテル、熱海の「大野屋」は、あのルパン三世のテーマ曲で有名なジャズ作曲家の大野雄二さんのご実家である。

 さて、今回はそんなルパン三世ファンの聖地を訪れてみた。
お目当ては、300人が一度に入浴できるという250坪の巨大ローマ風呂(画像はこちらを参照のこと)。一人1500円で立ち寄り湯が可能なので日帰り旅行でも楽しめるのだ(入れ替え制なので時間はホテルに確認のこと)。

 実は入るまでは正直ある種の「キワモノ」見たさという気持ちが強かったが(だってローマ風呂なんて『CREA』や『Frau』の温泉特集では絶対掲載しないもの)、漬かってみると、これがなかなか、良い……のである。
 平日に訪れたせいか人もあまりおらず、広びろとした空間は一人占め状態。趣味が悪いのではと懸念された彫刻類も、湯煙の向こうにかすんで見えると「幻想的」と形容できなくもない。ああ、昭和の豪華旅行とはこういうものだったのかもしれない、とレトロ気分も盛り上がる。
 このホテルは戦後まもなく連合国軍の保養施設として接収されたので、子ども時代にアメリカン・カルチャーの洗礼をたっぷり浴びたのだと、大野さんはインタビューで答えている。ルパン三世のあのバタ臭く華麗な音楽はやはり一日にして成らずなのですな〜と、古代ローマ貴婦人気分いっぱいでつらつら思ったのであった。
(みと)
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