2027年に45周年を迎える本作は、1984年に映画『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』を公開した後、『超時空要塞マクロスII -LOVERS AGAIN-』『マクロスプラス』『マクロス7』『マクロス ゼロ』『マクロスF』『マクロスΔ』といったシリーズ作品を続々と世に送り出し、現在はサンライズによる新作アニメを制作中です。
今でこそ「歌アニメ」として認識されている本シリーズですが、「初代マクロス」放送当時はアイドルそのものの要素が強めだったこと以外は、今ほど歌が前面に押し出される見せ方ではありませんでした。それが映画『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』でブラッシュアップされた際に、副題であり主題歌「愛・おぼえていますか」がフィーチャーされ、その後のシリーズの道筋を開拓することとなります。
特に「初代マクロス」のスタッフが関わった1985年のOVA作品『メガゾーン23』では、VTuberの祖先とも言える存在が登場し、「歌×ロボ」のジャンルを引き継いで人気を博しました。
そこで今回の「平成・昭和レトロアニメのすゝめ」では、おもにTVシリーズ版の『超時空要塞マクロス』にスポットを当て、その当時の反響や、その後の影響なども含め語りたいと思います。
◆戦後まで描いた珍しいロボットアニメ
「初代マクロス」の舞台は西暦2009年。宇宙から飛来し、南アタリア島に墜落した異星人のものと思しき宇宙戦艦を修復した人類は、それを「マクロス」と命名し宙進式をおこないました。しかしそのさなかに異星人艦隊「ゼントラーディ」が地球周辺に出現。それに反応したマクロスが突如として作動し、その異星人を攻撃したことで戦火の口火が切られてしまいます。
実はマクロスは、ゼントラーディと対立する異星人の陣営がしかけたトラップであり、マクロスの反応を追ってきたゼントラーディを自動的に攻撃するようしかけられていたのでした。こうして人類は巻き込まれる形でゼントラーディと開戦し、逃走を図ったマクロスはフォールド航行(ワープ)に失敗して冥王星付近からの帰還を余儀なくされるのです。
この段階で次回の続きが気になるところですが、さらに面白いのはマクロスに避難した一般人たちの行動でした。
メインの登場キャラは、主人公の「一条輝」、ヒロインの「リン・ミンメイ」、ダブルヒロインの「早瀬未沙」の計3名。主人公の一条輝は一般人で職業は民間パイロット、リン・ミンメイは中華屋の娘、早瀬未沙は軍のオペレーターとしてマクロスの最高指揮官である艦長に次ぐポジションのエリートです。
当初はマクロスの中で生活基盤を築いたり、今後の身の振り方を考えたりしていた3名ですが、やがて輝はミンメイの勧めもあって志願兵として可変型戦闘機「バルキリー」のパイロットに、ミンメイもオーディションに受かったことがきっかけで人気アイドルの階段を駆け上がっていきます。その中で次第に浮き彫りになるのが3名の微妙な三角関係でした。
一方、マクロスを執拗に追い回すゼントラーディでは、マクロスに送り込んだスパイの情報から、彼らが「プロトカルチャー」ではないかと考えるようになります。プロトカルチャーとはゼンラーディが危険視する古代人種のことで、文化を持たず、ただ戦いにのみ価値や生きがいを見出すゼントラーディにとって、自分たちの価値観を根底から破壊しかねない存在です。
そしてその疑念は現実のものとなり、マクロスに潜入したスパイたちはミンメイの歌の虜になって人類に憧れを抱くようになり、次第に仲間たちへ“推し活”をするようになっていったのでした。
歴代「マクロスシリーズ」は「文化」をひとつのテーマとしており、特に歌に対しては大きな価値を見出してきました。しかし「初代マクロス」当時は、歌だけではなくすべてがゼントラーディ人にとって未知のものであり、娯楽やファッションなどにも驚く、いわばカルチャーショックそのものの描写がとてもユニークに描かれていました。中でも歌以上に重く受け止められていたのがキスです。
ゼントラーディにとって男女は決定的に区別されるものであり、同じ空間にいることさえ考えられません。
また特筆すべき点として挙げられるのが第28話以降のストーリーラインです。
もともと本作は第27話「愛は流れる」をもって最終回を迎えるはずでした。ところが関連商品の売れ行きが良かったことから全36話に延長されることになります。しかし当時はスケジュール的に27話構成を36話構成に変更することが難しく、そのため追加分は戦争終結から2年後の物語を描くことになりました。
通常の作品ならば戦争の終結をもって幕を閉じるのが一般的なパターンです。しかし「初代マクロス」ではそのような状況もあって戦後復興のようすをも描くことになりました。この点がまさに「初代マクロス」の良さであり、結果的に他作品にはない特色となります。
あの戦争が人々にどのような影響をもたらしたのか? そこからどのように未来を切り開いていったのか? 続編ならまだしも1本のシリーズの中で戦後復興まで描いたのは、まさに本作のもっとも「凄い」部分でしょう。
本作はバルキリーが活躍しない放送回がありますし、キャラクター描写に力を入れているところも魅力です。「マクロスシリーズ」の始祖がどのようにその“箱”を作ったのか、そして当時としては早すぎる「子供向けだけではないアニメ」をどのように描いたのか? 何もかもが新しく制作スタッフのエネルギーに満ちた作品という点でも、今おススメしたいアニメです。
◆みんな持ってた完全変形トイ
さてそんな「初代マクロス」ですが、物語の外でも画期的な試みや人気のポイントが多々ありました。まさに現代へと続く「文化」の出発点とも言える部分です。その第一が当時の放送時間でした。
本作が放送されたのは、日曜の昼14時台という極めてイレギュラーな時間帯でした。もとろんその当時も「なぜこんな時間に!?」と思うような編成です。周囲を見れば、お昼の人気バラエティが終わって穴埋めのような番組をしているような時間帯です。おもな視聴者層であるキッズたちも外へ遊びに出かけるタイミングでした。
どうやら実験的にその時間帯に放送されたそうですが、もちろん視聴率としてはそれほど高くなく、話数が延長されたと言っても当時一般的だった全50話のボリュームには届きません。ただあの時間帯のアニメ番組というのはそれたけで特別感があり、同様の枠で放送された『愛の戦士レインボーマン』とともに強烈に記憶に残っているキッズも多かったのではないでしょうか。
また放送延長の決め手となったグッズのひとつである、タカトクトイスが発売した完全変形のバルキリートイも忘れられません。
プロポーションと可動にこだわった現在と比べたら見劣りする部分はあるかと思いますが、子供向けならではの強度と遊びやすさがあり、なおかつ余剰パーツなしの完全変形という驚くべき仕様で、今では「オーパーツ」と呼ばれるクオリティーを実現していました。過去には復刻再販されたことがありましたし、昨年実施された展示イベント「魂ネイション2025」では、どうやら45周年を迎える2027年に向けて「オリジン・オブ・バルキリー VF-1J 45th Anniv.」の名称で新たに復刻されるようで注目を集めていました。
そして本作はアニメ本編でも「新たな文化」が生まれました。「板野サーカス」と呼ばれるアクション演出です。こちらはミサイル群がうねりながら画面いっぱいにターゲットを追撃する戦闘シーンの手法で、アニメ演出家「板野一郎」氏が生み出した独特の作画演出です。CGなどなかった時代、手描きのデフォルメを最大限利用し、目を奪うほどのアクションシーンに仕上げていました。他作品でもこの演出方法を目にしたことがある読者も多いのではないでしょうか。
また続編は「マクロスシリーズ」のみならず、「超時空シリーズ」でも後番組を2本制作しています。1983年に放送された『超時空世紀オーガス』と1984年に放送された『超時空騎団サザンクロス』です。どちらも直接的なつながりはなく、『オーガス』でそれらしいセリフがうかがえるだけではありましたが、本作を起点に2つのシリーズが展開したというのもおもしろい現象だと言えるでしょう。
TVシリーズ当時はスケジュールの都合や作画の問題があり、放送後は権利問題で紆余曲折あった本作。しかし宇宙で難民となった「マクロス」と同様、現実でもできることを全力でやり、道を切り開いた結果、「地球滅亡からの復興」という本編の内容と同じく、シリーズとしても逆境をバネに大きく発展を遂げました。
歌の部分に注目される続編と比べると影が薄く感じる本作ではありますが、当時、若手だったスタッフの情熱でここまで面白くなった『超時空要塞マクロス』は、あの時だからこそやれた部分や、あの時だからこそ描けた物語がギュギュッと詰まっているので、その点でもオススメしたいアニメ作品となっています。
「マクロス」シリーズ公式YouTubeチャンネル「マクロス MACROSS ch」では、第1話「ブービー・トラップ」が無料公開されているので、まずはそこからお試し視聴してはいかがでしょうか。
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