まだまだあった! ラリージャパンのハプニング
ASCII.jp読者のみなさん、こんにちは! ウェルパインモータースポーツのコ・ドライバー、梅本まどかです。ラリージャパンについて2回書かせていただきましたが、今回がラスト。最後まで読んでもらえたらうれしいです!
・梅本まどか、WRC・ラリージャパンを完走したが波乱だらけで世界の壁を痛感
・ラリージャパンでリタイア寸前からの完走! 梅本まどかが語るコースオフの裏側
サービスパークでパシャリ
前回リタイアしそうになったことについて書いたのですが、実はほかにも楽しいでき事や思わぬハプニングが何度かありました。
リクエストの塩焼きそばがない!
食べ物の恨みは深い……
今回のラリージャパンは、ウェルパインモータースポーツとしてひさびさの自炊ケータリングだったのです。なんと、レースクイーンの桐嶋しずくちゃんや、エクセディーガールの瀬谷ひかるちゃんがサービステントでチーム全員のご飯を作ってくれたのです。
スタート前に監督から「何が食べたい?リクエストあれば教えて」と言われたので「麺! 塩焼きそば!!」と伝え、DAY3の夕食に塩焼きそばが採用されることに。DAY3お昼のサービスを出る前から桐嶋ちゃんが食材を切ったりして準備を始めていたので、「帰ってから楽しみにしてます♪」とお話ししてSSへ出発。
それなのに、夜にサービスへ帰ってきたら、なんと楽しみにしていた塩焼きそばはありませんでした! 取り分けてくれたスタッフさんが人数を間違えてしまっていた……、という残念なことに。食べられたスタッフさんたちからは、「とても美味しかった!」と聞いて、ラリージャパンで1番悔しかった思い出になりました……。
でも1日目の夜に作ってもらった、デミグラスソースの煮込みハンバーグがすごく美味しかったので良しとします! ハンバーグは松井監督のリクエストだったみたいで、豚肉嫌いの偏食な監督に合わせて、監督のみビーフ100%のハンバーグにしてもらったようです。ちなみに私たちクルーやほかのスタッフはビーフとポークの合い挽きでした。
それにしても、桐嶋ちゃんと瀬谷ちゃんの神対応にびっくりです。レースクイーンでお客さん対応しながら、チームのご飯も作ってくれてお2人にはホントに感謝しかありません。ありがとうございました!
ラリー中の飲食は非常に大事なこと
ラリー中のご飯や飲み物ってホントに大事で、実はラリー中に村田選手が脱水症状になりかけたシーンが一度あったんです。長いSS走り終えると突然村田選手が「なんか手が痺れとるな」とポツリ。いつもながら、冷静な独り言なのか、伝えてくれているのかわからない、とても不思議な喋り方です(笑)。
とりあえずこんな時は水分補給と思い、ラリー車両に積んであるスポーツドリンクを差し出すと、村田選手は一気に飲み干して手の痺れも回復。冬のラリーとはいえ、エンジン冷却のためヒーター全開の車内は暑くなり、20km前後のSSを集中して走っていると、脱水症状や熱中症気味になってしまうのです。
ラリーはクルー同士でお互いの体調をしっかり確認することも大切ですね。クルーの体調も大切ですが、ラリー車の調子も同様に重要です。ラリージャパンで使用したプジョー・208R2はほぼぶっつけ本番での投入。
クラッシュ続出のSSは
有名な心霊スポットだった!
ハードなクラッシュやコースへの車両侵入、タイスケの遅延などによるステージキャンセルによって、DAY1からDAY2の午前中まで、走行順の遅めな私たちは1度もSSを全開で走る機会がありませんでした。DAY2午後の1本目となるSS5はちょっと不安なコースでした。なぜならSS5は「Isegami Tunnel」というSS名からわかるとおり、私たち東海圏の住人には有名な心霊スポットである伊勢神トンネルを走るコースなのです。
SS2のリピートステージなのですが、午前中のSS2ではソルド選手のヒョンデ・i20N Rally1が全焼してしまったり、WRC2チャンピオン候補のカエタノビッチ選手が大クラッシュしてリタイアしたりと、大荒れの展開でした。このような理由からSS距離を短縮したショートステージとしてSS5を走ります。
トンネル前にフィニッシュが設定されたので、トンネルを全開走行しないで良くなって少しホッとしましたが、私たちにとって最初に全開走行で臨むラリージャパンのコースなのです。ドキドキでしたが「様子をみながら落ち着いて行こう」と村田選手と声を掛け合い、気合いを入れ直していざラリージャパン1本目のアタックをスタート。シート位置の関係上、私は前方がほぼ見えないのですが、実際に走ってみるとクルマから伝わるGによりコースがわかりやすく、ペースノートのタイミングも問題ありません。
コドライバーとしてプジョー・208R2の車両感覚を早く掴み取ろうと注意しながらコースを進んでいきます。「ドン!」と、少しだけ車両をぶつけた感覚もありましたが、そのほかは危なげなく完走。短縮されたコースだったので、あっという間に感じました。フィニッシュ後のストップを超えたところで、村田選手が右フロントタイヤを確認して「あ、やっぱりだ」という声が。なにかあったのかな? と見てみるとパンクでした。
こんな1本目からパンクなんてやっぱりラリージャパンは難しい」と感じつつ、即タイヤ交換作業に入ります。そしてここで今回の新アイテムの登場です。プジョー208R2は、ハンドブレーキをロックさせることが少し難しいので、ドライバーが降車するような停車時には「輪止め」が必要になるのです!
クルマを固定する輪止め問題が勃発
この時タイヤ交換をした場所は、少し後ろに傾斜があり、落ち葉多い場所だったため、輪止めを使わないと車両が動いてしまいます。全日本ラリーでGRヤリスの時はサイドブレーキをロックしておけば良いだけなので、私は輪止めをこの時はまだ使い慣れておらず、フロントにつけるのかリアにつけるのか、またタイヤの前なのか後なのか、を考えるのに2秒くらいかかっていました。もっと練習を、イメトレをしておくべきだった……。
最初に輪止めを渡されたときには、2つの輪止めをタイヤの前後において固定していました。ですが、これが急いで出発するときにはかなり不便。今回のラリージャパンのようなスケジュールだと急がなければならない状況の方が多く、何か改善できないかなと思っていました。
TC待ちでほかのチームのクルーとお喋りしていると、村田選手がふと「大輝君のとこはどうなってるだろう」と見に行くことに。世界のトシ新井選手の息子、新井大輝選手の乗る車両はプジョー・208Rally4で、私たちのR2よりも1つ新しいモデルです。新井大輝選手とイルカ・ミノア選手は、輪止めは1つですが紐が付けられていて、乗車時に紐を引っ張ると輪止めを車内に入れられるように工夫されていました。
「なるほどー」と思わず頷き、サービスに戻ったときにさっそくメカニックさんたちに頼んで同様に加工してもらいました。実際に使ってみると慣れは必要でしたが、車内から輪止めを回収できて以前よりも効率よく進められるように。教えてくれた大輝選手に感謝。もっといろいろ事前に勉強しておけばよかったですね。松井監督が「ラリーは準備が8割」とよく言いますが、その言葉を思い出し痛感した瞬間でした。
DAY3~4ではだいぶ慣れてすぐできるようになりましたが、やはり経験や慣れは大事なんだなとも思いました。
走り慣れているから油断した!?
最後は毎年走っている慣れたコースでのハプニングです。今回のラリージャパンでは、全日本ラリー新城でいつも使用しているコース「鬼久保」も採用されていました。ペースノートのスタートのページの上には、いつもそのSSの印象を書くのですが、このコースは「いつもの鬼久保」でした。ここは村田選手とも一緒に走っていますし、お互いに何回も経験しているSSです。
しかし、そんな走り慣れたコースの、走り慣れた1つ目のコーナーでまさかのスピン! これには「おぉ!」と驚きましたが、あとからほかのクルーにも話を聞くと、同じような状況になっていたマシンは多かったそうなのです。それは、どうやらRally1車両が走った後だから……のようでした。
世界最高峰のラリーカーになると、サスペンションをはじめ車両がケタ違いに高性能です。そのため、私たちのラリーカーが走ったら壊れてしまうような、別ラインを激しくインカットしたりします。そのインカットで掻き出された砂利や砂に乗ってスピンしてしまったようなのです。WRCだと、毎年走っている道でもこんな風になるんだと驚きました。
さて、スピン後は気を取り直して、リスタート。直線だったのでペースノートリーディングにも余裕があって、ギャラリーのお客さんに手を振っていました。すると、隣でも村田選手が笑いながら手を振っていてそれにもびっくり! この姿を見て「スピン後も落ち着いてるんだな」と感じ、その後はトラブルなく完走。ただ、マシンから降りて車体を見るとちょっとブツけてしまっていましたが……。208R2には申し訳ないけど、この程度で済んでよかったです。
今年もラリージャパンに参戦予定です!
今回はラリーの裏で起きていたハプニングなどお伝えしましたが、ラリージャパンには楽しい学びがたくさんあって、ラリージャパンでしかできない経験がたくさん経験できました。
先日やっとトロフィーが届いたのですが、やっぱり何度見てもそんなラリージャパンを完走できて本当にうれしいですね♪
2023年のラリージャパンも楽しめるよう、今年も引き続きがんばりますので、ぜひとも私たちウェルパインモータースポーツの応援をよろしくお願いいたします! あと……、今年も個人スポンサー募集もあるそうなので、そちらもよろしくお願いします!(詳しくは↓の公式サイトから!)
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