『乳と卵』で芥川賞、『夏物語』で毎日出版文化賞を受賞し、世界40以上の国・地域で翻訳される作家・川上未映子による初の恋愛小説を映画化したもの。
物語は、人との関わりを避け、孤独に生きてきたフリーランスの校閲者・入江冬子が、年上の物理教師・三束と出会い、初めて他者と心を通わせていく姿を描く。真夜中の静寂と人の温もりが交錯する、岨手監督ならではの抑制と情感に満ちた恋愛ドラマとなる。
主人公・冬子を演じるのは、岸井ゆきの。冬子と出会い、静かな交流を重ねる物理教師・三束(みつつか)役に、浅野忠信。
冬子と共に仕事をする同僚で大手出版社の校閲局で働く石川聖役に森田望智。冬子の高校時代の友人で長野に住む主婦・早川典子役に深川麻衣。原作にはないオリジナルキャラクターで、聖と微妙な関係の大橋役に塩野瑛久。
冬子の元上司役に中村優子、レストランの店員役に長井短、聖の後輩役に祷キララ、そして高校時代の冬子役を中井友望、冬子の高校時代の同級生役を林裕太が演じる。
また、冬子の心の声を届ける重要な“語り役(声のみ)”を松坂桃李が務めているという仕掛けも。冬子の心を、男性の松坂が、深くも優しい声で届けることで、物語にどのような化学反応をもたらすのか。松坂は「自己の世界が、ひとりひとり存在しているのだと、改めて実感しました」とコメントを寄せている。
ティザービジュアルは、冬子の仕事中の一幕を切り取ったもの。本に囲まれ黙々と机に向かう冬子の横顔には、仕事への愛があふれながらも、孤独と虚無が混在しているようにも見える。ひとり、暗い部屋の中で淡々と仕事をする冬子の毎日は、三束との出会いによってどのように変わっていくのか。
原作ファンから高い支持を集める繊細な世界観を、岨手由貴子監督がどのように映像化するのか。第79回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門での反響にも期待が高まる。
■松坂桃李のコメント(全文)
今回は、主人公の入江冬子の心の声という特殊な形で参加させていただきました。
この作品は、湿度が高くぬくもりのある作品です。
日常的に落ちている人間の心の機微というものを、これでもかというくらい掬い取り切り取ったものが、映画の中に込められています。
人の心というものは、誰のものでもないし、その人にしかわからないものがあります。
そして、自己の世界が、ひとりひとり存在しているのだと、改めて実感しました。
ぜひスクリーンで、この温もりを体感してみてください。
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