●話が長い受験生に共通する問題
面談や面接練習の中で、私はよく感じることがあります。一生懸命伝えようとしているのに、話がなかなか終わらない受験生がいることです。悪気はありません。むしろ真剣です。しかし、聞いている側は途中で混乱してしまいます。
なぜか。頭の中で情報が整理されていないまま、外に出しているからです。
●合格者は「並べない」
一方で、合格していく受験生は、経験をそのまま並べません。部活動、ボランティア、探究活動、読書経験。これらを時系列で並べるのではなく、意味ごとに分類します。
・なぜその活動をしたのか
・そこから何を学んだのか
・自分の関心とどう結びつくのか
このように、情報をグループ化して提示します。私はこれを「フォルダ思考」と呼んでいます。PCのフォルダ分けと、全く同じ発想です。
●フォルダ思考がある人の強さ
フォルダ思考がある受験生は、自分の経験をいつでも取り出せます。面接で予想外の質問がきても、「それはこのフォルダの話だ」と瞬時に判断できる。だから回答が短く、分かりやすく、的確になります。
文章でも同じです。どこに何を書くべきかが分かっているため、構造が自然と整います。これは文章力の問題ではありません。情報整理の設計ができているかどうかの違いです。
●なぜこれがITリテラシーなのか
ITリテラシーというと、機械の知識やソフトの操作を想像しがちです。しかし本質は違います。
ITとは、大量の情報を扱う技術です。つまり、情報を整理・分類・管理する発想そのものがITリテラシーです。合格していく受験生は、これを無意識に行っています。経験という「データ」を意味ごとに整理し、必要なときに取り出し、相手に分かる形で提示する。これができる受験生は、大学から見ると「研究に向いている人」に映ります。
●活動量が多いのに評価されない理由
活動量が多いのに評価されない受験生は、情報をそのまま並べてしまいます。
私はこれを、「フォルダ分けされていないデスクトップの状態」とよく例えます。素材は十分にあるのに、整理されていないために価値が伝わらないのです。
●情報整理力は、今からでも身につく
この力はセンスではありません。誰でも意識すれば身につけられます。KOSSUN教育ラボでも、まず塾生に自分の経験を書き出し、「なぜ行ったか」「何を学んだか」「何に興味を持ったか」で分類してもらいます。これを行うだけで、頭の中にフォルダができます。
すると、志望理由書も、活動報告書も、面接も、一気に整い始めます。
●大学が見ているのは「整理された人」
大学は、情報を扱う営みである「研究」を行う場所です。だからこそ総合型選抜では、この人は情報を整理できる人かが見られています。活動が多いかどうかではありません。頭の中が整理されているかどうかです。
15年以上の指導経験の中で、私はそれを強く感じています。これが、合格者に共通する「情報整理力」の正体であり、ITリテラシーと深く結びついている理由なのです。(KOSSUN教育ラボ・小杉樹彦)
■Profile
小杉樹彦
慶應義塾大学院で修士号、横浜国立大学院で博士号を取得。KOSSUN教育ラボ、KOSKOS、志樹舎の創業者。全国の受験生、保護者から圧倒的な支持を集める。現在は塾、予備校経営のかたわら教育評論家として活動中。受験参考書を中心にロングセラー多数。
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