乃木坂46が10日、東京国際フォーラム ホールAで2期生・新内眞衣の卒業公演「新内眞衣 卒業セレモニー」を開催した。セットリスト・全体のイベント構成は、新内本人の意向を元に構築。

ラジオパーソナリティーとして人気を得た新内らしく、“トーク中心”の卒業セレモニーとなった。約9年のアイドル生活にピリオドを打った新内は「後悔は一つもないので。今すごいすっきりしています」と笑顔を浮かべた。

【写真】卒業セレモニーのラストで涙を流す新内眞衣

「私らしく基本トークメインで」

 新内は乃木坂46の2期生として2013年3月、現役メンバーの北野日奈子鈴木絢音、山崎怜奈らと共に加入した。最年長メンバーとしてグループを支え、2014年から約4年間はニッポン放送の関連会社でOLを兼任。グループの名を冠したラジオ番組『乃木坂46のオールナイトニッポン』(ニッポン放送/毎週水曜25時)では、前身の『乃木坂46・新内眞衣のオールナイトニッポン0(ZERO)』時代からのべ約6年間、メインパーソナリティも担当した。

 新内ならではの“ラジオ愛”が感じられるオープニングVTRが明け、「OVERTURE」に続く1曲目「生まれたままで」で公演はスタート。リリース当時の衣装を着た1期生と2期生が、フレッシュな楽曲とともにパフォーマンスを披露した。

 最初のMCでは、ステージに残った新内が1人で「せーの、乃木坂46です!」とポーズを決めながらの自己紹介も披露。1期生の齋藤飛鳥星野みなみを呼び込み、思い出話に華を咲かせ、「今日は私らしく基本トークメインで、ときどきライブやるよっていうセレモニーですので、みなさんぜひ落ちつきながら、座りながら楽しんでくれたらいいなと思います」と観客に呼びかけた。

 後輩たちへの思いを語るVTR後に披露したのは、新内をセンターにした3期生曲「トキトキメキメキ」。3期生たちと一緒に歌い上げ、続く4期生曲「Out of the blue」では、4期生のメンバーと共に笑顔を浮かべながらパフォーマンスを繰り広げた。


 MCでは、3期生の久保史緒里阪口珠美、4期生の賀喜遥香や早川聖来と共にパフォーマンスの感想や思い出を振り返るトークを展開。ステージは、卒業コンサートならではの新内をフィーチャーした企画「新内眞衣 妄想結婚式!」へと進んだ。

 メインパーソナリティーを務めた「オールナイトニッポン」での人気コーナーをもとにした企画では、リスナーから“妄想結婚式”のスピーチ文を募集。新内にゆかりある上柳昌彦アナウンサーも登壇した。

 上柳アナウンサーの進行で企画は展開。結婚式さながらのステージには高砂と来賓席のセットが置かれた。「お色直し」へ向かった新内を待つステージには、上柳アナウンサーに呼び込まれたほかのメンバーが登場。来賓席に座り、それぞれ新内への思いを笑顔で語る。

 ステージに戻ってきた新内は、紫色のドレスに白いベールを身にまとい可憐(かれん)に登場し、メンバーからは「すてき!」と絶賛する声が上がった。高砂で新郎役の熊のぬいぐるみの横に座った“新婦”の新内に向かい、“乾杯のご発声”をモチーフにリスナーから寄せられたスピーチ文を紹介。3期生の佐藤楓と与田祐希、2期生の北野、1期生でキャプテンの秋元真夏が“泣きの演技”も交えてコミカルに伝えた。

 妄想結婚式の終了が迫る中、締めの言葉を語っていた新内がほかのメンバーに対して、余興として「ガチで『インフルエンサー』を踊ってほしい」とムチャブリ。
「無理無理!」と口々にわざとらしく言いながらもショートバージョンの楽曲で見事なパフォーマンスを見せたメンバーに、客席からは盛大な拍手が贈られた。

「自分で人生を変えたいと思ってよかった」

 始終笑いに包まれた企画を終えて、再びパフォーマンスへ。VTR後の「ハルジオンが咲く頃」では、共にステージ上でセンターを務めた3期生で副キャプテンの梅澤美波が、新内の顔を見つめた瞬間に声を詰まらせた。

 続く曲「日常」では情熱的なパフォーマンスを繰り広げ、新内が初の選抜メンバー入りを果たした思い出の1曲「太陽ノック」では、ステージ背後のスクリーンに新内の歩みを振り返るVTRを投影。曲中では新内が「9年間、長いようで短かった。そんな気がします。『太陽ノック』で初めて選抜に入ったあの夏は一生忘れられないものになりました。本当に、本当に、みなさんありがとうございます!」と語り、本編を締めくくった。

 紫色のスポットライトが薄く光る場内には、アンコールを待つ観客たちの拍手が響き渡る。オルゴールの音色と共にステージ上のどん帳が上がると、真っ白なドレスを着た新内が登場。人生を振り返りながら、卒業への思いを伝えた。

 人生のターニングポイントがいくつかあり、初めは「中学3年生のとき。
15歳でした」と語り始めた新内。「当時は人間関係に悩んで、私が周りに受け入れられなかったことをトラウマに思っていて。本当に毎日、暗くてつらい日々を送っていました」と日々を振り返りながら「1人で考えれば考えるほど、私には『やっぱり1人では生きていけない』という思いがあったので、受け入れられるように、私自身が変わろうと決意しました」と、大きな決断があったことを明かした。

 もう1つの節目は「大学3年生」のときで「たまたま見かけた乃木坂46のオーディションの募集要項を見て、なぜか分かりませんが応募しました」と話す新内は「そのとき人生が変わるなんて思ってなかったけど、心の中では人生を変えたかったんだなって思います」と吐露。「乃木坂46に入ってから、本当にたくさんの経験をさせていただきました。つらいこと、楽しいこと、悔しいこと、悲しいこと。本当にたくさんあったけど、今は全部、思い出です」と伝えた。

 さらに新内を変えたのは「オールナイトニッポン」のメインパーソナリティー抜てき。スピーチ中に目をうるませながら「ラジオのパーソナリティーは自分のことをお話しして、エンターテインメントを届けるお仕事です。学生時代に受け入れてもらえなかった自分の性格を、全国ネットにお届けするのが、最初はすごく怖くて。すごく不安でした」と就任当時を回想。やがて番組が人気を高めるにつれて「自分のことを自分自身が受け入れられるようになりました」と伝えた。


 人生の節目をたどり「中学生のとき、大学生のとき、自分で人生を変えたいと思ってよかったです」と語る新内は、感謝を伝えたファンに向けて「一歩踏み出す勇気さえあれば、10年後、20年後、笑っていられる自分がいると思ってます。なので、今日来ているみなさん、配信でご覧のみなさんも、この私の踏み出す勇気を受け取っていただいて、これからの人生に生かしていただけたらうれしいなって思います」とメッセージを届けた。

 思いを伝え切った新内は、卒業を記念した自身のソロ曲「あなたからの卒業」を披露。込み上げる気持ちを抑えきれず、曲中では涙を流し声を詰まらせる。歌い終えるとほかのメンバーが合流。卒業の節目を象徴する「サヨナラの意味」では、メンバーを背に笑顔を浮かべながらパフォーマンスを繰り広げた。

「新内さんが泣いているときはいつも誰かのための涙だった」

 最後のMCでは、新内と親交が深かった3期生の梅澤が、メンバーを代表して手紙につづった門出の言葉を贈った。

 涙を浮かべながら「新内さんのいない楽屋はとても寂しいです。物足りなくて、どこか静かです。でも、明日からはこれに慣れなきゃ。これが当たり前にならなきゃいけないんですね」と語った梅澤。

 一緒に過ごした時間の中で「新内さんに救われたメンバー、たくさんいるんじゃないかと思います」と話す梅澤は「私が新内さんに言われて心に残っている言葉は、私が加入してすぐに言ってくれた『何かあったら私を使ってイジっていいからね』とかけてくれた言葉です」と回想。
「すべてを受け入れてくれていた新内さんの寛大な心に、当時の私は気づけていなかった気がします。場を和ませるために、みんなを助けるために、いつも誰かのために、本当にありがとうございました」と感謝を伝えた。

 さらに「新内さんが泣いているときはいつも誰かのための涙だったなと思います。誰かのために、いつも誰よりも涙を流してくれていましたね」と吐露。自身の副キャプテン就任発表前に新内が「焼き鳥につれていってくれた」というエピソードも明かし、「悩んでいるとすぐに察して隣に来てくれることも、会うたびに抱きつくのが日課になった毎日も、してもらってばかりで私は何も返せなかったけど、これから返させてください」とアピール。

 最後「本当のお姉ちゃんのように思っています」と伝えた梅澤は「出会えて本当によかったです。新内さんのまわりは、期を超えていつも笑顔で溢れていました。新内さんの人柄があったからだと思います。きっとこれからもそうなんだろうなと思います。たくさんのやさしさを本当にありがとうございました。どうか、ずっと幸せでいてください。これからもずっと大好きです。
9年間、本当にお疲れさまでした」とねぎらいの言葉を贈った。

 公演の最後を飾ったのは2期生曲「ゆっくりと咲く花」。曲中ではステージ中央の新内と各メンバーが寄り添い見つめ合う。笑いあり涙ありの卒業公演は終演を迎え、秋元に感想を求められた新内は「後悔は一つもないので。今すごいすっきりしています」と吐露。ステージの中心に立ち、メンバーと横一列に並んだまま「ありがとうございました!」と伝え、ラストステージを締めくくった。

 乃木坂46「新内眞衣 卒業セレモニー」のセットリストは以下の通り。

OVERTURE
M1:生まれたままで
M2:トキトキメキメキ
M3:Out of the blue
M4:ハルジオンが咲く頃
M5:日常
M6:太陽ノック

EN1:あなたからの卒業
EN2:サヨナラの意味
EN3:ゆっくりと咲く花

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