深夜の静寂を破る騒音は、それだけで強いストレスになります。今回話を聞いた細川さん(仮名・39歳)も、ある日突然始まった“異変”に悩まされた一人です。
しかし、そのトラブルがきっかけで思わぬ展開があったそうです。
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穏やかな暮らしを支えていた“理想のご近所関係”

 細川さん夫妻が暮らすのは、都内の閑静な住宅街にある三階建てマンションの2階部分です。騒がしさとは無縁の環境で、落ち着いた生活を送っていたといいます。

「ここは本当に静かで、住みやすい場所なんですよ」

 つい最近まで、上階には料理研究家が住んでいたそうです。メディア出演も多く、忙しい人物だったにもかかわらず、近所付き合いは非常に良好でした。

「年齢も近かったですし、家族ぐるみで交流していました。たまに料理をおすそ分けしてもらったりして」

 ところが、レシピ本のヒットなどで仕事が順調だったのか、ほどなくしてその人物は戸建て住宅へ引っ越していったといいます。

 その後、上階はしばらく空室に。静かな日常がこれからも続くかのように思われましたが、ある日を境に状況は一変します。

真夜中に響き渡った“正体不明の音”

 いつの間にか、上階に新たな住人が入っていたといいます。しかし、その存在に気づいたのは、生活音ではなく“騒音”でした。

「挨拶もなかったですし、生活感がほとんどないんですよ。若い男女っぽいな、というくらいで」

 日中も気配が薄く、どんな人物なのかまったく分からない状態。そんな中、事件が起きました。
ある日の深夜3時。熟睡していた細川さんは、突然の重低音で目を覚ましたのです。

「最初は、幹線道路の工事だと思いました。でも、工事案内とかポストに入っていませんでしたし、工事とかのレベルではない爆音でした」

 ズンズンと響く低音が、天井を通じて室内に伝わってきます。しかも断続的ではなく、一定のリズムを持った“ビート音”です。

「これは上だな、ってすぐ分かりました」

 しばらく様子を見たものの、音は収まる気配を見せません。苛立ちと不安が入り混じる中、細川さんはある行動に出ます。

木刀でも止まらない騒音、そして110番へ

 細川さんは護身用に木刀を所持していたので、半ば衝動的にそれを天井に向けて突き上げたといいます。

深夜3時まで止まらない“上階の騒音”に我慢の限界…近くの交番に助けを求めた結果、発覚した“意外な正体”
騒音
「何度か“ドンッ”と天井を叩けば気づくかなと思いましたが、全然ダメでしたね」

 音は一瞬弱まることはあっても、すぐに再開。まるで波のように、静寂と爆音を繰り返します。

「正直、気味が悪かったです。どういう人が住んでるのか分からないですし」

 直接訪ねるのはリスクが高いと判断した細川さんは、近くの交番へ向かいます。深夜にもかかわらず、足を運んで事情を説明したそうです。


 対応した警察官が上階の部屋を訪ね、インターホンを押したものの反応はなし。しかし、それ以降、騒音はぴたりと止まりました。

「とりあえずは助かりました。でも、正直また来るんじゃないかって不安でしたね」

 その予感は的中します。深夜の爆音はなくなったものの、今度は日中に同じような重低音が響くようになったのです。

実は有名人だった“騒音”の主

 そんな状況が続いたある日、上階の住人が菓子折りを持って謝罪に訪れました。現れたのは、若い男女の二人組。どこか“普通ではない”雰囲気をまとっていたといいます。

「いわゆるアーティストっぽい感じでしたね。服装とかも個性的で」

深夜3時まで止まらない“上階の騒音”に我慢の限界…近くの交番に助けを求めた結果、発覚した“意外な正体”
テレビ
 騒音について謝罪を受け、ひとまず一件落着。しかし、その後、思いがけない形で彼らの正体が明らかになります。

「ある夜、テレビを見てたんですよ。
そしたら、あれ?ってなって」

 画面に映っていたのは、なんと上階に住む男性だったそうです。

「思わず『えー!』って声を上げました。しかも、結構敷居の高い某番組だったんです。そこで演奏していたんですよ!」

 それ以来、多少の音漏れは全く気にならなくなったという細川さん。むしろ、ビートが心地よいBGMになったそうです。

「今回の騒動以降、なんか一気に距離が縮まって、先日なんかはエントランスで偶然に出くわしても気さくに会話してくれて、なんだか一気に良好なご近所付き合いができるようになりました!」

 そんな意外な展開を経験した細川さん。今では“騒音主”のライブに行き、ファンクラブにも入ったとのことです。
 
<TEXT/八木正規>

【八木正規】
愛犬と暮らすアラサー派遣社員兼業ライターです。趣味は絵を描くことと、愛犬と行く温泉旅行。将来の夢はペットホテル経営
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