清水崇監督による「恐怖の村」シリーズ第3弾『牛首村』。タイトルからして禍々しい雰囲気が漂うこの映画。

なんと富山県魚津市に実在する北陸最凶の心霊スポット・坪野鉱泉を舞台とし、ロケもその場所で敢行されたという。クランクイン!では、恐怖に震えながらも坪野鉱泉を探訪。雪に覆われた大地にひっそりと佇む廃墟を目撃するとともに、撮影時の様子を調査すると、数々の奇妙な現象が巻き起こっていたことが明らかになった。

【写真】映画の撮影でも怪現象! 雪の中にポツンと佇む坪野鉱泉

■窓は破れ、外壁に落書き…廃ホテルの“今”にゾクリ

 『犬鳴村』『樹海村』に続く「恐怖の村」シリーズ第3弾となる本作。Koki,が女優デビューを果たし、不可解な出来事に翻弄される女子高生姉妹の一人二役を熱演している。主なロケ地となった「坪野鉱泉」と称される建物は、1970年ごろに「ホテル坪野」として開業。
ある事件を機に1982年に廃業したものの、手付かずの廃ホテルとなってなおその場所に佇んでいる。肝試しに訪れる人も後を絶たないが、身の毛もよだつような恐怖体験が続々と報告され、今では内部が立ち入り禁止となっているいわくつきの心霊スポットだ。

 映画は、女子高生の詩音(Koki,)、アキナ(大谷凜香)、ミツキ(莉子)が心霊動画を撮るために坪野鉱泉に潜入するシーンからスタート。キャッキャとはしゃぎながら自撮りをしつつ肝試しをするアキナ、ミツキ、そして恐る恐る2人についていく詩音。悪ノリしたアキナとミツキが廃ホテルのエレベーターに詩音を押し込むと、エレベーターが動き出して詩音が行方不明になってしまう…。つまり劇中で不思議な世界への入り口となるのが坪野鉱泉なわけだ。


 富山駅から車を走らせ、山道を進むと雪に覆われた小高い丘の上に突然、坪野鉱泉が姿を現した。胃腸にいいと言われる「薬師の水」の水汲み場があるなど、豊かな自然に囲まれたその場所は、通る人影や車もほとんどなく、鳥の声だけが響き渡る。

 静寂と真っ白な雪の中にそびえ立つ廃ホテルは、スタンリー・キューブリック監督の『シャイニング』に登場した恐怖ホテルを彷彿とさせるような、異様かつどこか神秘的な雰囲気さえ漂っていた。建物の入り口へと続く道はうず高く積もった雪ですべて塞がれ、訪れる者を寄せ付けないよう。外壁に描かれた落書き、破れた窓、そこからチラリと見える客室…。

 かつては多くの観光客でにぎわい、温泉やプールを楽しんでいたことを想像すると、現在の静けさとのギャップにゾクゾクとさせられた。


■ホテル内部で敢行! 撮影時に起きた不可解な現象とは?

 現在ホテルの内部は立ち入り禁止となっているが、本作の撮影隊は、各所の許可どりに奔走し、内部での撮影が実現している。我々取材班は今回内部に侵入することはできなかったが、撮影時の写真を入手した。

 建物内も無数の落書きが描かれており、不気味な笑顔から真っ赤な血が流れているようにも見えるイラストは一際おどろおどろしく、錆びついた階段、穴の空いたガラス窓、はがれ落ちたレンガやボロボロに破れた床や天井、扉の向こうに見える吸い込まれそうな暗闇など、突然時が止まってしまったかのような異空間が広がっている。

 劇中では真っ暗なホテルの中を探索するアキナが「今までで一番怖いかも」と恐怖を口にするが、「恐怖の村」シリーズ3作品すべてに出演しているアキナ役の大谷凜香自身も「今回の坪野鉱泉が一番怖かった」と証言している。

 撮影時にはミツキ役の莉子と共に、自撮りをしながら2人きりで夜のホテルの階段を上っていくシーンにも挑んだ大谷。階段下にいたスタッフによると、カメラが回る前から彼女たちの「怖いー!」という絶叫が聞こえてきたそうで、恐怖と戦いながらの撮影となった。
莉子は「壁の落書きが動いているように見えた」とも話しており、どうやら実際に不可解な出来事が巻き起こっていた様子。

 撮影に立ち合い、霊感があることを自覚している宣伝スタッフに話を聞いた。Hさんは坪野鉱泉を目にしただけで、嫌な感じ、寒気がしたという。Koki,をはじめキャスト陣も同じように「怖い」と話していたそう。「中に入るのは気が引けるな」と感じていたHさんは、「階段を上っていくごとにひんやりとした空気が増していった」と当時の状況を振り返っている。ちなみに撮影は真夏に行われたことを付け加えておく。


 また撮影前にはホラー映画には必須ともいえるお祓いを行ったが、お祓い中に照明が消えるトラブルがあったとか。ドローンを飛ばそうとしても、まったく飛ばない…という機材トラブルも。清水監督は、編集作業中にスマホの音声ガイドが勝手に起動して「私にはわかりません」という声が作業部屋に響き渡った他、音響スタッフのパソコンが故障したというエピソードもある。

 ちなみに筆者自身、坪野鉱泉の外観を動画でも撮影してみたが、停止ボタンがまったく効かなくなるという現象があった。さらにレンタカーを借りていた際、ちょうど坪野鉱泉に到着したあたりで「その車を交換させてほしい」という連絡が入った…。手続き上の問題だったようだが、やはり心霊スポットでの撮影には怪異がつきまとうものなのかもしれない。


■牛首トンネルは「通ると屋根を叩く音がすることがある」

 坪野鉱泉だけでなく、劇中には地元で有名な心霊スポットで富山県と石川県の県境にある牛首トンネルも登場する。行方不明になった詩音を探しにきた奏音(Koki,一人二役)が、旅の途中でくぐり抜けるのがこのトンネル。

 この日は雪で通行止めとなっており、入り口まで辿り着くことはできなかった。地元の人に調査したところ、「トンネルでエンジンが止まってしまう」「トンネルを通ると屋根を叩く音がすることがある」との声が上がった。トンネル内には首のない地蔵があるそうで、そんなところでエンジンが止まったりしたら怖くてたまらない。劇中でもドキリとさせられることが起きるので、注目だ。

 その他、富山県内の各所で撮影が行われている本作。坪野鉱泉は立ち入り禁止となっているが、外から眺めることは可能で、Koki,演じる奏音が異様なものを目にする「海の駅 蜃気楼」や、萩原利久演じる蓮、高橋文哉演じる将太らが「いよいよ引き返した方がいい、ヤバいことになってきた」と恐怖におののくシーンが撮影された魚津駅なども、ぜひロケ地探訪の際には訪れてほしいスポットだ。

 映画館で『牛首村』の恐怖を堪能したら、感染状況を踏まえつつ、実在の場所でさらに物語に没入してみてはいかがだろう。

 映画『牛首村』は、2月18日より全国公開。

※Koki,のoの正式表記はマクロン付き。
※記事中の坪野鉱泉内部の写真は、映画撮影時に撮られたものです。現在は立ち入り禁止となっており、敷地内に立ち入ることはできません。