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第3回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞した深町秋生の『果てしなき渇き』を実写映画化した本作。容姿端麗で頭脳明晰、学校のマドンナ的存在ながら、謎の失踪を遂げるという難役を見事オーディションで勝ち取った小松。「(加奈子に決定した時は)本当に驚きました。一緒にオーディションを受けた子たちは、お芝居できる子が多かったし、わたしは全然うまく出来なかったので……。とても嬉しかったのですが『何で私なんだろう?』という気持ちだったし、共演する俳優さんや女優さんの名前も聞いていたので、『この役ちゃんとできるのかな』っていう不安もありました」。
そんな中、小松は、ほぼ映画初出演という状況ながら、中島監督からヒロインに抜擢された。「周りの人から中島監督は“怖い”って聞いていたので、『現場で監督に怒られるんだろうな、大変だなって』思っていたのですが、実際はとても優しかったです。私が緊張していることを分かっていて、色々話しかけてくれたり、芸人さんのガチャガチャのストラップをくれたり(笑)」。一方で加奈子というキャラクターについては、中島監督と妥協なく向き合ったという。「私は芝居の経験がなかったので、監督とはたくさん話をして、シーンごとに『良かった』『そこは違う』という感じに確認しながら進めていきました」。
父親役の役所はじめ、後半シビアなシーンを繰り広げる中谷美紀など、一線級で活躍する俳優たちと対峙するシーンがあるが「有名な俳優さんたちに交じっての演技だったので、(自分の存在が)消えたら嫌だなという思いもあって、とにかく全力で頑張ろうという気持ちで臨みました」と貪欲な一面ものぞかせた小松。特に中谷は、事務所の先輩であり、小松の言葉を借りると「ザ女優」という存在だと言う。しかも映画『嫌われ松子の一生』で主演・中谷美紀、監督・中島哲也という現場も経験している。
当時、中谷はインタビューやイベントの折に、中島監督の現場での厳しさや怖さについて触れていたこともあり、小松が撮影の時には『現場どう?』『いじめられてない?』と声を掛けてもらっていたそうで「私が『大丈夫です』って言うと『そうなんだ……なんかあったら言いなね』って優しくしていただきました。私にとって中谷さんとのシーンは、女の二人芝居ということで、貴重な体験になりました。中谷さんが本気でぶつかってきてくれるので、加奈子の内に秘めた部分も自然と出すことができたんです」と当時を振り返った。 小松演じる加奈子は、誰もが憧れる学園のマドンナという顔を持つ一方で「愛する娘は、バケモノでした」というキャッチフレーズがつくほど複雑な性格の持ち主だ。自覚している二面性について「加奈子ほど極端ではありませんが、私もモデルなどをしていて、スマートな印象がある一方で、親の前では反抗的な態度をとってしまうこともあるし、意外と短気だったりもしますね(笑)」と分析。
さらに小松は「負けず嫌いな性格なんです」と語ると、橋本愛や二階堂ふみなど、同世代との共演にも「休憩中はみんなでワイワイやっているのに、本番になるとスッてキャラクターに入っていけるのが格好いいなって思いますし、他の俳優さんが監督に褒められたりすると『自分も褒められたいから頑張らないと!』って刺激になるんです」と向上心を見せる。
そんな強い気持ちで挑んだ本作が、いよいよ劇場公開される。「加奈子という女の子は人によって感じ方が違う役柄。その部分は監督ときちんと話をして臨みました。
『渇き。』は、6月27日より全国公開。