【写真】2019年に卒業発表、2018年に卒業した乃木坂46メンバー
アイドルとの関りも深い音楽プロデューサーの田辺恵二氏は、「考えられるのはアイドルとしての『セカンド・キャリア』という問題です」と話す。
「これは2つあって、深川麻衣さんのように中心メンバーではなかった人たちが卒業後に活躍する姿を見て可能性を感じ、芸能界でやっていけるという実例を見ての卒業。もう1つは、引退して人生をやり直すなら早いほうがいい、と考えての卒業です」。
いずれにしても、大人数グループの中の一人として埋もれてしまうなら…という危惧が根底にあると思われる。
斉藤優里は卒業の理由について、自身のブログで、「25歳という節目になる年齢で 自分の人生を考えたりする機会が多くなり そしてグループの将来を思った時に 私が後輩に見せられるものは全て出し切ったかなと感じ決断しました」と説明している。都内で複数のアイドルグループに長年携わってきた男性プロデューサーは、最近のアイドル界の全般的傾向として、自分でキャリアの節目を設定するアイドルが増えたと指摘する。
「ソロアイドル主流の頃は、プロダクションが少数のアイドルにお金や時間、人員(スタッフ)といったコストを集中的にかけて売り出す。売れた者がスターになり、アイドルと呼ばれた。狭き門ではありましたが、いったん世間に名前が出ればやめることはなかなか考えにくかったんです。
「グループ内での人間関係も無視できません。単純に仲が良い、悪い、ということだけではなく、やはり活動しているうちに売れ方にも差が出てしまう。アイドル界も、いまや“格差社会”です。自分はプロダクションに推されていない、と感じるメンバーは『このまま歳をとったら行く場所がなくなる』と焦りを感じるでしょう」。
さらに、ごく最近の傾向として芸能エンターテインメントの世界を目指す人たちの変化を感じるという声もある。スポーツ紙の芸能担当デスクが話す。
「先日、専門学校の関係者と話す機会がありましたが、今年の新入生は表舞台を目指す学生の人数が減り、スタッフを目指す学生のほうがあふれている、と言うんです。音楽やエンタメは好きだけど、今から頑張ってもあこがれの俳優や歌手と同じ表舞台に立つのは無理そうだと。
乃木坂46のような人気グループから卒業生が続々と出るというのは、ひょっとしたら芸能界自体が新時代を迎えているということなのかもしれない。(文:奥住真)