◆第173回天皇賞・春(5月3日、京都競馬場・芝3200メートル、良)

 第173回天皇賞・春は3日、京都競馬場の芝3200メートルを15頭で争い、1番人気のクロワデュノール(北村友)が最後の直線で抜け出し、G1・4勝目。同じキタサンブラック産駒で12番人気のヴェルテンベルクの猛追を退け、推定2センチの鼻差で勝ち切った。

大阪杯に続き、レース史上6組目(7回)の父子制覇を果たした。

 すべての力を振り絞った。最後の直線。クロワデュノールは好位追走から馬場の真ん中へ持ち出された。北村友の左ステッキに応え、ラスト1ハロン手前で先頭に立ったが、ゴール板は遠かった。後ろから差を詰めるアドマイヤテラ、アクアヴァーナルを懸命に振り払った後、さらに外からヴェルテンベルクの猛追。「クロワ自身が少し脚が上がってしまいました」。祈りを込めた左ステッキを何発も振り下ろす。ゴールの瞬間。内外に離れた2頭の馬体は重なった。

 10分近い写真判定の結果は推定2センチ差。掲示板の1着に馬番「7」が灯った瞬間、小雨の降り注ぐ場内に大歓声が湧き起こった。

「ゴールした時は本当に分からなかった。勝っているのか、負けているのか分からない状態で上がってきました。勝って、ホッとしています。本当によかった」と北村友。安どの表情だった。

 未知との戦いだった。京都も初めてなら、長距離戦の経験もない。主戦は「共同会見では不安がないと言いましたが、内心はありました。3200メートルがベストだとは思っていなかったです」と吐露。順調に調整できたが、前走の大阪杯からは中3週で、国内では初めて在厩での続戦。求められるものが高いぶん、プレッシャーはかかる。実際、1周目の坂の下りでは力んでいた。

しかし、パートナーへの厚い信頼は揺るがない。「馬の力を信じて追い出しましたし、直線も何とかしのいでくれると信じていました」。2~7着馬はすべて差し馬。すべてに打ち勝つ正攻法で、王者は着差以上の強さを誇示した。

 父キタサンブラックとの父子制覇となる、大阪杯からのG1連勝。「両方とも取れて、みなさんの期待に応えられてよかった」と斉藤崇調教師はホッとした様子。今後は褒賞金3億円の春G1・3連勝がかかる宝塚記念(6月14日、阪神)もあるが、サンデーレーシングの吉田俊介代表は「先のことは分からない」としたうえで、「凱旋門賞とかを考えて、ここを使ってみて、まずは勝って良かったです」と昨年14着だった仏G1も選択肢に挙げた。これからどこへ向かうのか。いずれにせよ、今の日本競馬の中心にはクロワデュノールがいる。(山本 武志)

 ◆クロワデュノール 父キタサンブラック、母ライジングクロス(父ケープクロス)。栗東・斉藤崇史厩舎所属の牡4歳。北海道安平町・ノーザンファームの生産。

通算成績は10戦7勝(うち海外2戦1勝)。総獲得賞金は12億1984万600円(うち海外597万600円)。主な勝ち鞍は24年東京スポーツ杯2歳S・G2、ホープフルS・G1、25年日本ダービー・G1、プランスドランジュ賞・仏G3、26年大阪杯・G1。馬主は(有)サンデーレーシング。

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