GⅠ大阪杯(4月5日/阪神・芝2000m)で3つ目のGⅠタイトルを手にしたクロワデュノール(牡4歳)。5月3日に行なわれるGⅠ天皇賞・春(京都・芝3200m)では、4つ目のGⅠ奪取とキャリア初のGⅠ連勝がかかっているが、これをクリアすれば、現在の日本競馬界における"エースの座"を確かなものにできるに違いない。

 ただ、天皇賞・春においては、大阪杯から6ハロンの距離延長や、中3週というレース間隔が詰まった臨戦過程など、克服すべき課題が多い。

 はたして、クロワデュノールは伝統の一戦で戴冠を遂げることができるのだろうか。

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 関西の競馬専門紙記者は、「(クロワデュノールにとって)視界は至って良好」ときっぱり。その根拠は、まず大阪杯の勝ちっぷりにあるという。

「前走の大阪杯では、馬体重プラス10kgが示すとおり、太め残りであったことは明白。かなり余裕のある仕上げでした。加えて、15頭立てで不利な大外の8枠15番発走。展開的にもメイショウタバルが単騎先頭で悠々と運んでいく、逃げ有利な展開でした。

 そうしたなか、クロワデュノールは直線入口で2番手まで上がって、ただ1頭、逃げるメイショウタバルを追いかけて、捕まえにいきました。そして、ゴール直前でかわし4分の3馬身差をつけて先着。あの競馬は、本当に強かった。

 しかも、最後の直線では太め残りのせいか、ややふらついて、いかにも万全じゃないところを見せながら、差しきりましたからね。

あの競馬で、クロワデュノールは並みのGⅠ馬ではないことを示しました。

 大阪杯は例年、有力馬が同じ時期に開催されるドバイや香港のビッグレースに参戦して、メンバーが小粒になりがち。そのレベルを問題視されることが多いのですが、今年はそれなりのメンバーが集結し、クロワデュノールはここ何年かの勝ち馬と比べても、明らかに能力は一枚上でした。

 その力は現役屈指と言っていいでしょう。天皇賞・春も、よほどのアクシデントでもない限り、勝ち負け必至と見ています」

 要するに、距離やレースの間隔など、天皇賞・春に向けての課題をうんぬん言う前に、クロワデュノールは本質的な能力が違う、というのだ。

 そのうえで、今回は状態面の良化というプラスアルファが見込める。

 実は大阪杯の前、放牧先から戻ってきたときのクロワデュノールは、前走となる昨年のGⅠジャパンカップ(4着。11月30日/東京・芝2400m)当時から、30kgほども馬体重が増えていたそうだ。それを、プラス10kgまで絞って出走したのが、大阪杯だった。

 馬体重が状態面の善し悪しを測るすべてではないものの、今回はそれよりも絞れて、より走れる馬体になっているのは間違いない。

 そもそも陣営は、当初から春は大阪杯と天皇賞・春の2戦、と考えていたという。状態次第ではGⅠ宝塚記念(6月14日/阪神・芝2200m)も想定しているようだが、それよりもまず、大阪杯のあとはその先のことは考えず、天皇賞・春に全力投球する――それが、もとからのプランだった。

 能力的に抜けている馬が余力を残した状態で前走のGⅠを勝って、さらに状態を上げて臨む一戦である。もはや、他馬がつけ入る隙はなさそうに感じられる。

 とはいえ、やはり気になるのは、前走から一気に6ハロンも距離が延びること。クロワデュノールにとって未知の距離となる、3200mの長丁場のレースに対応できるかどうか、だ。

 だがその不安も、先述の専門紙記者はさらりと一蹴する。

「クロワデュノールは前半で行きたがるところがありますが、これは許容範囲。第一、これだけの馬です。距離に不安があるなら、そもそもここは使わないでしょう」

 父キタサンブラックはクラシック最後の一冠、GⅠ菊花賞(2015年/京都・芝3000m)を制覇。その翌年(2016年)には、天皇賞・春も制した。さらに次の年(2017年)には、その年にGⅠに昇格した大阪杯→天皇賞・春とGⅠ連勝を飾るとともに、天皇賞・春の連覇を達成している。

 その血筋からしても、長距離戦を不安視する必要はない。むしろ、長丁場の戦いでこそ、その強さをいかんなく発揮するかもしれない。

また、父が大阪杯→天皇賞・春のGⅠ連勝を飾っていることを考えれば、その子、クロワデュノールが同じ偉業を果たしても何ら不思議ではない。

 中3週というローテも、当初から予定していたことであれば、まったく問題ないだろう。初の京都コースという点も、同じく初めてだった阪神コースを前走で難なくこなしていることからして、懸念材料に挙げることさえはばかられる。

 クロワデュノールが勝つ準備は、万事整っている。

 陣営はおそらく、すでに秋の戦いを見据えているのではないか。秋には、昨年国内で初めて馬券圏外に沈んだジャパンカップが控えているからだ。

 先述の記者によれば、昨年のジャパンカップでクロワデュノールに先着した同世代のライバル、マスカレードボールも秋には再び同舞台に向かう予定だという。クロワデュノール陣営にとって、そこでマスカレードボールとの決着をつけ、本当の意味で"頂点に立つ"ことが最大の目標になるのだろう。

 そのためにも、ここは負けられない。淀のターフで、一段と強さを増したクロワデュノールの雄姿を見届けたい。

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