蘇る名馬の真髄
連載第44回:スーパークリーク

かつて日本の競馬界を席巻した競走馬をモチーフとした育成シミュレーションゲーム『ウマ娘 プリティーダービー』(Cygames)。2021年のリリースと前後して、アニメ化や漫画連載もされるなど爆発的な人気を誇っている。

ここでは、そんな『ウマ娘』によって再び脚光を浴びている、往年の名馬たちをピックアップ。その活躍ぶりをあらためて紹介していきたい。第44回は、武豊騎手に初のGⅠタイトルをもたらし、特に長丁場の戦いで強さを発揮したスーパークリークの足跡を振り返る。

【ウマ娘】では甘やかし上手 生涯3つのGⅠタイトルを獲得し「...の画像はこちら >>
 とにかく甘やかし上手で、すさまじい母性力を誇る。それが『ウマ娘』のスーパークリークだ。自分が成長するより、相手を一人前にすることに喜びを感じるタイプらしい。

 このキャラクターのモデルになったのは、競走馬のスーパークリーク。「天才」の名をほしいままにしてきたレジェンドジョッキー、武豊騎手に初めてGⅠ勝利をもたらし、武豊騎手本人が「スーパークリークがいなかったら、今の僕はいない」と言うほどの存在だ。先述した「相手を一人前にすることに喜びを感じる」というウマ娘の性格は、こうしたエピソードも反映されているかもしれない。

 スーパークリークが特にその強さを発揮したのは、長距離戦の舞台だった。初のGⅠ制覇も1988年、同馬が4歳(現3歳。※2001年度から国際化の一環として、数え年から満年齢に変更。

以下同)の秋に挑んだGⅠ菊花賞(京都・芝3000m)だった。

 デビュー2戦目で勝利を飾るも、以降は善戦止まりに終わるレースも多く、やや出世が遅れたスーパークリーク。トライアル戦でもなかなか勝ちきれず、菊花賞を迎えた際にも収得賞金が少なく、ギリギリ出走できるかどうか、という状況だった。

 だが、この馬が秘めた才能に期待する関係者は少なくなかった。なかでも、その思いが強かったのが武豊騎手だ。除外の可能性もありながら、「この馬で菊花賞に挑む」と早々に決めていたという。

 そんな若きスタージョッキーの情熱も相まってか、無事に菊花賞のゲート入りを果たしたスーパークリークは3番人気の支持を得た。そして、レースではその人気以上の堂々とした走りを披露。1番人気のヤエノムテキが馬群に沈むなか、後続に5馬身差をつける圧勝劇を演じた。

 これが、スーパークリークにとって初の重賞勝ちであり、武豊騎手が初めて手にしたGⅠタイトルだった。

 さらにそれからおよそ1年後、スーパークリークは2度目のGⅠタイトルを獲得する。

 舞台は、1989年のGⅠ天皇賞・秋(東京・芝2000m)。

2番人気に推された同馬は、スタートから先行すると、直線で1番人気のオグリキャップ(2着)、3番人気のメジロアルダン(3着)との叩き合いを制して勝利。菊花賞で見せたスタミナだけでなく、2000mで勝てるほどのスピードを保持していることも証明した。

 以降、オグリキャップら名うてのライバルたちとともに一時代を築いていくスーパークリークは、翌春に3つ目のGⅠ制覇を果たす。同馬が最も力を発揮できる長距離戦、GⅠ天皇賞・春(京都・芝3200m)だ。

 この日も"相棒"の武豊騎手を背にしたスーパークリークは、単勝1.5倍と圧倒的な1番人気に推された。スタート直後は行き脚がつかず、やや置かれてしまうが、武豊騎手がすぐさま外に出して進出。スタートから1000mほどの時点では、4番手の好位につけた。

 その後は、その位置でリズムよく追走。3コーナーあたりから全体のピッチが上がり始めると、スーパークリークも再び外から進出し、4コーナーで先団に並びかけていった。

 4~5頭が横並びとなった最後の直線。スーパークリークは外から抜け出しを図る。懸命に追う武豊騎手。

直線半ばで先頭に立ったが、その外から2番人気のイナリワンが猛追してきた。同馬もGⅠ3勝の強者だ。

 2頭の一騎打ちとなったレース終盤。追うイナリワン。譲らぬスーパークリーク。見応えのある熾烈な争いは、最後まで脚色が衰えなかったスーパークリークが先着。イナリワンに半馬身差をつけて、春の盾を手にした。

 生涯に獲得したGⅠタイトルは3つ。そのすべてを気鋭のジョッキー・武豊騎手とのコンビで勝ち取った。ある意味で"天才ジョッキー"の礎を築いた存在――それが、スーパークリークである。

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