古馬の長距離王決定戦となるGⅠ天皇賞・春(京都・芝3200m)が5月3日に行なわれる。

 かつて"堅いGⅠ"のひとつだった同レース。

2000年代に入ってからは一時"荒れるGⅠ"に様変わりしつつあったが、最近は再び人気馬の好走が目立つようになり、過去10年の結果を振り返ってみると、1番人気が5勝、2着3回と安定した成績を残している。

 そして今年、1番人気が予想されるのは、昨年のGⅠ日本ダービー(東京・芝2400m)を制したクロワデュノール(牡4歳)。前走のGⅠ大阪杯(4月5日/阪神・芝2000m)では鮮やかな復活勝利を飾っており、勝ち負け必至と見られている。

 ただ、クロワデュノールは今回が初の長距離戦。中3週というローテーションも気になるところだ。それらの懸念について、日刊スポーツの太田尚樹記者はこう語る。

「今回の出走については、決して急遽の参戦ではありません。大阪杯から中3週での出走は、もともと計画されていたことのようです。

 大阪杯の際、当日の朝に坂路を駆け上がるという異例の調整が話題となりましたが、次戦への"おつり"も考慮した絶妙の仕上げだった、ということでしょう。ですから、状態の上積みに関しては間違いないと見ています」

 それでも、太田記者は「初の3200mはどうなのか、というのはあります」と言って、こう続ける。

「管理する斉藤崇史調教師も『最近は(スタートしてから)1コーナーまで力むところがある』と話しており、(距離克服には)1周目の3コーナーの下りをポイントに挙げています。

 また、重箱の隅をつつくようなものかもしれませんが、少し気になるデータがあります。

2007年のメイショウサムソン以来、ダービー馬の勝利がない、ということです。ダービー馬の出走自体が減っているのもありますが、その間には実力上位のオルフェーヴル(2012年11着)、キズナ(2014年4着、2015年7着)らが苦杯をなめています」

 となると、少しはつけ入る隙があるかもしれない。太田記者も「ここ最近は"大荒れ"こそありませんが、6番人気以下の馬が頻繁に馬券に絡んでいます」と言って、「伏兵の台頭も十分にある」と見ている。

 そこで、太田記者は好配当を演出しそうな候補馬を2頭ピックアップした。まず1頭目は、シンエンペラー(牡5歳)だ。

【競馬予想】天皇賞・春でクロワデュノールを脅かす存在はいるか...の画像はこちら >>
「昨年2月の海外GⅡネオムターフカップ(キングアブドゥルアジーズ・芝2100m)を勝って以降は低迷が続いていますが、昨秋に内視鏡検査を受けて呼吸器に問題があることが判明しました。その後は、呼吸器のケアをしながら立て直しを図ってきています。

 2走前のGⅠ有馬記念(12月28日/中山・芝2500m)は14着でしたが、向正面や直線で他馬に寄られてまったく競馬になっていませんでした。しかし、今年GⅠに昇格した前走のネオムターフカップ(2月14日)では4着。復調の兆しを見せ、今回の距離延長もプラスに働くのではないでしょうか」

 3歳時にはダービーで3着に入り、海外GⅠのアイリッシュチャンピオンS(レパーズタウン・芝2000m)3着、GⅠジャパンカップ(東京・芝2400m)2着など古馬相手にも奮闘したシンエンペラー。潜在能力はクロワデュノールと比較してもヒケを取らない。

「今回はアメリカへの遠征を断念しての参戦となりますが、追い切りのパフォーマンスを見る限り、状態に問題があるようには見えません。

それに、ご存知のとおり、道悪のGⅠ凱旋門賞(パリロンシャン・芝2400m)を勝ったソットサスの全弟ですから、スタミナも秘めています。巻き返しがあっても不思議ではありません」

 太田記者が推奨するもう1頭は、ミステリーウェイ(せん8歳)だ。

「大穴狙いなら、この馬。バテたように見えてしぶとく粘るのが持ち味で、昨秋のGⅡアルゼンチン共和国杯(1着。11月9日/東京・芝2500m)でも手応え以上に踏ん張って、のちにGⅢダイヤモンドS(2月21日/東京・芝3400m)を快勝したスティンガーグラスら骨のあるメンバーの追撃を封じ込めました。

 その後、有馬記念では最下位。前走のGⅡ日経賞(3月28日/中山・芝2500m)はブービー(14着)と大敗を喫しましたが、どちらもハナを奪われて自分の競馬ができずじまい。管理する小林真也調教師も『どちら(のレース)も速い流れでラクな競馬をさせてもらえませんでした』と、敗因は明白です。

 ですが、人気が落ちてノーマークになったときに怖いのが逃げ馬。古い例になりますが、2004年のイングランディーレ(10番人気)や、2012年のビートブラック(14番人気)の再現があるかもしれませんよ」

 伝統の長距離GⅠ。スタミナ勝負で大駆けが見込める伏兵に要注意である。

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