不敬罪に問われ、公開処刑されたと伝えられる北朝鮮の玄永哲(ヒョン・ヨンチョル)人民武力部長(国防相に相当)が、11年を経た現在も北朝鮮の官営メディアに登場し続けている。韓国メディア「サンドタイムズ(ST)」は、この異例の現象について、北朝鮮当局による対外イメージ管理の一環である可能性を指摘している。

STによれば、23日に朝鮮中央テレビが放映した記録映画『偉大な領将を戴いて』には、玄氏が金正恩総書記(当時は第1書記)による軍の訓練視察に随行し、「金正恩氏と共に笑顔を見せる場面」が収録されていた。STは、「処刑された幹部の写真や映像を徹底的に消去してきた北朝鮮の長年の慣行を考えれば、処刑から11年が経過した人物が平然と放送に登場するのは極めて異例だ」と伝えている。

玄氏は2015年、行事中に壇上で居眠りした「事件」や、海外訪問先での不満発言などが問題視され、大口径の高射機銃で公開処刑されたと韓国情報当局が分析したことで知られる。

その後に脱北した元外交官らの証言からも、処刑されたのは確実と見られる。STも、元クウェート駐在北朝鮮代理大使リュ・ヒョヌ氏の証言を引用し、「金正恩氏が『最高司令官に対する態度がなっていない』として激怒した」と報じた。

ただ、北朝鮮側は玄氏の処刑を公式には認めていない。さらに興味深いのは、処刑説が広がった後も、北朝鮮メディアが玄氏の映像を完全には削除しなかった点だ。STは、金正恩氏の叔父である張成沢(チャン・ソンテク)氏が粛清後に“完全消去”されたケースと比較し、「玄永哲については、むしろ継続的に露出が続き、処刑説そのものへの疑念まで生じさせた」としている。

STはまた、韓国国家情報院の過去の報告を引用し、「金正恩氏が、処刑幹部の痕跡を消す行為自体が、国際社会に北朝鮮高官の処刑を“公式確認”する材料として利用されていると判断し、編集方針の変更を指示した可能性がある」とも指摘した。

もっとも、北朝鮮内部の意思決定過程は依然として不透明であり、単なる映像アーカイブ管理や編集上の都合という可能性も否定できない。ただ、玄氏と張氏の扱いの落差は、そこに何らかの意味があることを感じさせる要素ではある。

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