最近、めずらしい掃除グッズに出合った。それは、ほうきと床みがき。
そんなの昔からあるじゃないかと言われそうだが、日本のものとは原料が違う。なんと、ヤシの葉とココナッツなのだ。
フィリピンで一般的に使われているヤシの葉ほうきとココナッツの床みがきを実際に使ってみたくて、浅草・吉原にあるフィリピン雑貨専門店「サリサリストア ファンシー」に行ってきた。

ヤシの葉の芯の部分を乾燥させて束にしただけのほうきは、丈夫で水にも強い。芯一本一本が細くて固いため、植え込みに溜まったゴミやたばこの吸い殻だけをきれいにかき出すことができる。
実際にお店の前を掃かせてもらい、あまりにもゴミが取れるので笑いが止まらなかった。
同じほうきでもまたひと味違うものがあると、店長の鈴木さんが少し小さめのほうきを持ってきてくれた。ヤシの葉ほうきが室外用で、こちらが室内用だという。

「これは、タイガーグラスという植物から作られたほうきです。ヤシの葉ほうきに比べてとても柔らかく扇のように広がるので、ひと撫ででホコリやペットの毛も取れますよ。ふつうサイズとパソコンのキーボードにも便利なミニサイズがあります」

たしかに、まるで動物の毛のようにやわらかく、何よりもとても軽い。これなら、子どもやお年寄りの方にも使いやすいだろう。
“掃く”というよりも、“撫でる”という言葉がぴったりだ。しかも、こちらは見た目もポップ。色とりどりのビニールが手作業で編み込まれているらしい。

鈴木さんいわく、「日本は畳文化ですが、フィリピンは床文化。フローリングにはもってこいなんです。特にヤシの葉ほうきは芯を束ねているだけなので、自分で使いやすいようにカスタマイズもできるんですよ。
例えば、持ちやすいように柄を付けたり、用途に合わせて短くしたりと色々使えます。最近では、フィリピンに滞在していたお客様が現地で使ったほうきの使い易さが忘れられず、わざわざネットで当店を調べて買いに来てくれました。とても丈夫なので、1度購入したら長く使えます」

続いて、ココナッツの床みがきも見せてもらった。こちらはもっとシンプルで、ココナッツを半分に割って乾燥させただけだという。よく見ると、断面が細いブラシ状になっているのがわかる。フィリピンでは、一家にひとつあるらしく、日本でいうタワシのような存在なのだろう。
そのため、やわらかい素材の床では傷つく可能性があるのでご注意を。

今回久々にほうきに触れて、掃くという動作がとても気持ちのよいものだと気づいた。それは、実際にかき出されたゴミを確認し、きれいになった爽快感を味わえるからだろう。昔はどこの家にもあったほうきが、今では巡り巡ってどこか新しい。掃除道具次第でこんなにも掃除に対する気持ちが変わるとは、正直思ってもいなかった。特に、タイガーグラスのほうきはやみつきになりそうだ。

だから、ぜひみなさんにもこの気持ちを味わってほしいと思う。
楽しく、気持ちよく、掃除ができる。
これにこしたことはないと、私は思う。
(うつぎ)