まずこの「クリスマス」をイメージして作られたデザートを見てください。こちらは、栗(くり)やチーズの濃厚なムースに、なんと、ミントのスッキリとしたゼリーが合わさったユニークな逸品。
驚くのは、栗やチーズといった「ほっこり」系のものに、ミントが意外にマッチするという点。また、いちごやメレンゲ、液体窒素で固めたメープルシロップのクラッシュなどトッピングが盛りだくさんで、食べる所によって印象が変わる面白いデザートです。
こんな通常では思いつかない斬新なレシピの考案者は、コンピューターシステムの「シェフ・ワトソン」くん。コンピューターが提案する新しい味覚、一体どんなシカケなのでしょう?
このレシピの考案者「シェフ・ワトソン」は、IBMが開発している「IBM Watson(ワトソン)」のテクノロジーをベースに開発されたコグニティブ・コンピューティング・システムです。シェフ・ワトソンは、食材を分子レベルに落としこんで分析したり、世の中に存在するレシピから学習したりして、考えつかなかったような食材の組み合わせやレシピを提案してくれるんです!
料理界の常識を良い意味で崩し、新しい食材のマッチングを提案してくれるシェフ・ワトソン。今回は、そんなシェフ・ワトソンと、ミシュランで星を獲得するレストラン「レフェルヴェソンス」の生江シェフとがタックを組み、ユニークレシピの試食会「コグニティブ・クッキング」が行われました。
まずはスープの前菜。
生江シェフがシェフ・ワトソンにオーダーしたのは、「蟹(カニ)」×「スープ」×「フランス風」というモチーフ。この3つをカギに出来たワトソンオリジナルレシピがこのスープです。スープは、ヘーゼルナッツとトリュフの香りがいっぱいに広がり、カニのうま味と相まって本当に美味しいスープになっています! シェフ・ワトソンは、フランス料理に関する膨大なデータを分析し、どんな食材や分子がフランス料理のカギになるのかを抽出。カニに合う食材、そしてスープにしたら美味しい調理法……と情報を分析処理を重ねてしていって完成したのがこのレシピなのです。
続いてはカブの料理。
シェフに「カブのソテー」をオーダーされたワトソンが作り出したレシピは、こちら。焼き色がきれいなカブを中心とし、その周りには、レタスのピューレ、赤インゲン豆、キノコのソテー、フルーティーなバルサミコソースをあしらい、カラフルなディッシュに。レタスのピューレという普段あまり口にしない調理方法も入ってくるなど、ワトソンのイマジネーションやセンスの良さには、本当にコンピューターが考案したの? と疑いたくなるほどでした。
そしてメインは肉料理。
シェフがワトソンに依頼したのは、「牛肉」×「ロースト」×「冬」というキーワードのレシピ。「冬」という抽象的なワードでも、ワトソンならお手の物。レタスの葉を使って枯葉をイメージしたり、クリーミーなホースラディッシュソースを使ったりなどしてお肉のうま味を惹きたてます。冬=じんわり・ほっこりした感じというニュアンスが良く汲み取られて、心もあたたまる逸品でした!
シェフは、「同じ食材からバリエーションが広がる楽しみがあった、価値観をいい意味で崩してくれる体験だった」とのこと。シェフとシェフ・ワトソンのセンスの掛け算。コンピューターが「賢い相棒」になってくれる日はもうそこまで来ているんですね。
実はワトソン、もっとスゴイことができるんです。
コグニティブ・コンピューティングの先駆けとなるワトソンは、質問を解析し、膨大なデータから関連する情報を見つけて解答候補を評価した後に私達に提示します。プログラミングされたデータだけではなくて、世の中にあふれるデータの80パーセントを参照できるワトソンは、ツイートやメール、記事や論文などの自然言語を扱うことが可能なのです!
なかなか言葉では想像しにくいでしょうから、ここでワトソンの「未来」をイメージした動画を見てみましょう(「Future with Cognitive Computing -コグニティブ・コンピューティングと拓く未来-」by YouTube)
動画では、「A社とB社とC社、どこに発注するのがいいんだろう」「本当にこの分野は良いのか?」など仕事上の意思決定をサポートしてくれる「コグ」のおかげで、仕事が何倍も効率化しているのがわかります。また、「どっちのピアスが似合うかな」、「いま何が食べたい気分だろう」などなど、日常生活における意思決定や、答えがないような分野に対してもデータを参考にサジェスチョンしてくれています。
話し言葉でコンピューターと対話をし、コンピューターが学習していって人間がより的確な判断を行える支援を実現するコグニティブ・コンピューティング。
アメリカではすでに、2014年9月に、クリニカルトライアルマッチングで、ワトソンが導入されています。そこでは、新薬のテストに適した患者を探す病院と、新薬のテストに適した症例を持つ患者さんを繋げる役割をしているといいます。また、ニューヨーク・ゲノム・センターでは、脳腫瘍患者向けのゲノム治療で、患者さんそれぞれに合わせた治療をワトソンが解析・提供できるような研究も進んでいるのだとか! このように、医療、製薬などの産業分野における活用も、今後さらに期待が高まる分野のひとつなのです。
ほかにもアメリカの旅行代理店Way Blazerでは、ワトソンを利用して、顧客の複雑なニーズに合わせた最適なスケジュールを提案しているのだそう。
プログラミングなしに知識を蓄え、経験を通じて学習するなんて夢のようですが、もうアメリカでは現実に活用されていると思うと、ワクワクしちゃいますね。
日本でも、今後可能になるのでしょうか? そんなコグニティブ・コンピューティングの未来、今からとっても楽しみですね!
(ミソうどん0号)

驚くのは、栗やチーズといった「ほっこり」系のものに、ミントが意外にマッチするという点。また、いちごやメレンゲ、液体窒素で固めたメープルシロップのクラッシュなどトッピングが盛りだくさんで、食べる所によって印象が変わる面白いデザートです。
こんな通常では思いつかない斬新なレシピの考案者は、コンピューターシステムの「シェフ・ワトソン」くん。コンピューターが提案する新しい味覚、一体どんなシカケなのでしょう?
【分子レベルで料理を研究!? シェフ・ワトソンがスゴイ】
このレシピの考案者「シェフ・ワトソン」は、IBMが開発している「IBM Watson(ワトソン)」のテクノロジーをベースに開発されたコグニティブ・コンピューティング・システムです。シェフ・ワトソンは、食材を分子レベルに落としこんで分析したり、世の中に存在するレシピから学習したりして、考えつかなかったような食材の組み合わせやレシピを提案してくれるんです!
料理界の常識を良い意味で崩し、新しい食材のマッチングを提案してくれるシェフ・ワトソン。今回は、そんなシェフ・ワトソンと、ミシュランで星を獲得するレストラン「レフェルヴェソンス」の生江シェフとがタックを組み、ユニークレシピの試食会「コグニティブ・クッキング」が行われました。
まずはスープの前菜。

生江シェフがシェフ・ワトソンにオーダーしたのは、「蟹(カニ)」×「スープ」×「フランス風」というモチーフ。この3つをカギに出来たワトソンオリジナルレシピがこのスープです。スープは、ヘーゼルナッツとトリュフの香りがいっぱいに広がり、カニのうま味と相まって本当に美味しいスープになっています! シェフ・ワトソンは、フランス料理に関する膨大なデータを分析し、どんな食材や分子がフランス料理のカギになるのかを抽出。カニに合う食材、そしてスープにしたら美味しい調理法……と情報を分析処理を重ねてしていって完成したのがこのレシピなのです。
続いてはカブの料理。

シェフに「カブのソテー」をオーダーされたワトソンが作り出したレシピは、こちら。焼き色がきれいなカブを中心とし、その周りには、レタスのピューレ、赤インゲン豆、キノコのソテー、フルーティーなバルサミコソースをあしらい、カラフルなディッシュに。レタスのピューレという普段あまり口にしない調理方法も入ってくるなど、ワトソンのイマジネーションやセンスの良さには、本当にコンピューターが考案したの? と疑いたくなるほどでした。
そしてメインは肉料理。

シェフがワトソンに依頼したのは、「牛肉」×「ロースト」×「冬」というキーワードのレシピ。「冬」という抽象的なワードでも、ワトソンならお手の物。レタスの葉を使って枯葉をイメージしたり、クリーミーなホースラディッシュソースを使ったりなどしてお肉のうま味を惹きたてます。冬=じんわり・ほっこりした感じというニュアンスが良く汲み取られて、心もあたたまる逸品でした!
シェフは、「同じ食材からバリエーションが広がる楽しみがあった、価値観をいい意味で崩してくれる体験だった」とのこと。シェフとシェフ・ワトソンのセンスの掛け算。コンピューターが「賢い相棒」になってくれる日はもうそこまで来ているんですね。
【コグニティブ・コンピューターがもたらす夢のような未来】
実はワトソン、もっとスゴイことができるんです。
コグニティブ・コンピューティングの先駆けとなるワトソンは、質問を解析し、膨大なデータから関連する情報を見つけて解答候補を評価した後に私達に提示します。プログラミングされたデータだけではなくて、世の中にあふれるデータの80パーセントを参照できるワトソンは、ツイートやメール、記事や論文などの自然言語を扱うことが可能なのです!
なかなか言葉では想像しにくいでしょうから、ここでワトソンの「未来」をイメージした動画を見てみましょう(「Future with Cognitive Computing -コグニティブ・コンピューティングと拓く未来-」by YouTube)
動画では、「A社とB社とC社、どこに発注するのがいいんだろう」「本当にこの分野は良いのか?」など仕事上の意思決定をサポートしてくれる「コグ」のおかげで、仕事が何倍も効率化しているのがわかります。また、「どっちのピアスが似合うかな」、「いま何が食べたい気分だろう」などなど、日常生活における意思決定や、答えがないような分野に対してもデータを参考にサジェスチョンしてくれています。
話し言葉でコンピューターと対話をし、コンピューターが学習していって人間がより的確な判断を行える支援を実現するコグニティブ・コンピューティング。
アメリカではすでに、2014年9月に、クリニカルトライアルマッチングで、ワトソンが導入されています。そこでは、新薬のテストに適した患者を探す病院と、新薬のテストに適した症例を持つ患者さんを繋げる役割をしているといいます。また、ニューヨーク・ゲノム・センターでは、脳腫瘍患者向けのゲノム治療で、患者さんそれぞれに合わせた治療をワトソンが解析・提供できるような研究も進んでいるのだとか! このように、医療、製薬などの産業分野における活用も、今後さらに期待が高まる分野のひとつなのです。
ほかにもアメリカの旅行代理店Way Blazerでは、ワトソンを利用して、顧客の複雑なニーズに合わせた最適なスケジュールを提案しているのだそう。
プログラミングなしに知識を蓄え、経験を通じて学習するなんて夢のようですが、もうアメリカでは現実に活用されていると思うと、ワクワクしちゃいますね。
日本でも、今後可能になるのでしょうか? そんなコグニティブ・コンピューティングの未来、今からとっても楽しみですね!
(ミソうどん0号)
編集部おすすめ